Secret ice lolly⋈① ぜんぶ、ほどいて。
バレないよ。
ここ東京だもん。
ぜんぶ、ほどいて。
*
時は流れ翌年の7月21日。私は東京の大学の図書館で勉強していた。
今は大学近くのマンションで一人暮らししてて、夏休みに入ったばかり。
勉強は最初、
ベランダで別れてからは
なんとか東京の大学の文学部の1年生になれた。
ここまで頑張る事が出来たのは
夏休みなんだから部屋で勉強すればいいのに、クセで図書館に来てしまう…。
一人で勉強するのも寂しいのもあって、周りに誰かがいると、ホッとしたりする。
それに…、
外に出れば
ベランダで別れてから
高校にはあんまり通ってなくて、マンションも変わってて結局会えなかったらしい。
「
私はノートに伏せ寝する。
会えなくなってからもう2年。
期待するだけ無駄だって分かってるのに。
私の両目が潤む。
ねぇ、
話したいこと、いっぱいあるよ。
私は顔を上げ、ふと図書館の壁の時計を見る。
あっ、もう19時!
「…閉館の時間だ。出よう」
*
「あぁ、外暑いな」
私は真っ暗な空の下、孤独に裏道を歩く。
図書館の中は涼しかったのに…。
あ!? 黒のふわロングのウィッグ外せば涼しくなるかな? って……。
私はふっ、と力なく笑う。
「もう被ってないんだった…」
クセって怖い…。
部屋に帰っても、もう、
夏休みだし、一度帰ろうかな…でも、もし、彼女出来てたら邪魔かも……。
私は立ち止まって夜空を見上げる。
今日は満月のはずなのに雲に隠れてて見えない。
「寂しいな…」
「だったらさ、俺の姫になんない?」
え?
私は振り返ると目を見開く。
暴走族!?
…あれ? アッシュグリーンの髪…どこかで見た気が……。
私はハッとする。
あっ、もしかして――――。
「東京支部のナンバー3の…
「当たり。今はもう18で総長だけどね」
「総長!?」
しかも18…私より一つ年下だったんだ…。
「
「あ……」
私は言葉に詰まる。
「族辞めたのはてっきり、あんたの為だと思ってたけど違ってたんか」
「うん。もう2年前の夏に別れたし…」
「じゃあ私、行くね…」
ふわロングの金髪のサイドの真っ直ぐ編み込んで三つ編みにした毛先を結んだゴムのリボンを上から掴まれる。
「俺の姫になんない? って言ったの、シーの時も今も本気なんだけど」
「え……」
「あいつと別れたんなら俺と付き合ってくんない?」
どうしよう、本気の目、してる……。
断らなきゃ…でも総長だし下手に断ったりしたら何かされるんじゃ……。
あっ……リボンのゴム、外されそう。
雲に隠れていた兎がいそうな、まんまるで大きな満月が姿を見せる。
夏の夜空の星々がキラキラと希望に満ちあふれ、満月と共に美しく光り輝く。
「…悪いけど、ありすは俺の姫だから」
え、あ、この声は……。
ポロッ…。
光が浮かび、私の頬を
「おお、
白色のTシャツに黒のスキニーパンツを穿いた
あ、髪から手が離れ……。
「マジになんなよ。悪かったな」
「幸せにな」
「…なんで東京でも裏道通ってんだよ。危ねぇだろ」
「
私は崩れ落ち、ぺたん、とその場に座り込む。
「…おい! あり…」
もう、涙が止まらない。
声にならない。
「夢…?」
しゅるっ。
「…夢じゃねぇよ」
「…お前のリボンほどくの、俺だけだから」
私も抱き締め返す。
この温もりは夢、じゃない。
「…
「いっぱい…呼べるように練習した…」
「…そう。髪、金髪のままなんだな」
「うん、ありのままの自分でいたいから」
「…………」
「
「…ちゃんと考えてから答えろよ」
「…今から俺ん家来る?」
「行く」
「…即答かよ」
「…俺と関わるとまた今みたいに狙われてヒドイ目に合うかもしれねぇよ?」
「それでも行く」
「もう離れないから」
「…俺も、もう一生、離す気ねぇわ」
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