アンダーカレント・フィクション 第1章 KONOHANA

@tagtje

プロローグ

どっちにしても金がかかる。


余生は沖縄で暮らしたいと、今も考えている。


いつもの不動産サイトで土地を探す。


とにかく安い土地を探す。


上を見ればキリがない。


下水道が整備されていない。


浄化槽を設置するか……


それとも駐車場にして……


トラックを改造したキャンピングカーにするか……


なんにせよ、1000万円以上はかかるだろう。


もう……詰んだ。


生まれ育った土地に戻るか……


所有権ありの中古物件を探す。


ボロ屋でも500万円……


自分でリフォームするにしても、資材費がかかる。


団地にするか……


定年退職するまでに考えなければならない現実だ。


借金もあるし……


それでも、生きていかなきゃ。


家賃を払うか……


いくつまで働くんだよ。


一生、働くのか……


生涯現役。


んなアホな。


そう言っていた親父も、ボケてしまった。


要介護認定を受けて、妹とデイサービスに面倒を見てもらっていた。


そして、施設で亡くなった。


今、あがいて何ができる?


掃除するか……


7月11日(金曜日)


仕事が終わったらスーパーへ行く。


いつものラインナップ。


帰宅。


飯を食う。


そうだ……ブルーレイディスクのリッピングをしなきゃ……編集も……148話もあるんだ。


それじゃ、いつもと同じじゃん。


また週末が終わってしまう。


繰り返しの日々というか、心構えというのか、いつも心が折れてしまう。


「もう無いのか……」


作るか……


作らなければ……


作らなきゃいけない……


となれば、やっぱ掃除か……


冷凍庫も掃除しようっと。


そして寝る。


7月12日(土曜日)


起きる。


無いのか……


悲しい……


飯でも食うか……


片付ける。


捨てる。


洗う。


DIY。


セットする。


一日じゃ終わらないだろう……でも、やらなきゃだな。


7月13日(日曜日)


昨日の続き……


そんな計画を立てて、もう7か月も経ってしまった。


そりゃあ、無くなるわ。


クローンも死んだ。


いや、殺した。


マズいな……


マジで気合を入れなきゃ。

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