第8話 恥ずかしすぎる…。

「金龍勇者の日常」


第8話 「恥ずかしすぎる…。」



マイラ(4歳): ……。(ラハリ王国の外のベンチで1人で座っている)


(な…何させられてるの…?これ…。確かハウナお姉ちゃんに勝手によく分からないイベントに参加させられて…、なぜかハウナお姉ちゃんは参加しないし…。それに…、案内の人にラハリ王国の外にあるベンチに座らせられて…「彼女が来るまで待っててくださいね」。って…、どうゆう事…?まぁ、女の人が来るまでここで待っとくか…。)


(数分後…)


マイラ(4歳): (ベンチにまだ座っている)(心の中: 意外と待ち時間長いな…。)


スカーミ(5歳): (マイラに近付く)誰かと思えば私より1個年下のチビじゃない!‪💢‪。


マイラ(4歳): (驚く)(心の中: えっ…?なんかいきなり怒られたんだけど…、何…?)


スカーミ(5歳): (マイラを睨みながら)どうせあんたもただのクソガキよ。


マイラ(4歳): (心の中: せ…性格悪そうな女の子来たな…。とりあえず…、ちょっと話しかけてみるか…。)


スカーミ(5歳): ……。(マイラをじっと見ている)


マイラ(4歳): あ…あの…、僕って今、何させられているんですか?


スカーミ(5歳): はぁ!?まずそんな事も分からないの!?


マイラ(4歳): はい…。なんか僕の姉に勝手にこのイベントに参加させられたので…、よく分からないです…。


スカーミ(5歳): ふん、まぁどうせこれはつまんないイベントよ!


マイラ(4歳): そ…そうなの?


スカーミ(5歳): ま…、いつかそのうちどんなイベントか分かるわよ。(マイラと手を繋ぐ)


マイラ(4歳): (スカーミに手を繋がれて慌てる)えっ…、な…何するの…?


スカーミ(5歳): ほら、行くわよ!(マイラを引っ張って走り出す)


マイラ(4歳): わぁ!?(引っ張られながらスカーミの速さに合わせて走る)


スカーミ(5歳): (走りながら)ねぇ…、どこに行く?


マイラ(4歳): (走りながら)え…えっと…、君が好きなところでいいよ!(笑顔で答える)


スカーミ(5歳): (一瞬笑顔になるが慌てて怒り顔に戻って走りる)そ…そうね…。じゃあ…、花畑に行きましょ!(走るスピードを上げる)


マイラ(4歳): (スカーミと同じ速さに合わせながら走る)ねぇ、そんなに速く走ってたら転ばない?


スカーミ(5歳): そのくらい大丈夫よ!(走っていると地面にあった石に引っかかって転びそうになる)キャッ!?


マイラ(4歳): 危ない!(スカーミが転ぶのを止めてスカーミを背中に背負う)


スカーミ(5歳): えっ!?(マイラに背負われる)


マイラ(4歳): (スカーミを背負いながら)あ…あの!走るのはキツイと思うので僕が…背負いますね!


スカーミ(5歳): (顔を赤らめながら)い…いや、そのくらい自分で走れるわよ!


マイラ(4歳): 君に…、怪我させてほしくないんです…。


スカーミ(5歳): あ…あんた…。(顔を赤らめて言葉が出なくなる)


マイラ(4歳): えっと…、花畑ってどこでしたっけ?


スカーミ(5歳): あっちよ…。(北のほうを指さす)


マイラ(4歳): 分かった!じゃあしっかり掴まっててね!


スカーミ(5歳): えっ…?掴まっててって…何するの…?(戸惑いながらもマイラの肩を掴む)


マイラ(4歳): よし!じゃあ行くよ!(スカーミを背負いながら全力で走り出す)


スカーミ(5歳): (マイラの肩をしっかり掴みながら)あ…あんたって…、私より足が早いのね。


マイラ(4歳): まぁ別に自信はないですけどたぶん!あっ、速さってこのぐらいで大丈夫ですか?


