奇妙な兆候

降霊術が成功した翌日から、くるみと穂乃果の周りで奇妙なことが起こり始めた。


夜になると、誰もいないはずの場所から物が落ちる音や、囁くような声が聞こえるようになった。

穂乃果は、部屋の隅に小春の影が見えたと言い出した。


くるみは幻覚だろうと思ったが、確かに時折、自分の名前を呼ばれるような気がすることがあった。


学校で、二人の様子がおかしいと噂になった。

いつも元気な二人が、どこか上の空で

顔色も優れない。


授業中もぼんやりとして、まるで魂が抜けてしまったかのようだった。


ある夜、くるみは眠っている間に金縛りにあった。

全身が締め付けられ、息もできなくなり

暗闇の中、耳元で何かが囁いている。


「……ずっと……一緒に……いる……」


恐怖で目を大きく見開くと、ぼんやりとした人影が自分の上に覆いかぶさっているのが見えた。 

それは確かに小春の姿をしているが、その顔は歪み、目は憎悪に満ちていた。

くるみが悲鳴を上げようとした瞬間、意識は途絶えた。


翌朝、くるみは自分の身体に見慣れない傷跡を見つけた。

腕には無数の引っ掻き傷があり、足には痣ができていた。


しかし、昨夜の出来事を全く覚えていない。まるで夢を見ていたかのようだったが、体の痛みは現実だった。


穂乃果も同じような体験をしていた。

夜中に奇妙な音が聞こえたり、朝起きると身に覚えのない傷ができているのだという。


二人はお互いの身に起こったことを話したが、どちらも記憶が曖昧で、何が現実で何が幻なのか分からなくなっていた。


くるみの両親が、くるみの様子がおかしいことに気づき始めた。

いつも明るかった娘が、最近では、ため息ばかりつき、食欲もなく、部屋に閉じこもっていることが多い。

何度も声をかけたが、くるみは何も話そうとしない。


一方、穂乃果の両親も娘の異変に気づいていた。 

夜中に奇妙なうめき声が聞こえたり、突然叫び声が上がったりすることがあったとう。


心配した両親は、お互いに連絡を取り合い

二人の娘に一体何が起こっているのか、原因を探り始めた。

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