怒りの涙

第1話

翌日。顔を洗うために洗面所へ行くと、先に使っていた虹凪と鉢合わせした。

「お姉ちゃん、大丈夫?」

 虹凪は、私の顔を見て目を丸くしている。

「うん」

 私は頷いた。

「顔、パンパンになってるよ?」

 そう言われ、やっと虹凪が驚いている理由が分かった。

「昨日、凄くお腹が痛かったから」

 私が言うと、虹凪は私に抱き着いてきた。

「泣くほど痛かったんだね。治ってよかった。後で一緒に温かい飲み物飲もうね」

 素直な虹凪を見て、嘘をついてしまったことにチクりと心が痛んだ。

虹凪が部屋に戻った後、私は洗面所の鏡を見て顔をしかめた。

「確かにこれは酷いわ」

 今日が土曜日でよかった。こんな顔、絶対に学校のみんなには見られたくない。

 私はそう思いながら、丁寧に顔を洗ってお母さんの化粧水をつけた。

 

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