3.真宙先輩からの呼び出し
入学式から二週間が経ち、教室内にちらほら私服組が現れはじめていた。
「さすが風見さんだなぁ」
ジュンタはのんきに言いながら、私服たちの中心で女王様扱いを受けている風見さんを眺めている。
「寮でもああいう感じなのかな?」
藤乃さんが首を傾げるので、一応否定しておく。
「そうでもないよ。どっちかっていうと、真宙先輩とかにからかわれてるし」
答えた途端、風見さんがぎろりと睨んできた。結構距離が離れてるのに……地獄耳だ。
「寮生活は慣れた?」
「少しはね」
「そっかぁ、良かったね。椿荘で暮らすのは大変って聞いてたから、安心したよ」
藤乃さんの笑顔が眩しい。風見さんに睨まれた心の傷が癒えていくようだ。
「本当にすごいよね、槙田くんは! まさか悪女荘で普通に暮らせる男子生徒がいるなんて思わなかったよ!」
「褒められるようなことはなにもないけどね」
慣れるのに必死で、最大の目的である「運命の女の子探し」は全然捗っていない。
昨日やっと前進したと思ったら、救い方さえまだ考えていない事実が目の前に立ちはだかってしまった。
「そうだ。今日の放課後は予定ある? 同好会の集まりがあるんだけど、もしよかったら一緒に来てみない? 槙田くんが来たら、みんな喜ぶよ」
「悪い、放課後は真宙先輩に呼ばれてるんだ」
「えーっ! あの真宙先輩に!? なんで!?」
「理由は知らないけど……」
「すごいなぁ、本当に槙田くんは悪女荘の人たちと対等に渡り合ってるんだなぁ」
ジュンタが目を輝かせている。全然対等な気はしないけど、ジュンタの夢を壊すのも憚られる。
「ねえ槙田くん、私もついて行っていいかな?」
「藤乃さんが?」
「真宙先輩って美術部の人だよね。私、前から気になってたんだ。……ダメかな?」
ううっ、可愛い。こんな正面からお願いされて、断れるわけがない。
「大丈夫だと思う。一緒に行こう」
「うわーっ、藤乃さんいいなぁ! ぼくも一緒に行きたい……! でも同好会の集まりはドタキャンできないし……!」
「また今度一緒に行こう。僕もジュンタの同好会気になるしさ」
「うう……ありがとう槙田くん。優しいね……」
目をうるうるさせているジュンタはそんじょそこらの女の子顔負けの美少女っぷりだった。
なにかに目覚めそうになるのを食い止めてくれたのは、ひとえに藤乃さんとの約束が楽しみなおかげだ。
放課後を藤乃さんと一緒に過ごせるなんて嬉しすぎる。真宙先輩に感謝しなくちゃな。
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