【解説】

本作品はありす甲子園のための書下ろし短編です。


本作品のモデルは実在の登山家『中島建朗』さんと『稲田千秋』さんになります。

ともに1984年の生まれですが、実際にはお二人の間には特に関係は無いと思われます。


本作品はこの1年で亡くなられた、このお二人に捧げる架空の物語です。


主人公の千佳が低体温症で意識が朦朧となり、健斗と若い頃に登った山の幻を見る所から物語は始まります。やがて二人の人生が走馬灯の様に過ぎて、千佳は天国にいる健斗の元へ旅立ちます。長い年月を経て、二人の子供が運命のように一緒に山を登るという話です。なるべく明るく書こうと思いましたが難しかったです。


登山と言うのはリアルな異世界への旅です。危険も隣り合わせですがそれでも余りある魅力に多くの登山家が憑りつかれます。私も一時期はまりました。

TV番組で平出さんの妻が子供を傍にして語っていました。「今でも何か和也さんが死んだのではなく登山遠征中じゃないかって思う時があるし、そう思う方が楽だったりします」 


漫画『岳』でも最後三歩はエベレストで亡くなります。

やっぱり悲しむのはいつも残された家族や愛する者達です。

でも、天国でまた会えるといいなと思いました。



<中島建朗けんろうさん>

1984年10月19日 - 2024年7月27日 

登山家、山岳ガイド、山岳カメラマン。ピオレドール賞を3度受賞しました。奈良県高取町生まれ。少年期に父に山へ連れられていたことが、登山に親しむきっかけとなりました。関西学院大学山岳部出身。

卒業後は海外高峰の山岳ガイドを務めました。日本テレビ『世界の果てまでイッテQ!』にカメラマンとして参加。平出和也と共にシスパーレ 北東壁の未踏ルートなどの登攀に成功しています。2024年7月27日、平出とともにK2西壁を登攀中、標高約7,550メートル付近で滑落。死亡しました。今週、二人のK2挑戦の様子がNHK+で見られます。ぜひご覧ください。

https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/episode/te/Q2W7MVWWY2/


<稲田 千秋さん>

形成外科医、クライマー。1984年生まれ。学生時代から登山、クライミングに熱中、フリーランスで世界中を旅しながらクライミングを楽しむ傍ら、国際認定山岳医として、日本の山岳医療発展のため活動しました。2016年 Yosemite国立公園 El Capitan "The Nose"完登。https://www.karrimor.jp/ambassador/inada/

2025年6月26日(わずか2週間前です)南米ペルー最高峰のワスカラン山(標高6768メートル)を登山中の医師稲田千秋さん(40)と同行していた寺田紗規さん(35)が悪天候のため遭難しました。稲田さんは死亡し、寺田さんは救助されました。 24日午前1時半ごろ、氷河で覆われた山頂付近で稲田さんが低体温症の疑いで動けなくなり、2人は衛星通信で民間レスキュー機関に救助を求めました。25日午後3時ごろに救助隊が2人を発見しましたが、稲田さんは帰らぬ人となりました。2人は登山経験が豊富で、事前に入念な登山計画を立てた上で登っていました。



最後に、このような作品を書くきっかけをいただきまして、風雅ありす様ありがとうございました。「めざせ! ありす甲子園!!」


(2025.7.9)

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