絶対支配するヤンデレ美少女たちの狂気的なハーレム争奪戦!~あの夜を経験したんだから、もう逃げられないよね?~

境界セン

第1話

「まさか、あんたがここにいるなんてね」


耳元で囁かれた声に、悠人は心臓が跳ね上がった。振り返ると、そこには氷室麗華が立っていた。艶やかな黒髪が照明を反射し、深紅の唇が妖しく微笑む。


「麗華……さん」

「さん、なんてよそよそしい。昨夜は、もっと情熱的だったじゃない?」


麗華は悠人のネクタイをゆっくりと引き寄せた。至近距離で、彼女の体温と甘い香りが悠人の意識を支配する。バーの喧騒が遠のき、二人だけの世界になったような錯覚に陥った。


「あれは……その、事故、というか」

「事故? あら、私は全然そうは思わなかったけど。むしろ、必然だったとしか」


麗華の指が、悠人のシャツのボタンに触れる。その指先が熱い。昨夜の記憶が鮮明に蘇り、悠人の頬が赤くなるのが分かった。


「私、あんたのこと、もっと知りたくなったの。だから、こうして会いに来た」

「会いに来たって……ここは俺の大学だよ。一体どうやって?」


呆れたような悠人の問いに、麗華は楽しげに目を細めた。


「ふふ、簡単なことよ。私のパパが、この大学に多額の寄付をしてるの、知ってた?」

「え……?」

「つまり、私にとっては庭も同然。あんたがどこで何をしようと、私の目から逃れることなんてできないのよ」


麗華の瞳の奥に、獲物を追い詰めるような光が宿る。その視線に、悠人は背筋が凍りつくのを感じた。


「あのさ、麗華さん。俺たち、別に付き合ってるわけじゃないだろ?」

「あら、まだそんなこと言ってるの? 昨夜、あんたが私のこと、どれだけ求めてたか、忘れたわけじゃないわよね?」


麗華の指が、悠人の唇をなぞる。ぞっとするほど甘く、そして有無を言わさない圧力があった。


「ねえ、悠人。私以外の女に、その顔を見せないで。その唇で、私以外の名前を呼ばないで。それから……」


彼女の声が、一段と低くなる。


「その身体で、私以外の誰かを抱かないで。もし、そんなことがあったら……私、どうなっちゃうかわからないから」


麗華の言葉は穏やかだったが、その中に潜む狂気に、悠人は息をのんだ。これは、愛の告白なのか、それとも呪縛なのか。どちらにしても、もう彼女から逃れることはできない、そんな予感がした。


その時、背後から澄んだ声が響いた。


「あら、麗華様。こんなところで何をしていらっしゃるんですか? 佐藤教授がお探しですよ」


現れたのは、秘書課の制服に身を包んだ女性だった。黒縁メガネの奥から、冷静な視線が悠人と麗華を交互に見る。彼女の登場で、張り詰めていた空気がわずかに緩んだ。


「あら、花村さん。わざわざご苦労様。ちょうど用が済んだところよ」


麗華は悠人からゆっくりと離れると、花村と呼ばれた女性に優雅な笑みを向けた。しかし、その視線は一瞬、花村の背後にいる人物に向けられた。


「……悠人君、ですね?」


花村の隣に立っていたのは、見慣れない男子学生だった。彼は麗華とは対照的に、柔らかな雰囲気を持っている。しかし、悠人を見るその瞳の奥には、どこか警戒の色が浮かんでいた。


「君は?」

「僕は、この大学の三年生の、藤原陸。麗華様の……護衛、のようなものだ」


陸はそう言うと、悠人をじっと見つめた。その視線は、麗華とはまた違う、まるで探るような眼差しだった。この男も、麗華の何かを知っているのか。悠人の胸に、新たな波紋が広がり始めていた。そして、さらに遠くから、数人の女子学生がこちらを見ているのが見えた。彼女たちの視線にも、明らかに敵意が込められている。悠人の知らないところで、何かが動き出している、そんな予感しかしない。


「麗華様、参りましょう」

「そうね。じゃあね、悠人。またすぐに会えるわ。もちろん、私の方から、だけど」


麗華は意味深な笑みを残し、花村と陸を伴って去っていった。その背中を見送りながら、悠人は自分がとんでもない渦に巻き込まれ始めていることを自覚した。そして、その渦の中心には、あの美しい悪魔がいた。


(一体、これからどうなるんだ……?)


悠人の心臓が、妙な高揚感を伴って脈打っていた。恐怖と同時に、抗えない衝動が沸き起こる。この狂気的な日常から、彼は本当に逃れることができるのだろうか。それとも……。

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