鏡花水月(きょうかすいげつ)

翠恋 桜

第1話 プロローグ


偏頭痛がする。


雨が降ると。


どんよりした空を見て、何もかも壊したくなる。


ずっとずっと求めていたものを掴んだと思っても、指の隙間から砂時計の様に零れ落ちていく。



どこで間違ったのかな?



私が見る世界には色がない。


二十歳になって直ぐ結婚をした。


相手に対して、好きだとか愛しているとか言う恋愛感情はないまま。


理由は、倒産寸前の彼の御父様の会社を吸収する為とか。


本当の事はどうか分からない。


初めて彼に会ったのは、今時珍しい見合いと言う席。


二人きりになる時間が出来た時、彼は言った。



「結婚はする。生活が出来る様に金も口座に入金する。だが、それ以上は求めないでくれ」

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