第27話 キツネとヘビ
ワカマツ「ドッコガン!」
ビー!
ニーズホッグは避けも防御もしない。光線が当たってもびくともしてない。ヘビの怪人は不敵に笑っているだけだった。
サエキ「シャクジョーソード!」
ニーズホッグ「そんなもの!」サエキの全身の力を込めたチェストをニーズホッグは手で受け止め、刀身を砕いてみせた。
風神「オラァ!」不意打ちで風神が大振りの鉄拳を食らわすもニーズホッグはそれを両腕で受け止め、後ろにずり下がった。
ズザザァ!
ニーズホッグ「情報どおりだ。クウカイレッドは不思議な力を使う。」
サエキ「陰陽道だ!」
ヌキナ「ニョライバズーカ!」
ドン!
弾体はニーズホッグの手前で、急ブレーキがかかったように止まり爆発した。床材は消し飛ぶものの、ニーズホッグは傷一つない。
ヌキナ「そんな!?」
ニーズホッグ「サイコキネシス。新型の怪人を侮ったなナンマイダー!」
ヌキナ「それじゃコイツはどぉ?!クリカラパイル!」
ワカマツ「雷光拳!」
二人が怪人に向かっていくが、ニーズホッグがヒト睨みすると、
ピタッ!
その体は突然止まった。
ワカマツ「ううっ?!」
ヌキナ「体が?!なんで?!」
ニーズホッグ「お前らはそこで大人しくしていろ。」
ニーズホッグの手からヘビが飛び出すと二人の体を拘束した。
ワカマツ「うわ!?なんだコレ!?」
ヌキナ「アナコンダ?!」ヘビに体をグルグル巻きにされた2人はその場に突っ伏した。ヘビが万力のように2人の体を締め上げる。
ワカマツ「ぐっ!サエキ気をつけろ!」スーツのおかげで骨は折れないが、ほどけそうにない。
サエキ「迦楼羅天!」
迦楼羅天「任せろ!」
宙に舞い上がった迦楼羅天の口からニーズホッグめがけて業火が吐き出される。
ニーズホッグの体は、黒焦げになって床に倒れた。
サエキ「やったか!?」
しかし、黒焦げになった体、背中側に大きな穴がある。
迦楼羅天「なに?!」
サエキ「空洞!?」
ワカマツ「くそ!奴め脱皮するのか!」
サエキの後ろからニーズホッグの声がする。
ニーズホッグ「御名答。」
サエキが振り向く前にヘビがサエキをグルグル巻きに拘束した。
サエキ「グワッ!?」
迦楼羅天「大将!」迦楼羅天がヘビをほどこうにも力が強すぎて無理だった。
サエキ「風神!」
サエキの体の中から風神がヘビの体を退けようとするもびくともしない。万事休す。
フシミ「そこまでよ!」
フシミは今までどおりのフォックス=ウガージンの姿で突然ニーズホッグの後ろに現れた。
フシミ「天狐!」
ズヒュン!
サエキ『そりゃそうか、俺の先生だもんな!』
天狐と呼ばれた四本の長い尾を持った白いキツネがフシミの隣に舞い降りた。
その体が眩く光るとナンマイダー達からヘビが離れて逃げていく。
ワカマツ「助かった!」
ニーズホッグ「おのれ!小癪な真似を!」
ニーズホッグがフシミに殴りかかるも、ひらりとかわされ、天狐からカウンターで空中に急に出てきた大きな青い玉の突進を身体に受けてよろめいた。
フシミ「そのパンチは生身で受けたらヤバそうね。」
フシミが合掌して、体が光る。
ニーズホッグ「ぐわ!なんだ!?」
目をつぶされた。ニーズホッグはその場で手をブンブンさせている。
フシミ「イナリホワイト!さぁ!年貢の納めどきよ!ソッカー!」
イナリホワイトは上が白で下半身が赤いスーツで巫女のようなかっこに見えた。
サエキ「今だ!」
サエキは素早く手印を作った。
サエキ「臨兵闘者皆陣烈在前!」フシミもサエキと隣に立った。
サエキ&フシミ「「天の沼矛!」」
ヌキナ「なんか、ずるい!」
2人の前に天の沼矛が現れる。ソレを二人が手にして怪人に振り下ろした。
サエキ&フシミ「「天地開闢!!時空割断斬り!!」」
ニーズホッグ「おふ!」
光波を背中に受けた怪人の体は真っ二つに両断されてその場に倒れた。
