歴戦のキョロ充は盲愛する彼女がいる(試作)
立花戦
第1話―孤独は苦しいのです―
孤独は平等だ。
なにかするとき。人間関係や学業を向かっているときは忘れさせてくれる。
でも。一人になると孤独の時間が
ふとした事で迎える。
その独りになるのが怖くてたまらない。
「おーい、野州?」
「…………ハァー」
元気のない友達に、肩をまわして励まそうとする
偉丈夫の同級生。
「暗い顔をして、どうした野州。らしくない。
悩み事があるなら話を聞いてあげるぞ」
「あっ。なんでもないです隆元(たかもと)さん」
最初に心配して声をかけた同級生には気付かず。
ぼんやりとした孤独からの思考を中断。
慌てて顔を向けて相手は苦笑を浮かべる。
「なんーでー。毛利隆元は応えて、オレには無視なんかするんよ」
「ご、ごめんですって。
吉川元春(きっかわもとはる)さん」
肩を回してきたのは身長が173mもある精強な吉川元春。
手刀を作って笑って謝罪をすると気にするなと肩を叩かれる。彼は心の中で痛いと悲鳴をあげた。
「いつもは無駄に騒がられるアナタにしては珍しいこともある。
すこぶる物静かで不気味でしたよ野州久幸(やしゅう ひさゆき)」
「う、うぇーい。そんな嫌味を言うなよ小早川隆景(こばやかわたかかげ)さん」
友にしては、あまり辛辣なことを口にされても彼は……野州久幸は空気を壊さないよう徹底する。
「いいすぎだ小早川」
「そうだぞ隆景」
「事実を言ったまでだ」
やや聞き逃せないと叱責する隆元と元春だが、
そっぽを向いて反省をしない隆景。
(このリア充グループなんか……個性的すぎる。
中学の頃に他のグループを割り込んだ、おっと。
もとい所属したリア充グループは普通なウェーイ
だったのに)
独特なグループに入ったことを悔やむ野州久幸。
そんな彼は生粋のキョロ充である。
ケンカする流れを変えようと視線をめぐらす。
ちょうどいい距離に離れた太った生徒に目をつく。
「なあ、ひっそりとゲームしている奴。
あの陰キャのデブを見ろよ。ニヤニヤして気持ち悪くねぇか」
これは狩りだ。
険悪そうにある空気から陰キャを貶してバカにすることで一体感を作ろうと試みる。
しかし。
「お前は。どうしてそんなヒドイことを言うんだ。侮辱罪だと知ってるか、それは」
「えっ?」
「言っていい事と悪いことがあるだろうが。
歯を食いしばれぇ」
「ごほっ!?」
「だから告げたはずだ。こんな犯罪予備軍なんかと
排除するべきだと」
「は、犯罪予備軍……」
毛利からの冷ややかな目と静かな怒りを浴びて、
元春はその悪質な言葉を見逃せず拳を腹部に叩き込まれ、
隆景に至ってはゴミを見るような言葉をぶつける。
野州のライフポイントはゼロになった。
「どーしたの?騒いだりして、さぁ」
駆けつけるのは快活で明るいギャル。
金髪に染めて、緑色のカラーコンタクトをしており
手足は長くスリムな体型。
ここの輪にいつもいるギャルで、その日は授業中に遅刻して教師に呼び出されていた。
「どうもこうもありませんよ。ゲームしているだけのクラスメートを侮蔑したんです」
「ひーどい!謝りにいくよ野州」
「いったた。陶隆房(すえはるふさ)さん痛いです」
簡潔的な説明を聞くとギャルは強引に腕を引いて
後ろ側にある席に向かう。
突如の謝罪されて困惑する生徒。そして許した。
――中国地方の北部に位置して海に面した県。
それが島根県。
自然の景観や歴史もある。
毛利隆元たちと別れてから野州は独り歩いていた。
「今日の島根県には疫病神が出現するのかな。
海鮮類みたいな髪の女の子が徘徊している……」
通過しようにも無事に通れるか不安を抱く。
このまま回り道をいくか、夜の帰り道なんでホラーのように夜の帳が降りた風景がより演出とする。
天からポトッ、ポトッと。雨滴が落ちていき勢いは次第に強くなる。
「……あっ」
「雨が降ってきたか。って、あいつ服が濡れてブラジャーが透けているじゃないか。
クソッ!?まあまあよ」
ブレザーを脱いで野州はオバケのようにユラユラと不安定に歩く女の子を追いつくと服の上にかける。
「えっ?なに、これ」
「ただのブレザーだよ。
濡れたら見えるだろう。それに風邪とかもひく。
こんな夜道で女の子が一人で危ないだろ」
「……うん」
よく見れば若い女の子だ。前髪はカーテンのようになって顔を全体を覆われている。
濡れた髪に貼りつくようになっていて不気味できわまりないと野州は思った。
「今は変な外国人とかウロウロしていて、いるんだから安全じゃないんだぞ」
「ありがとう」
「夜道には気をつけろよ。じゃあ」
「ま、まって……お名前を……」
引き留めようとする声は後ろから聞こえていたが
スルーした。できれば声をかけたくなかった。
それに声をかけたのも普段からリア充たちが仲良く話をする中から割り込んでいく失礼な話術で鍛えられている賜物であった。
――あれから三日後。
通学時間に、ホラーゲームから飛び出した道を歩いていると綺麗な女性が柱の下にいた。
誰かを待っているのかと脳裏によぎるが俺には存じ上げない事だと去ろうとした。
「あの先日は、どうもありがとうございました」
間近から見ると、その容貌の美しさがより如実に現れている。
ほっそりとした四肢、はち切れんばかりの胸元にはツインテールを垂れていて後ろの上部からポニーテールとした髪型。
結むのに時間のかかりそうと圧巻していると俺に声をかけていると遅れて認識する野州久幸。
「ど、どこかでお会いしましたか」
「緊張しなくていいんですよ。ブレザーを掛けてくれたではありませんか」
「えっ。キミはあの時の……別人だ」
「フフッ。嫌な思いを味わったので驚かせようと思いまして。
それよりも付き合ってください!私と」
なんか物騒なことを言ったぞ。この人……美少女に声をかけられて舞い上がっていた心は、いまや離れてくれないかなと忌避感になっていた。
「いいですよ」
しかし彼は生粋のキョロ充である。
ステータスとなるような人付き合いが可能とあればそのチャンスを逃せない。たとえホラーのような
変身を遂げた人であろうと。
「や、やったーーっ!!想いが重なった瞬間が起きている。奇跡だよ」
「泣くほどッ!?
それで合う日程を決めようか」
「午後八時のここに。もちろん今日の」
「もちろん今日のですか……でも遅すぎるのよくないだろうから。午後の四時とか五時はどうです?」
「では四時にいたしましょう。
いられる時間が長いほどいいですわ」
「了解。じゃあ、また」
約束を取り付けて別れをするだけなのに。
彼女は大げさに笑みを浮かべて手大きくを振る。
まるで恋人に向けるような浮かれて幸せの絶頂期にするような……しかし野州久幸は疑問を感じながらと隅に追いやるのだった。
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