第20話 大樹と悠馬と翔太と犯人A
悠馬の先祖である道長と犯人Aの先祖である英明は上司と部下の関係にあったが、その関係は受け継がれて悠馬と犯人Aは非常に馬が合う。
4人は怨霊となり「死」を連想させる4日間だけ、この世に恨みを晴らそうとやって来た。
「ねえ僕は父を恨んでいるんだ。『お前は我が家の恥。勉強する価値ナシ!出来損ない💢💢💢妹美咲とは天と地だ。この出来損ないが!💢💢💢』こんな事ばかり言われて俺は毎日が地獄だった。父をそして…妹美咲を残酷な方法で殺害して下さい。お願いします!」
「可愛い息子のような存在の悠馬君の望みを叶えてあげたいけど……やるだけやって見るね!」
こう言ってあの日の深夜、怨霊となって祖父母宅に侵入した。そして…先ずは2階に侵入して、家族で川の字に眠っている悠馬の父と妹美咲を殺害しようとしたが、父学が 邪気払いに効果のあるパワーストーンを忍ばせていたらしく、余程苦手だった犯人Aは慌てて退散した。そこには死霊となった悠馬もいたが、邪気払いに効果のあるパワーストーンに恐れをなし慌てて逃げた。
だが、犯人Aの欲望はおさまらない。1階に行き無防備だった祖父母の体を、切り裂き内臓を隅から隅まで堪能して血の海と化した家から消えた。
「クックック!人の血を見ると興奮してゾクゾクする。ふっふっふっ!はっはっはっは!ああああああああ!興奮する。もっともっと……わっはっはっは」
これで分かるように、両親から殺人鬼と咎められた理由は犯行の場所に必ず悠馬がいたからだ。だが未遂に終わっていた。
こうして…悠馬の元に戻った犯人Aだったが、悠馬はあの時パワーストーンに恐れをなし慌てて逃げたので、後の事は知らなかった。犯人Aがまさかそのような行為に及んでいようとは努々思わなかった。犯人Aの言葉を聞いてショックで言葉も出ない。
「えええええぇぇええええええっ!父と妹美咲の代わりに祖父母を殺害しただって⁈ゥウウウッ(´;ω;`)ウッ…わ~~~ん😭わ~~~ん😭わ~~~ん😭」
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「実は…悠馬君は優秀でパーフェクトボーイと呼ばれているが、父学から精神的虐待を受けていたという事が判明しました。父は京大卒の弁護士。そして…代々続く『弁護士事務所水木弁護士事務所』を悠馬君に継いで欲しいとかねがね考えていた。悠馬君自体も世間一般的には優秀だったが、代々京大卒の弁護士だった水木家だったのだが、悠馬君は京都大学法学部には2年連続で落ちて、更には京大総合人間学部にも合格できなくて、慶應義塾大学経済学部に入学したが、それを不満に思う父学。お前は我が家の恥。勉強する価値ナシ!出来損ない💢💢💢妹美咲とは天と地だ。この出来損ないが!💢💢💢その美咲ちゃんは高校は、東京でも1~2の偏差値を誇る高校の特進クラスに進んだエリートらしいです。だから…悠馬君は常日頃から父と妹美咲ちゃんを憎んでいたらしいです。そんな理由から祖父母と言っても父方の方ではなく、母親の祖父母宅にしか悠馬君は行かなかったというのです」
予備校が運営する人気の全国模試は自分の現時点での学力を把握するために、模試を繰り返し受ける必要がある。高校1,2年生は3か月〜半年に1回、ほどの頻度で定期的に模試を受けることが必要だ。高校3年生は学力の高い学校では信頼性の高い模試ばかりをたくさん受けることになる。また志望大学や学部など、自分の目的に合わせて受験する模試を選択する必要がある。