スカーミ(5歳): うん!いいわよ!(笑顔で答える)


マイラ(4歳): じゃあ…、このスピードで行きますね!(笑顔で答える)(心の中: あれ…?意外と素直な子だな…。)


(スカーミを背負いながら走っていると花畑が見えてくる)


マイラ(4歳): (少しずつスピードを下げていって花畑のところで止まって、スカーミを下ろす)


スカーミ(5歳): (ゆっくり降りて地面に着地する)あ…、ありがとう…。じゃあ…、ついてきて。(花畑の奥へ行く)


マイラ(4歳): うん…。(スカーミについて行く)


スカーミ(5歳): (黄色の花がたくさん広まっているところに座り込む)


マイラ(4歳): (スカーミの隣に座り込む)


スカーミ(5歳): ねぇ…、私の好きな花…、どれだと思う?


マイラ(4歳): えっ…?いきなり言われても…。


スカーミ(5歳): いいから…、当ててみて。


マイラ(4歳): わ…分かった…。(周りをウロウロして花を探す)


スカーミ(5歳): ……。(マイラが探している様子を動かずに見ている)


マイラ(4歳): こ…これかな?(スカーミのところへ戻り、たんぽぽを差し上げる)


スカーミ(5歳): (マイラのたんぽぽを受け取る)せ…正解よ…。どうして分かったの?


マイラ(4歳): 走っている時に時々たんぽぽが咲いていたんだよね。それで君はたんぽぽが咲いている場所を時々見てたから好きなのかな?って思って…。(スカーミの隣へ座り込む)


スカーミ(5歳): 感が鋭いね、あんたは。そういえば名前なんなの?


マイラ(4歳): 僕の名前?秘密。


スカーミ(5歳): えっ?なんで教えてくれないの?


マイラ(4歳): いつか教えてあげる!


スカーミ(5歳): わ…分かった。でも、あんたのことなんて呼べばいいの?「あんた」って言ってると嫌だなと思って…。


マイラ(4歳): じゃあ、何かの花の名前でいいよ!


スカーミ(5歳): 「たんぽぽ」…。で、いい?(マイラにもう1つのたんぽぽをあげる)


マイラ(4歳): うん!もちろんいいよ!(スカーミからもらったたんぽぽを受け取る)


(あれ…?「たんぽぽ」って君が好きな花の名前じゃない…?じゃあもしかして僕のこと…。いや、違うか?)


スカーミ(5歳): 花、お揃いだね。たんぽぽ…。(握っているたんぽぽを見せる)


マイラ(4歳): うん、お揃いだね。(握っているたんぽぽを見せる)


スカーミ(5歳): ねぇねぇ、そういえばたんぽぽの姉ってなんていう名前なの?


マイラ(4歳): えーっとね、「ハウナ」っていうんだ!


スカーミ(5歳): へぇ〜、「ハウナ」っていうんだ。いい名前…。


マイラ(4歳): じゃあさぁ、君の名前はなんなの?


スカーミ(5歳): わ…私も秘密。


マイラ(4歳): え〜?じゃあ、なんて呼べばいいの?


スカーミ(5歳): 何かの動物の名前でもいいんじゃない?


マイラ(4歳): わ…分かった。(少し考えて)じゃあ、「小鳥」でもいい?


スカーミ(5歳): 別にいいけど…、なんで小鳥?


マイラ(4歳): 僕が好きな動物は「小鳥」なんですよ…。だから小鳥っていう名前にしようかなって思って…。


スカーミ(5歳): (少し顔を赤らめて)へぇ〜、そうなんだ。ねぇねぇ、私達といる時間どれくらい欲しいと思う?


マイラ(4歳): まぁなるべく長めがいいかもね。


スカーミ(5歳): 私は…、一生がいいな…。


マイラ(4歳): い…一生!?一生ってどのくらい?


スカーミ(5歳): 私達が死ぬまでずっと…。


マイラ(4歳): 確かに僕も…、一生が良いかもね…。


(ねぇ…、一生って長すぎじゃない!?そんなに僕といたいのかな…、小鳥さん…。いや、あれはたぶん嘘だ…。)


スカーミ(5歳): でも…、たんぽぽと居られるのは今日の8:00までなの…。


(そろそろ夕日が消えてくる)


マイラ(4歳): えっ!?あと数時間しかないじゃん!


