第6話 準備
スケルトンガードを倒し、報酬を得た俺は、再び夜の王宮を抜け出していた。
ダンジョンの入口──暖炉の奥にある、冷たい石の螺旋階段を下りていく。
今回は、第二階層だ。
---
《王宮隠しダンジョン:地下第二階層》
【推奨レベル:5〜10】
※罠・魔物複数体とのエンカウントあり。複数体との戦闘に備えて、様々な”準備”してください。
---
前回よりも空気が重い。石壁には苔がびっしりと張り付き、見えない視線が背後を這う。
「マギア、どう思う?」
「現在のマスターのステータスと私のサポートを合わせれば、十分に踏破可能かと思います。」
「行くか。」
だが、五分も経たぬうちに、異変が起きた。
天井から落ちたスライムが足元に絡みつき、壁の裂け目から蛇型の魔獣が飛び出してきた。
そして背後から――また、魔物。
「囲まれた……っ」
四方からの襲撃に、身動きすら難しい。
火かき棒の代わりに装備した普段遣いの《亡者の小剣》で応戦するが、背負っていた荷物が邪魔をする。体の動きが鈍く、魔物の牙が肩をかすめた。
(…スキルがあるから、毒は問題ない。)
「マスター、荷の重量が動作の妨げになっていますね。……報酬部屋から得たのスキルオーブの使用許可をいただけますか?」
「……任せる。」
マギアの瞳が淡く輝く。周囲の空間がぐにゃりと歪み、俺の背から荷物袋が“消えた”。
---
《従魔マギア》がスキル《空間収納:アイテムボックス》を獲得しました。
・任意の物品を無制限収納可能(質量・温度・経過時間固定)
・呼び出しはマギアを通じて可能。使用者本人のみアクセス可。
※ユウリ・レグナスは、血の盟約により“空間収納”を共有できます。
---
「これで荷物を気にせず戦えます。今まで気付けず申し訳ありませんでした。」
「いや。アイテム整理の重要性に気付かされた。本当にありがとう。助かった。」
軽くなった身体。重荷がないだけで、世界が違って見えた。
跳ぶ、斬る、避ける。魔物の群れの間を駆け抜け、マギアの支援魔法が癒しと強化を重ねる。
「斬るッ!」
最後の蛇型魔物を斬り伏せると、第二階層の中央に新たな扉が開いた。
---
> 【チェックポイント到達】
・現在の階層クリア進行度:35%
・特定条件により報酬小箱を開放:
→取得:《小回復薬×2》《魔法石(微)》
《損害精算》発動:
・軽度損傷×3 → スキル《回避術》Lv1、《身体強化・瞬発》Lv1
ステータス:敏捷+2
---
「……“準備”って大切だな。」
「はい。今後、階層が深くなるほどアイテム管理と即応性が鍵となります。マスターのお命を守るため、精進致します。」
「頼りにしてる。マギア。」
「光栄でございます。」
肩に乗るマギアが小さく尻尾を振った。
王宮の闇も深いが、このダンジョンの深淵もまた――一筋縄ではいかない。
けれど、俺には“ユニークスキル”と“優秀な従魔”がいてくれる。
――理不尽に立ち向かって行ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。