第9話 大熊フータ



 いつものようにラウンジでリンと食事をしていると、入口から人がやってきた。


「ちーす。おっ、コタローとチビ子じゃねぇか」


「お疲れ様です、フータさん」


「アギャ」



 現れた人物は大熊フータ。ゴブリンダンジョンのクランメンバーの1人でダンジョンレスラー『レッサーマスク』の中の人。



 ダンジョンレスラーはその名の通りダンジョン内でプロレスをするレスラーのことだ。


 ダンジョンプロレス。


 ダンジョン内で行われるプロレスで通常のプロレスと違うのは対戦相手がモンスターということ。


 そしてレスラー側の冒険者は武器や魔法は使わず拳のみで戦うガチンコ勝負。


 試合はネット配信で誰でも見ることができ、大人気コンテンツとなっていた。


 レッサーマスクは可愛らしいレッサーパンダのマスクとは裏腹に豪快な戦い方で大人気だった。




「フータさんいらっしゃい。今日もチャンピオンと練習ですか?」


「おうよ。レオ、チャンプはまだ元気かい?」


「はい、ここ最近は挑戦者もいないので退屈してるそうですよ」



 このゴブリンダンジョンの第5層にいる階層ボス、ゴブリンチャンピオン。


 他のダンジョンと違い、このゴブリンチャンピオンは通常の個体よりもかなり強化されていた。


 その為攻略難易度が上がり、第5層から先に進めずこのダンジョンを諦める冒険者は多い。


 ゴブリンダンジョンに人が来ない理由の一つでもあった。



そしてその原因が


「そーかそーか。そしたら今日はたっぷり遊んでやらないとな」


 この大熊フータであった。


 フータは自分のスパーリング相手にここのゴブリンチャンピオンを定期的に鍛えており強化させていた。


  ダンジョンモンスターは倒さずにそのままにしておくと強くなることがある。


 そのため危機的状況以外では手負いのモンスターは倒すのが決まりなのだが、このダンジョンはクランの管理下にあるのでメンバーがある程度好き勝手やっても問題なかった。



「コタローとチビ子は今日も訓練かい?」


「はい、もう少しでリンが進化しそうなので」


「おう頑張れよ」


「アギャギャ」


フータはリンの頭をガシガシ撫でると更衣室へと向かっていった。





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