スカーミ(5歳): そう…、8:00までに城に戻らないといけないんだ…。それに、これはイベントだからたまたま会っただけで、またいつ会えるかも分からないし…。(泣き出す)


マイラ(4歳): (スカーミにハンカチをあげる)小鳥、実は今日の夜、花火が上がるみたいなんだ。


スカーミ(5歳): (ハンカチを受け取り、涙を拭き取りながら)そ…そうなの…?


マイラ(4歳): うん、だから花火を最後に見て、城に帰りましょう。(スカーミに手を差し伸べる)


スカーミ(5歳): (マイラの手を握って起き上がる)そうね!


(そして僕達は、手を繋ぎながら花火が見えそうな場所まで行って地面に座って花火が上がるのを待つ。しかし…、数分経っても花火は上がらず、いつの間にか8:00になってしまった…。)


マイラ(4歳): ね…ねぇ…、もう8:00すぎちゃったけど、もう飽きらめて帰る?


スカーミ(5歳): いや…、花火を見終えるまで絶対に帰らない…。


マイラ(4歳): えっ…?でも、8:00までに城に帰らないといけないんじゃないの!?


スカーミ(5歳): 1時間ぐらい遅れてもいい…。この時間だけじゃ足りないから…。


マイラ(4歳): 本当に大丈夫なの?怒られたりしない?


スカーミ(5歳): 大丈夫…。だから気にせずに花火見よ?


マイラ(4歳): う…うん、分かった…。


(数時間後、花火が上がりだし、静かに2人で花火を見ていると…。)


スカーミ(5歳): ねぇ…、たんぽぽ…。(マイラの手に少し触れる)


マイラ(4歳): えっ…?な…何?(少し戸惑う)


スカーミ(5歳): (ゆっくりマイラの手を握る)たんぽぽって、好きな人いる?


マイラ(4歳): (顔を赤らめながら)えっ…?べ…別に居ないなぁ…。


スカーミ(5歳): じゃあ、好きな動物は?


マイラ(4歳): 「小鳥」…。


スカーミ(5歳): (少し顔を赤らめながら)へぇ〜、そうなんだ。


(僕は、何かの罠に気付いていなかった…。)


(その後、2人で静かに花火を見ていると、また小鳥が同じ質問をしてくる)


スカーミ(5歳): ねぇねぇ、本当に好きな人達居ないの?


マイラ(4歳): うん…。居ないよ。


スカーミ(5歳): じゃあ、好きな動物は?


マイラ(4歳): 「小鳥」。


スカーミ(5歳): へぇ〜、そうなんだ…。(さっきより顔を赤らめている)


(僕は、まだ何かの罠に気付いていなかった…。)


(数時間後、そろそろ花火が終わりそうな予感がした)


マイラ(4歳): そろそろ花火が終わりそうだね…。小鳥…。


スカーミ(5歳): うん…。(顔を赤らめながらマイラのほうを振り向いて何か言いたそうにしている)


マイラ(4歳): ん?どうしたの?何か言いたそうだけど…。


スカーミ(5歳): 私…、あなたの事が…!(言おうとする)


音: ドーン!(スカーミが何かを言ったのと同時に花火の音がして、スカーミが何言ってるか分からなかった。)


マイラ(4歳): ご…ごめん。花火の音同時で聞こえなかった。もう1度言ってくれる?


スカーミ(5歳): えっ…。(顔を赤らめる)じゃあ…、目を閉じて。


マイラ(4歳): えっ?わ…分かった。(不思議に思いながらも目を閉じる)


スカーミ(5歳): 私…、あなたの事が…!


音: ドーン!(花火の音が聞こえる)


(ああ…、また小鳥の声が聞こえなかった…。と思ったら…。)


(キスされたような感触があった…。)


マイラ(4歳): !?(驚いて目を開けると、スカーミが自分の唇にキスをしていた)


スカーミ(5歳): (マイラに抱きつきながらずっとキスをしている)


マイラ(4歳): (スカーミに抱きつかれてキスをさせられたままで)(心の中: えっ…?まだやるの…?)


音: ドーン!(また花火の音が聞こえる)


(花火の音が止むと…。)


スカーミ(5歳): (抱きつくのをやめてキスをするのもやめて…)私達、今日までしか会えないから最後のお礼よ!私を楽しませてくれてありがとう!たんぽぽ!


