神と滅亡
あに
第1話
「おいおい、こっちにもたまには回してくれよ」
大柄な男が赤い防具をつけ斧を肩に担いでいる。
「じゃーあんたがさっさと動けばいいでしょ!」
こちらは黒の防具をつけて刀を持っている女性が苛立ちながら男に向かって声を荒げる。
ここは『日ノ本』、大昔に戦争があり大半が死に至る病を発症したが、生き残った人間や動物と、死にきれず化け物となった生き物がいる。
『化物』と呼ばれる生き物は魔石と言う核がある。
生き残った人間にはスキルと言う特殊な才能が発現し、それを使って化物を殺している。
化物が持つ力は強力で、倒すと倒した者が吸収する、スキルも吸収した力により発現することがある。
「さぁ、サッサと魔石を抜いて帰ろう」
白い防具で綺麗な顔立ちのリーダーが言う。
「そうね、アンタもやんなさいよ!それしか能がないんだから」
「わ、わかってるよ」
そして俺は『解体』と言うスキルしか持たない非戦闘員。
名前は、
「レン!サッサとしろ」
「はい、今やりますよ」
俺の名前は
俺は倒れている犬の化物を『解体』する。
化物の牙や骨は武具に使え、後に残った肉の中から魔石と呼ばれる石を取り出すとバッグに詰めて行く。
俺のレベルが低いのもあって、あまり重いものは持てないのだ。
「滝さん。そろそろ」
「もう持てないのか?これじゃあいくらなんでも……」
「で、ですが」
「滝、もういいじゃないか?こいつはここでお役御免で?」
「そうそう、私達はまだ先に進むのよ?」
赤い防具の
「え?こ、こんなとこで置いてかないで下さいよ」
こんな戦地の真ん中で置いてかれたら俺は生きていけない。
「悪いがレン、先に進むには切り離すしかないみたいだな」
リーダーの
「ほら、せめてもの自衛手段は渡しておくよ」
と剣を地面に刺すと俺を置いて走って行く。
「ま、待って!」
「じゃーな!またどこかで!」
「あはは、死んじゃうのにまた会うわけないでしょ?」
と走り去っていく3人は冗談でも言ってはいけないことを言っている。
……
「はぁ、やっと解放されたな」
俺はあのパーティーからようやく解放されたのだ。
最初から解放されたいわけじゃなかったが、もう俺にはパーティーはいらないからな。
刺さっている剣に手を触れて『解体』すると、『再構築』する。
『火炎剣』と名付けたこの剣を右手に持つ。
これが新たなスキルを手に入れた俺の力だ。
「よし、んじゃ俺のレベル上げでもしますか!」
俺が手に入れたスキルは三つ、『再構築』『インベントリ』『鑑定』だ。
『解体』をしてると手に入る物が分かるようになってきた、最初に覚えたのは『鑑定』だ。
次に『解体』したものを集めていたら『インベントリ』と言う異空間収納を手に入れた。
最後に『再構築』。
解体しているとどうしても必要ないものも出てくるが、それをどうにかしたいと思っていたら『再構築』と言うスキルが手に入った。
化け物のスジや筋肉などの細胞を取り込み自分を『再構築』して俺は強くなった。
今のパーティーに不満は沢山あったので自分からじゃなく、クビになるのを待っていたのだ。
あいつらはプライドが高いからな。
体の変化にも気がつかないほど、俺のことはどうでも良かったのだろう。
柔軟な肉体とバネのような筋肉に鋼のような皮膚を持つ俺はもう人間辞めたのかな?
「オラァ」
とそこらにいる化物を倒して行く。
今まで我慢してた分、スピードを上げて狩っていく。
殺した分、力がついてくるのが分かる。
「さて、どこに向かうかな」
シェルターのある東京に戻るのは面倒だし、名古屋方面に向かうか。
東京にあるシェルターは食糧不足で困窮してるしな。
それに滝達はたぶんこのまま食料が豊富と言われている長野にあるシェルターに行くつもりだろうしな。
ならもう少し先の愛知に行った方がいいだろう。
『インベントリ』にいれた食料も少ないし、どこかで食料を手に入れないとな。
高速道路と言う、昔は車が走っていたらしい道を走り出す。
シェルターで学んだことだ。
昔は車が多く走っていたらしいが、今じゃ鉄屑になってそこら中にある。
走り続けて2週間が経つ、途中で休憩しながらだからそこまで進んでいないように感じるが、俺の脚は化物の筋肉だからスピードがある。
いまは静岡の看板が見えたので静岡のどこかだろう。
山が多いので山の中に入っていき、山の恵みを大量に取って行く。
『鑑定』スキルで毒のあるものはわかるので、安全なものからできるだけ取って行く。
山の中にも化物は潜んでいて猪の化物と遭遇する。
「おっ、今日は肉が食えるかな」
『ブモォォォ』
突進してくる猪の化物を避けて火炎剣で頭を斬り落とす。
勢いよく木にぶつかり大地を揺らす。
「ふぅ、さて解体、解体、っと」
化物の肉もこう言う獣の化物は食える。
人型の化物は流石に食う気になれないし、狼なんかは筋張って美味しくない。
「よし、解体終わりっと」
インベントリに入れて置けば腐ることもない。
『きゃぁぁぁぁぁ……』
「ん?人がいるのか?」
俺は声がした方に走って行くと狼に囲まれたパーティーがいた。
「助けはいるか?」
何人かやられているな。女性ばかりのパーティーのようだな。
「た、助けてください!」
「金か食い物よこせよ?」
タダほど高いものはないからな。
「は、はい!」
「じゃー、喜んで!」
と狼の群れに飛びかかっていく。
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