夏休み8日目 結乃の母親に手料理を振舞う

学校行く前に書いてます

誰か助けてください

————————


料理を作ってる間、結乃は母である結衣さんと格闘ゲームで遊んでいた。

ちらりとその様子を見ると、どうやら結乃よりも結衣さんの方がゲームが上手かった。

さらに聞き耳を立てたりすると、こんな会話も聞こえてきた。


「お母さん、前より強くなってない!?」

「ふっふっふ、私だってまだ成長するわ。まぁ誠二さんの協力もあったけど」

「お父さんめ、弱かったお母さんを強くさせすぎだよ……」

「ふふっ、これが私たち夫婦の愛の力よ」


大人げないな、とは思った。

でも同時にこうも思った。

俺と互角ぐらいの結乃よりも強くさせるなんてすごいな、とも。

ちなみに俺は、学級レクでeスポーツとしてこのゲームをやった時に無敗だったんだが、世界は広いなと痛感させられた。


「……いけないいけない。調理に集中しなきゃ」


といっても、もうほぼほったらかしで出来てしまうのだが。


そしてそこから10分ほどで料理が完成した。

すると、


「……いいにおい。お腹空いてきちゃう」

「そうね……、とても美味しそうなにおいだわ」

「お待たせしました。今日は唐揚げを揚げてみました」

「「ゴクリ……」」


今日はシンプルに唐揚げと米のセットにした。

いわゆる、唐揚げ定食というやつだ。

2人ともいい感じにお腹が空いてたようで、結乃に至っては今にも唐揚げにかぶりつきたそうな顔をしていた。

あまり焦らすのもよくないので、2人を呼んで食べ始めることにした。


「さぁ、食べましょう」

「う、うん……!!」「ごちそうになりますね、怜君」

「どうぞ、召し上がってください」

「いただきま~す!!」「いただきます」

「ふふっ、召し上がれ」


結乃はよく食べる。その量がその細い身体のどこに消えるんだというレベルでよく食べる。なんなら俺より食べる。

そのため、結乃の一回の食事の量は俺の一回の食事の量の1.5倍となってる。


「相変わらずよく食うな」

「……もう、私以外の女の子には禁句なんだからねっ」

「分かってるよ」

「……これ美味しいわね。レシピはどうしてるのかしら?」

「あぁ、それはですね……」


俺は結衣さんに新羅家の唐揚げのレシピや作る際のコツなどを細かく教えた。

そして結衣さんの方からも天咲家の唐揚げについて色々聞かされた。


========

天咲結乃side


(私の好きな人なのに……!)

私は、怜くんが私を放ってお母さんと料理談義をしているのが嫌だった。

私の好きな人なのに、私が最初に見つけたのに、といった感じに独占欲がにじみ出ていた。

お母さんはそんな私を見ると、少し笑って怜くんに一言。


「怜君、結乃にも構ってあげて。すごく、寂しそうにしてるわ」

「あ、すまん結乃。寂しかったよな……。本当にごめん」

「ううん、大丈夫。ただ……」

「ただ?」


「もっと、もっともっと構ってほしいな」


「!?」


私は言い切ると同時に怜くんの腕に抱きついた。

怜くんが突然の出来事に驚いている。可愛い。

でも、なんだかんだ甘えれば受け入れてくれるし、頭だって撫でてくれる。

そうしてくれることがすごく嬉しくて、自然と頬が緩んでしまう。

私はやっぱりこの人が大好きなんだなって、思い知らされた。


========


「ごちそうになったわ、怜君。また来るわね」

「はい。またいつでも来てください」

「ええ、また寄らせてもらうわ。じゃあまたね」

「はい、また」「じゃあね、お母さん」


そして結乃のお母さんの結衣さんは帰っていった。

会った感想としては、丁寧でとてもいい人だなって思った。

あとは、結乃と同じように凹凸が激しかったのも印象的だった。

……俺、最低だな。


「結乃」

「ん~?」

「今から何しようか」

「ん~……お昼寝、かな?」


そう言う結乃の顔は少し赤い。

お昼寝って言うのってそんなに恥ずかしいか? と思いつつ、俺はそれを承諾して自分の部屋へと向かう。

でも、今日は少し様子が違った。


「今日は、自分のベッドで寝たい……」

「そ、そんなこと言われても……」

「だから……」


「私の部屋で、一緒に寝よ?」


それは悪魔の囁きだった。

いやいやいやいや、とは思ったが、逆らえる気もしなかった。

だから俺は今、結乃のベッドで横になってる。


「んへへ、怜く~んっ」

「ゆ、結乃? お前なんか変だぞ?」

「ふぇ……? そんなのどーでもいいじゃ~ん」

「結乃がそう言うなら、別にいいんだが……」


結乃は少しまどろみながら俺に抱きついてくる。

やはり、というか……。相変わらず一般的な交際してる男女よりも距離が近い。

こんな時に限って、あの日の記憶が蘇る。


(あぁ、くそ……。そんな目じゃ見れねぇっつうのに……)


こんなに幸せそうにくっ付いてくる結乃を見て、俺は……


(やっぱり好きなんだなぁって、思わされちまう……。彼女は一時的とはいえ、家に帰れないからうちを頼ったはずなんだから……!!)


それでも、いつの間にか寝ていた結乃を見て自然と眠気がしてきたので、俺はその眠気に身を任せて、眠りについた。


========


(これは、夢……?)


『れ~いくんっ』

『わわっ……。なぁに? ――ちゃん』


は隣で恥ずかしそうにもじもじする少女と話していた。

その少女はアルビノではないはずなのに地毛で真っ白な髪にクリっとした黒い瞳と整った顔をしている子だった。

だが、名前までは聞こえてこない。なぜだろうか……?


『私、おっきくなったらね、れいくんと結婚したいの!』

『え、ええ!?』


(はぁ!? 俺って幼い頃にプロポーズされてんの!?)


はその子の突然のプロポーズに驚いていたが、やがて落ち着くと嬉しそうにその子に笑顔を返していた。


『いいよっ、――ちゃんと結婚するっ』

『……ほんとに、いいの? ってあわわっ』


(昔の俺、積極的すぎじゃないか……?)


『いいから言ってるの。だって、――ちゃんのことが……』


「……! めっちゃいいとこだったんだがなぁ」


そうして俺は、目を覚ました。

そして目の前で俺に抱きつく少女を見た時、面影が重なったような気がした。


「……ま、まさかな」


だけど、その可能性が頭から消えることはなかった。


————————

いや~なにかありそうですね~

ちなみに私の夏休みは白紙同然です

対よろです

てことで、第1章はこれでおしまいです。

次からは第2章に入ります。

まぁぶっちゃけそこまで変わんないんですけど、

たぶん外出系が多くなるかと思われます。

それでは、最後に星で評価をお願いします

ではまた。


————————

2025.7/23 あとがきに追記

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る