悠馬も高校1,2,3年生で度々予備校が運営する人気の全国模試を受けたが、慶応義塾大学経済学部だけが、なんとか合格ラインに達していた。『京都大学法学部には2年連続で落ちて、更には京大文学部人間学科にも合格できなくて』とあるが、それは全国模試を受けた結果程遠い結果で到底夢のまた夢と言う結果になり、父から罵倒される日々が続いていただけで、現実には高校3年生で亡くなっていた悠馬は、よく夢の中に京都大学法学部に合格できなくて、慶応義塾大学経済学部にしか合格できなくて父学に罵倒される悪夢を見ていた。
罵倒する父に許せない気持ちで一杯だったが、頭にきて抵抗すると怒り狂う父に復讐心を募らせていた。
最終地点は弁護士なのだが、水木家の家訓は京大法学部から弁護士になる事だった。それなので幽霊となってまで、恐怖で大学生活の幻覚が現れていた。
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悠馬は父学を恨んでいた。徹底的に追い込む父が許せなかった。
2023年6月下旬に祖父母の家で一家惨殺事件は起きたが、次の2つの事件も同時期に起きていた。この3つの猟奇的殺人事件は犯人Aの犯行だと言われていたが、やはりそうだった。
午後9時過ぎに岡崎市の「鳥川ホタルの里 」付近の橋の上から田村陽子さん75歳が、何者かによって降下に突き落とされた事件だが、あの時友里花ちゃんは彼氏と一緒に来ていたが、それはあの世からやって来た悠馬だった。悠馬と祖父母は幽霊となって「鳥川ホタルの里 」に来ていた。
友里花ちゃんも5日前に亡くなった悠馬君が、4日間の期限付きで現れ驚きで一杯だ。別に彼女ではなく近所のお友達の1人だった。
そしてこの2人だが、悠馬と犯人Aは交換条件を提案していた。
犯人Aは悠馬の父といけ好かない生意気な妹美咲の殺害を、意図も容易く引き受けてくれた。
そうなのだ。犯人Aは殺害に快感を感じる男なので、殺害を快諾してくれたが、一方で自分の力では誘い出すことは不可能な、憎き利信の子孫田村陽子さんを悠馬から誘い出してもらう事で交換条件はまとまった。
あの時柳田が目撃した学生。そうなのだ。少女のようにときめく田村陽子さんを目撃されていたが、その相手は悠馬だった。こうして…悠馬に誘われ出掛け、犯人Aの愛車トヨタヴォクシーまで連れ出し、後は犯人Aの思い通りにされて体を切り裂かれてしまった。
あの夜を再現すると、犯人Aと悠馬は死んでいるので透明で正体不明だ。だけど友里花にはハッキリ見えた。友里花は先祖の霊に吸い寄せられ田嶋陽子さんに近付いたのだが、霊体質の友里花だけは悠馬と犯人Aがハッキリ見えた。彼氏というのは悠馬で、ただの近所の友達だった。
あの時友里花ちゃんは田村陽子さんを引き留めようとしたが、犯人Aが一気に谷底に落とした。
友里花ちゃんは手を掴んだが、犯人Aの体はスーッと消えた。
そして…犯人Aの顔を一瞬見たが、目出し帽の中は骸骨だった。
「キャ――――――――――――――――――――――――ッ!」
友里花ちゃんは卒倒してしまった。
「体を切り裂き内臓を見るのが俺の趣味だ。あーはっはっはっは……あーはっはっはっは……人の血を見ると興奮してゾクゾクする。ふっふっふっ!はっはっはっは!ああああああああ!興奮する」
そう言うと怨霊となった犯人Aは、霊力で一瞬で内臓を閉じて田村陽子さんを谷底に落とした。
更には、小5男児が祖父の家に行くと言って昼過ぎに家を出た後、ある男と偶然出会った。男は男児に対し「青色に黒と黄色に赤の超綺麗な蝶々あげるからついておいでよ」といって近所の高台に誘い出し、その場で絞殺して側にあった廃墟に遺体を隠した。そして…次の日、その男は前日の殺害現場の廃墟を訪れ、男児の遺体の首を金のこぎりで切断、頭部のみ家に持ち帰った。翌朝、被害男児の頭部が愛知県岡崎市✕✕町の空民家の庭で発見された。目は見開かれていた状態だった。
