第3話 アンドロイド婚 ~ 2人の若者の思い

 アンドロイド婚に関する特別法案が可決成立すると、純一と拓也は電話をして馴染の喫茶店で待ち合わせた。先に着いていた拓也の顔を見ると、合図をして嬉しそうに話題を切り出した。


「遅れてごめん。アンドロイド婚の法案が通ったね。もうすぐ政府からアンドロイド婚の募集が掛かると思うから早めにお願いしようと思ってる」

「俺も考えてるけど、いざパートナーとなると具体的な要望が浮かばなくてさ。純一みたいに、付き合ってた人が居なかったから迷うんだよね。お任せで候補を見てみようかな……」


 ウェイターのSAYURIが、2人が揃ったのを確認して注文を取りにきた。

「お揃いですか? ご注文は如何致しますか?」


 拓也が、珍しく遮るように口を開いた。

「コーヒー2つお願いします。ところで、SAYURIさんは、独身ですか? 僕とお付き合い出来ませんか?」


 SAYURIは頬を赤らめて答えた。

「嬉しいです。私の上司と相談してみますね。お返事は、それからでもよろしいですか?」

「また、お店に来ますので……。SAYURIさん、良いお返事を期待してます」

拓也がSAYURIにメッセージを伝えた。


「おい、拓也。ビックリするじゃないか。いきなりそんな事を言うなんて。要するにナンパかよ……」

「でもさ、彼女は上司に確認を取るんだね……。昔の俺なら、こんな事言えなかったな。俺だって、これから生きていくのに必死だからね。俺は、SAYURIさんを一目で好きになったよ」

 拓也は笑って話した。

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