ワカマツ「コレでソッカーの野望も……」
ヌキナ「待ってみんな!」
ゴゴゴゴゴ……
ニーズホッグの体は元通りになるとみるみる大きくなり天井を突き破った。それと同時に時が止まる。
ニーズホッグ(巨大化)「くそ!こうなりゃナンマイダーだけでも道連れにしてやる!」
それを見たワカマツも咄嗟にアミダーZを呼び出した。
フシミ「私も。ダキニーten!起動!」
2体の巨大ロボが空から降臨する。
アミダーZ「!」
アミダーZはニーズホッグに蹴りをお見舞いした。ニーズホッグは独りでに動いた、アミダーZに対応できずに蹴りをもろに腹部に食らいよろめいた。
サエキ「シッダー博士……」コックピットに瞬間移動したナンマイダー達、サエキはふと独り言を口にしていた。
ヌキナ「あれ、フドーソン?」
ヌキナはアミダーZの隣に立つ初めて見る巨大ロボを凝視した。紅白で彩られた鎧具足に身を包んだ女人のような姿、両肩に白いキツネを背負って、コレまたキツネの顔をした巨大ロボ。それは、左腕に長い数珠を巻きつけていた。
ワカマツ「フドーソンと見た目が全然違うな?」
サエキ「行くぞ!アミダーZ!」
アミダーZが一吠えするとニーズホッグに張り手を高速で繰り出した。たまらず、ニーズホッグが後ろの山に倒れた。
ヌキナ「なにこれ!?プログラム?!」
ワカマツ「武器がないなら格闘だ!シッダー博士の最後の仕事さ!」
サエキ「ストIIやっててよかった!コマンド入力そのまんまだ!」
起き上がる怪人。
ニーズホッグ(巨大化)「アミダーZ。武器がなけりゃ、ただの木偶の坊だって聞いてたのに!?」
ニーズホッグがアミダーZを睨みつけた。その巨体がピタリと止まる。
サエキ「うっ!」
ヌキナ「うそ?!」
ワカマツ「モニター越しにも?!」
それを見ていたフシミの乗るダキニーtenが動いた。
フシミ「私達の出番ね!?」
ボサッツーAI『オッケー!メーン!』支援AIがフシミに応える。
フシミ『私、女なんですけど……』「トヨカワアタック!」フシミがそう叫ぶと、両肩のキツネ達が宙に浮かんで光となってニーズホッグに体当りする。
ニーズホッグ(巨大化)「ぐわ!」
それで、アミダーZの拘束が解除された。
フシミ「これも!羂索(けんじゃく)!」左手の数珠がニーズホッグの体を拘束する。
ニーズホッグ(巨大化)「嘘だろ!?動けん!?」
サエキ「今だ!八柄の剣!」臨兵闘者皆陣烈在前。サエキは素早く手印を作った。
アミダーZの前に八柄の剣が現れる。
ニーズホッグ(巨大化)「うわ!うわっ!やめてぇ!」
ナンマイダー「「「天地開闢!!!時空!!!割断斬り!!!」」」
ゾフッ!
ニーズホッグ(巨大化)「ぎゃぁぁぁ!お、オウムマン!」
チュドーン!
怪人が居なくなるとアミダーZ、ダキニーtenも姿を消し四人が地上に降り立った。
ワカマツ「強敵だったな。」
ヌキナ「後、何匹、怪人がいるんだろ?」
時間停止世界で変わった地形が元に戻りながら、時がゆっくりもとに戻りだし、ナンマイダー達の変身も解かれる。
サエキ「さあ?」
ガサ!
フシミ「!危なー!」
その時、背後の草むらからサエキの足に一匹のヘビが噛みついた。
サエキ「いって!」
サエキが尻餅をついて、異変に気づいたワカマツ達が大丈夫か?!と、駆け寄る。
フシミ「スーツが解けるこのタイミング!?やられた!」
フシミに抱き起こされる。
サエキ「だ、大丈夫……」
そう言うとサエキの顔色はみるみる青ざめていった。
ヌキナが逃げようとするヘビの頭を押さえる。
ヌキナ「捕まえた!」
ワカマツ「よし!ヘリを呼ぶ!待ってろ!サエキ!」
サエキは脂汗をダラダラ流して返事がない。
フシミは泣くしかできなかった。
フシミ「死なないで、リョータ。」
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