マイラ(4歳): あ…、あのキスお礼だったんだね。あ…ありがとう!小鳥!僕もたくさん楽しめて良かったよ!


(あのキスが楽しませてくれたお礼!?キスって好きな人同士がするものじゃないの…?そ…それに…、今になってもこれが何のイベントなのかが分からない…。「花嫁」何とか…だったから…、花で女の子と一緒に遊ぶイベントかな…?)


スカーミ(5歳): それと…、私達がキスした事誰にも言わないでね?


マイラ(4歳): わ…分かった!でも…、なんで?


スカーミ(5歳): 実はこのイベント…、抱きつくのはいいけどキスは禁止なんだって…。だから私達がキスをした事がバレたらやばいわ…。特にたんぽぽが…。


マイラ(4歳): ぼ…僕が!?な…なんで!?


スカーミ(5歳): 私はただ注意されるだけだと思うんだけど、あなたは「ラハリ王国」の王女の私と勝手にキスをしたわけだから重い罪があるかも…。


マイラ(4歳): えっ!?もしかして死刑なの!?


スカーミ(5歳): た…たぶん殺しはしないけどキスをしただけでけっこう重い罪になるのよ…。


マイラ(4歳): えっ…、そ…そうなんだ…。じゃあ絶対にバレないようにしないとね…。


(いや…、やっぱりお礼にキスはやめたほうが良かったんじゃない…?それに…、小鳥ってこの村の王女だったの!?王女ってなかなか一般人と触れ合わないのが普通だけど僕と小鳥がこんなに触れ合えるってことは…、けっこうやばいイベントに参加しちゃったんじゃないの…?)


スカーミ(5歳): ……。(顔を赤らめながらマイラをじっと見つめている)


(僕達が黙って見つめあっているとガラが悪そうな男達が3人来た…。)


一般人男性1: おいおい、スカーミちゃん俺達はどうしたんだ?(スカーミの右腕を掴む)


一般人男性2: なんであんなガキとキスなんかしてるんだ?(スカーミの左腕を掴む)


スカーミ(5歳): いい加減に離しなさい!(暴れるがなかなか離れることができない)


一般人男性3: ずるいなぁ…。俺にもキスをしてくれよ!(スカーミの首を掴む)


スカーミ(5歳): !?(手を離そうとするがなかなか離すことができない)


一般人男性3: キスしないなら死ね。(スカーミの首をし締める)


スカーミ(5歳): !?(首を締められて暴れるが離れられない)


一般人男性3: うわっ!?(いきなり飛ばされてスカーミの首から手を離す)


スカーミ(5歳): な…何っ!?


マイラ(4歳): (一般人男性達とスカーミのところに近付く)ねぇ…君達、この子から離れてくれない?


一般人男性2: ふん、そんな簡単に離すわけないだろ?だって俺達もこのイベントに参加したのにスカーミちゃん全く俺達にキスしてくれたんだ。しかも…。


一般人男性1: 俺達の時は8:00になる前にもう城に帰ったのにお前達は9:00を過ぎても帰ろうとしない。俺達とお前達に差がありすぎて羨ましくて…、それの恨みなんだ!(包丁をスカーミに向ける)


スカーミ(5歳): !?(怯える)


一般人男性2: さぁ…、スカーミちゃんの死を見たお前も後悔しろ!


一般人男性1: (スカーミに包丁を刺そうとする)


スカーミ(5歳): !?(怖くて目を閉じる)


マイラ(4歳): (姿を消す)


一般人男性1&一般人男性2: ど…どこ行った!?(周りを見渡すがマイラが見つからない。しかもさっきまで近くに居たスカーミまで消えていた)


一般人男性2: スカーミちゃんも消えてるぞ!?


マイラ(4歳): 小鳥ちゃんらこっちだよ!


一般人男性1: (マイラを見て)お…お前いつの間に!?


スカーミ(5歳): えっ…、えっ!?(マイラに抱きつかれていて顔を赤らめる)


マイラ(4歳): (スカーミに抱きつきながら剣を一般人男性達に向ける)王女を殺したら、お前達は死刑になるんじゃないのか?



次回 第9話 「小鳥との別れ」

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