アンスタンダンジェロ

皐月風

第1話逃避行

僕の名前は、リチャード·マーアミア·バーカラント·ケッサリオって、言うんだ

長いって、そりゃあ、国やら、民族の違いで、色々、あるだろうけど、これは、正式名称ってやつだよ。

まさか、友人達が、これで呼ぶなんて、思ってないよね(笑)

学友は、だいがい、リドって、呼ぶ。やっかいなのが、マーアって、呼ぶ人達…………

実は、僕はさる大国の18番目の王子だったりする。次期国王に、なれるはずもなく、一般人に近い、兄貴たちは、全員健康で、生存してる、まあ、1人1人、覚えてるかって、聞かれたら、困るけどね、王宮は、広いし、互いに、干渉しない主義だから……………。

ただ、例外はある、次期、王たる1番上の兄貴は、そりゃあ素敵で、思慮深く、気品も、あり、文句なしなんだけど……………

第2王子は、気品と、知質に、優れ、第1王子としての兄の支えの要と言える、1つ難点を、除けば………………

原因の因子は、僕にある。これが、1番厄介なのだ。弟が、16人もいるのに、暇さえあれば、僕を、かまいにくる。

幼くして、母を、亡くしたとは、いえ、何不自由なく、育ち、今や18歳である。

王位継承権の最有力の二人と、現陛下の共通の難点は、この僕にある。

それは、容姿に他ならない。母親そっくりに、生まれてきた僕は、赤髪のストレートのさらさらヘアーに、瞳の色は、緑なのだ………

まるで、希少種扱いの部類、なんせ現陛下は、母に一目惚れし、さらうようにして、この国に、連れ帰った、いわく付き、そう、母親も、赤髪ストレートのさらさらヘアで、ロングな髪をひてまとめにして、白衣を着て研究に勤しむ、普通の人だった、たまたま、研究の成果が、ひと区切りし、その慰労を兼ねて、高級ホテルのバーで仲間と少し騒いで飲んでいて、いつもの瞳隠すコンタクトを落とし、緑の瞳で、いつの間にか、まとめ髪も、解け、グラス片手に、軽くリズムに、乗ってステップしてた、ところに、父である国王と出くわしたらしい、と、まあ、これは、現国王から聞いたのだから、疑わしいが……………

母は、まるで、攫われるように、この国に来て、国王に、愛され、僕を、産んだ。

まあ、恋愛小説みたいだけど、どうだろう?母は、妻に、なっても、自分の研究を続けていた。つまり、研究費は、どこから、もちろん、父のポケットマネーからだ。こうなると、研究のために、手段を選ばなかった母の方にも、強かさが、見えてくる………と、僕は思う

赤い髪と、緑の瞳は、それくらい、価値があったことは、現に僕が、嫌という程体験している。

18番目という、気楽な位置に、ありながら、毎日、長男、次男、国王までに、呼び出される

朝食、昼食、パーティーまでも…………?

他の王子たちは、どう思うだろうと、内心恨まれたくない僕だが…………

お呼びが、かかると、断れるはずがない!

仮病など、使ったものなら、医師が、わんさか来るし、兄達が、そばで、看病すると、言い出しかねない

ただし、僕には必殺、勉強中という、キーアイテムがある。

母の血を、色濃く引いたのか、勉強は、楽しかった。新しい知識に、ワクワクし、理解するほどに、より深く知りたいと、思う、学校には、普通に通えたが、やはり、容姿の関係か、友人と呼べる人は少なく、親友となると、全くできず、名前を、覚えることなく、その場だけの、友人は、すぐ出来た。

それで、充分図書館に、籠り帰りが、夜になることもらしばしば、その度に、兄に、呼び出され、お小言を食らうのは、仕方の無い事だと思った

気づくと、いわゆる、飛び級という、勝手に、オマケのように、ついてきた。

特に、植物、生物に、興味が湧いた。

まあ、人より違う容姿、自然な赤いストレートな髪、独特な色彩を、放つ緑の瞳、自分なのに、異色な存在の自分、植物にも、生物にも、色んな、特殊性や、神秘性は、自分を投影しているようで、進化なのか、突然変異なのか、もしくは、ある意味退化なのか、不思議な世界に、のめりこんでゆく。

学校の科目は、ある意味表面的で、記憶して、理解すれば、簡単に、成績に、反映していくと理解したので、その繰り返しを、いっそう、先へ先へと早めた結果だった。

相変わらず、今日も今日とて、兄の朝食を共にする、朝から、スープだの卵料理だの、サンドイッチ、フルーツ、ケーキ、まるで、フルコースの勢い、僕はカフェオレ、一杯で充分なのに、兄達は朝から、ガツガツ食べている。なのに、太る訳でもなく、均整の取れた、長身、いわゆる、細マッチョという体格に、美貌、まるで、生きたギリシャ彫刻の様な存在なのだ。

僕はと言えば、背はある方だが、肉が付きにくいし、食べ物に、興味は、無い。季節のいい、庭で、頂く朝食は、いいが、兄の命を、受けた料理長のあれやこれやと、世話を焼かれるのには、イライラする。

母に似たせいで、女子に間違われる事、しばしばの容姿、いささか、自分にがっかりだけど、兄に、言わせれば、しっかり食べて、身体を鍛えれば、筋肉も付き、体幹を鍛えれば、素材は、いいのだからと……………。

運動に、力を、入れてる、時間があれば、本や、顕微鏡を、覗いている方がマシだ。

しかし、幼い頃から、乗馬はするし、弓をいるのは、好きだ。

時たま、暗い内から、森をぬけ、山の高台まで、馬を走らせ、遠く朝日の、登る瞬間を、見るのは、爽快な気分になるから、好きだ

これは、兄達には、内緒だ、護衛も無しに、夜の森を、抜けるなんて、言語道断らしい。

隠れて、密やかな楽しみを、見つけるから、いいのだ、まあ、反抗心がないとは、言わないが……

「明日定例の舞踏会を、開こうと思う、近隣の諸侯らも、共に」兄の思い付き発言に…………

突然現実に、引き戻される、庭の花々に、気を取られていた、僕はげんなりした。

まあ、この頃ぐらいから、僕は、ある計画を、考えていた。

この国から、何とかして、抜け出すこと、見世物の如く、兄達の自慢の弟からの脱出計画だ

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