この小5男児の先祖は埋蔵金武士団の頭領利信の部下Tだった。犯人Aの先祖は英明だが、英明は利信を恨んでいる。ピストルで撃たれ生き埋めにされて、更には妻夕花を寝取られ「日光繊維」を乗っ取った張本人だからだ。いくらTが部下だったからと言っても道長の首を切ったのはこのTだった。この事件には悠馬も並々ならぬ復讐心を燃やしている。道長は悠馬の先祖だ。
道長の死に様は見るに忍びないものだった。
「しし死にたくない。タタッ助けてくれ――――――――ッ!」
命乞いをするも、容赦なく含み笑いを浮かべ殺害したこの男を許せる訳がない。
悠馬はこの小5男児殺害現場に死霊となり犯人Aと共にやって来た。霊体質の友里花ちゃんは、死霊悠馬の後を追って小5男児殺害現場にやって来た。それは霊体質があるので自然と体が吸い寄せられるのもあるが、悠馬に好意があったのもある。だが、すでに2人の姿はなく生首だけが置かれ慌てて警察に連絡した。
「同じ恐怖と苦しみを思う存分味合わせてやったわ!💢💢💢ふっふっふ……ざまあみろ。嗚呼……欲望の歯止めが利かない。クックック!何よりも血を見ると興奮してゾクゾクする。ふっふっふっ!はっはっはっは!ああああああああ!興奮する。もっともっと……」
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結局大樹と悠馬と翔太と犯人Aの4人は、この埋蔵金事件と関係のある人物だった。過去の事件を呪い、怨霊(おんりょう)となり「死」を連想させる4日間だけ、この世に現れ仕返しをしにやって来たのだった。
法事でやって来た6月下旬の一家惨殺事件は、犯人Aの犯行で、田村陽子さんと小5男児生首置き去り事件も、犯人Aの犯行だという事は分かっているので3つの事件は犯人Aの犯行だったということだ。
それでも…埋蔵金事件の仲間とされる大学生の大樹と翔太の先祖が誰なのか分かっていないが、一体誰なのか?
実は…大樹と翔太の先祖は、埋蔵金武士団の頭領利信の部下ⅤとWだった。
2017年12月頃に自殺系サイトに目をつけたAは、多重債務(すでにある借金の返済に充てるために、他の金融業者から借り入れる行為を繰り返し、利息の支払いもかさんで借金が雪だるま式に増え続ける) やいじめなどを苦にした自殺志願者を「集団自殺しませんか」と言葉巧みに騙し、なぶり殺しにすることで自殺を「手伝い」、自らは死刑になる形で後を追う、という「無理心中目的の説得ずくの快楽殺人」という手口に及んだ。
埋蔵金武士団の頭領利信の部下ⅤとWの子孫PとRが自殺系サイトの被害者だったが、この2人ⅤとWは英明を重労働に駆り立て、時には暴力を振るう事もあった。更には利信にあることない事チクリ埋蔵金の山分け金を格段に減らされた。英明のお告げを受け、犯人Aは利信の部下ⅤとWの子孫PとRをいたぶり殺した。
2倍も働かせやがってこれだけかい。許せない!許せない!許せない!ああああああ……嗚呼……それでも…殺す感覚は止められない!クックック!人の血を見ると興奮してゾクゾクする。ふっふっふっ!はっはっはっは!ああああああああ!興奮する。もっともっと……わっはっはっは」
この様な背景があり犯人Aは次から次に殺害を実行に移した。最初は復讐の塊と化した犯人Aは一人で実行していたが、徳川埋蔵金 バスツアーと言う胡散臭いバスツアーで、偶然にも大樹と悠馬と翔太と知り合いメール交換から始まり現在に至った。
だから……大樹と翔太は頭領利信の部下ⅤとWの子孫ということもあり、非常に馬が合う。
一方の悠馬と翔太は表面上は仲が良いが、翔太が悠馬を妬んでいるので大親友とは名ばかりだ。
そして…犯人Aは悠馬と馬が合う。それはそうだろう道長(悠馬の先祖)の部下が英明(犯人Aの先祖)なのだから……。
