【生まれ変わりの泉】
そしてシャスタ旅立ちの日。
彼を見送ろうと、生まれ変わりの泉に集まる人々。
『キスは厳禁』
これを守り、シャスタと抱擁を交わす神妃たち。
数ヶ月ぶりの愛しい人の温もりに、次第に苦しそうな顔へと変わるシャスタとシルビア。
「ん、これ以上は無理……。」
「はは、そうですね……。」
ここまで来て消滅はしたくないし、させたくない。
仕方なく離れる二人。
気持ちが冷めるまで、シャスタは他の家族と抱擁を交わしていた。
「そろそろ時間です。」
シェンが別れの時を告げる。
だがそれは一時の別れ。
家族と共に暮らす為の旅立ちなのだ。
「それでは……と。記憶が戻るのは16歳で良いですか?」
シャスタの額に手をかざしながら尋ねる。
「あの、できたら大学を卒業してからにして下さい。またとないチャンスなので学生時代も楽しもうかと……。」
チラリとシルビアを見る。
この望みは彼女を余計に待たせる事になるからだ。
「そんな顔しなくても良いわよ。初めての体験だもの、満足するまで楽しんで来て。」
にっこり笑うシルビアに首を傾げる。
だが、待つ時間が数百数千年から数十年になったからだろうと思い直した。
「すみません、わがままを言って……。本当は……貴女と共に成長できたら良いのですが……。」
「知ってる。でも私は女神だし、生きてるんだもの。貴方と一緒に成長するのは無理だわ。」
そう言いながら微笑んでいる。
違和感ありまくりだ。
「シルビア?本当に大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。だからほら、早く飛び込んで?」
「え、ええ……。」
ニコニコと急かされ、戸惑いながら泉の縁に立つ。
振り向き、家族の顔を見た。
「行ってらっしゃい」と見送る子供達。
孫もひ孫も笑顔で見送っている。
その中で、やはりシルビアだけが浮いていた。
彼女は終始満面の笑み。
何かを考え、クスクス笑ったりしている。
あれは……小悪魔的な笑い……?
「何だよ、怖くてダイブできねぇのか?とっとと行って来やがれ!」
問答無用でシヴァが突き飛ばす。
「え!?ちょ、待っ」
受け身も取れず、驚いた顔のまま、シャスタは泉の中に消えて行った。
ムードのない旅立ちとなり、シヴァが家族達に責められた事は言うまでもない。
こうしてシャスタは転生の旅に出たのである。
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