『星見山の双子星 ―かすみとあさみの異界記―』

トモさん

プロローグ ―龍鳴山の空の下で―

龍鳴山(りゅうめいざん)は、通称「星見山」と呼ばれている。標高は高くないが、周囲に高い建物や強い光がほとんどなく、晴天率の高さから天体観測にはうってつけの場所として知られていた。


その山のふもとにある町に、北野かすみと北野あさみの姉妹は暮らしていた。


かすみは16歳の高校2年生。成績は常に学年トップで、生徒会の書記も務める真面目な優等生。責任感が強く、規則を重んじ、滅多に表情を崩さない。周囲からは「お姉さんそのもの」と評されることもある。


一方の妹・あさみは14歳の中学2年生。かすみと正反対で、好奇心旺盛で行動が早く、細かいことには頓着しない。家では片付けが苦手で、宿題もギリギリに仕上げるタイプ。だが、姉に似て頭の回転は速く、直感力に長けていた。


ふたりが共通して持つ唯一の趣味が「天体観測」だった。


「天体は裏切らないから好き」と言うかすみに対し、「宇宙って、わからないことだらけでワクワクするじゃん」と笑うあさみ。考え方は違えど、ふたりは満天の星を見上げる時間を何より大切にしていた。


夏休みも終わりが見え始めたある晩、ふたりは再び龍鳴山へ向かった。天気は完璧。星が降るようにきらめく夜。


それが、すべての始まりだった。

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