英明の子孫だった犯人Aは先祖のお告げを受けた。
利信の部下ⅤとWは埋蔵金の残りを掘り起し盗んだというのだ。
「英明に重労働を強い、埋蔵金の分け前も減らして埋蔵金の残りを盗んだだと―――ッ!許せない!💢💢💢」
利信の部下ⅤとWの子孫で自殺志願者のPとR2人をいたぶり殺した。この2人は大樹と翔太とも親戚付き合いのあった親類だった。
「2倍も働かせやがってこれだけかい。許せない!許せない!許せない!先祖のお告げがあった。ああああああ……嗚呼……それでも…殺す感覚は止められない!クックック!人の血を見ると興奮してゾクゾクする。ふっふっふっ!はっはっはっは!ああああああああ!興奮する。もっともっと……わっはっはっは」
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大樹と悠馬と翔太と犯人Aの4人は、過去の事件を呪い怨霊となり「死」を連想させる4日間だけ、この世に現れ仕返しをしにやって来たのだった。
2人ずつに別れ、悠馬と犯人Aは行動を共にして、大樹と翔太が行動を共にしたが、大樹と翔太は犯人Aが親戚のPとRを殺害したなど夢にも思っていなかった。表面上は犯人Aは実に良心的で優しい男だった。
それでも…そんな良心的な男犯人Aと大樹と翔太が行動を共にしなかったのには、やはり過去の因縁や不思議と感じる不信感が、知らず知らずに蓄積されて行ってのことだろう。
悠馬は4日間の間に大学生になり優衣と1日だけの大学生活を堪能した。実は…優衣とは高校の頃出会っていた。もう遅いとは思ったがどうしてもダンスがやりたくてダンススクールに通ったことがあった。
「ねえ君。私のヒップホップダンスばかり見てるけど……君は踊らないの?」
「僕ダンス経験ないけど……ちょっとやって見たくなってダンススクールに通うようになったんだ」
「じゃー私が教えてあげる」
このようにして徐々に優衣とは親しくなっていった悠馬。やがて2人はデートする機会も増えて行った。
悠馬は成績優秀にしてイケメンでスポーツ万能のパーフェクトボーイ。こんな男に恋心を抱かない女子などいない。
翔太は憤慨していた。モテモテの悠馬を思う女子は星の数ほどもいる。それなのに自分の全てと言っていいほどの優衣まで奪われ悔しさでいっぱいだった。
「悠馬俺に1人くらい譲ってくれてもいいじゃないか?俺は優衣とは高校が一緒で、同級生の優衣とは友達としてグループ交際していたんだ。それなのに優衣まで奪うなんてあんまりじゃないか💢💢💢」
女子たちにすれば社交的で明るい翔太が大好きだ。それと……一番の狙いは翔太の大親友悠馬との「恋のキューピット役」になってくれることが最大の目的であった。
翔太はある日、それを利用して悠馬と女子を誘って遊びに行ったことがあった。
いつも悠馬の「恋のキューピット役」に辟易していた翔太。それなのに優衣とは友達で付き合いが長いのに、優衣とまで付き合い出すなんてあんまりだ。そう思っている翔太。
(俺は高校の同級生の優衣とは友達としてグループ交際していたんだ。それなのにあんまりじゃないか!だから俺は顔が広かったから悠馬を好きだっていう女子を誘って3人で出掛けて、悠馬の紅茶に睡眠薬を入れて眠らせ、その女子と悠馬のキス場面を携帯に収めたんだ。それを優衣に見せて引き裂こうとしたんだ。いつだって俺の大切なもの全部奪いやがって許せない!💢💢💢)
こんな死霊となっても翔太は2人の恋路を邪魔した。たった1日だけの初恋も体験できたのだが……。
次回最終話(^^♪
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