MoA:Rank4「vsフィリア」
ごきげんよう、マイグラント。
いよいよ上位帯、その最後の相手となります。
対戦相手はTA“インフィニタス”
識別名“フィリア”
彼女は世界樹海の闘いにて、迷い込んだ狂人たちを率いて幾度も世界樹へ攻撃を仕掛けた特異思考体であり、そして……あなたに最も関係が深く、伴侶とも言えるほどの関係性を築いた存在です。
彼女は操縦技術ではやや優れないものの、兵器開発については一流であり、あなたの兵装、その全ての開発設計者でもあります。
以上となります。
シルヴィアは、あなたの働きに期待しています。
エンドレスロール 草創の平原
「……!」
視界が開け、足元に薄く水の張られた、空に太陽と月が同居する平原に降り立つ。眼前には、装甲が淵源の蒼光に染まった逆関節機体が立っていた。
「マイグラント……!?どうしてここに……!?」
機体から声がする。声の主であるフィリアは、ひどく驚いている。
「まさか……シルヴィアにここへ閉じ込められて……」
フィリアは頷き、状況を理解して、すぐさま戦闘態勢に入る。
「マイグラント……今はあなたとの闘いに泥をかけること、許してください……!」
右腕に持った異形の銃器をチャージしながら、ホバー移動で後退して距離を稼いでいく。こちらが前にブーストしてからアサルトライフルによる連射を向かわせつつ、右肩の六段三連装ミサイルで中遠距離を保とうとするフィリアの機体に制御負荷をかけていく。彼女は構わず引きながら、左腕の実弾サブマシンガンを連射し、非常に高速で放たれる小口径で僅かな衝撃を蓄積させつつ、チャージが終了した瞬間に斜め後方に飛び上がりながら異形の銃器を撃ち、猛烈なプラズマの奔流が迸る。右にブーストしてそれを回避し、そのまま全速力で突っ込む。速度を乗せたアサルトライフルの連射に合わせ、フィリアは左腕の武装を肩のラックと入れ替え、代わりに装着された装置からプラズマで形成された爆導索を生み出し、眼前で振り回すことで銃弾を弾き返し、こちらが近距離まで到達したのに合わせて広く前方を薙ぎ払い、プラズマ球を撒いて爆発を起こす。反射的な後退からの爆発の終わり際を突いた前進で隙を見つけ、フィリアの胴体部にノンチャージで強化パイルバンカーを叩き込んですぐに彼女は下半身を丸め、蹴り上げからのドロップキックで接近を拒絶しようとする。蹴りを空かすように上昇し、左肩の二連グレネードキャノンで撃ち下ろし、着地のために後退しようとしていたフィリアをちょうど狩って衝撃を更に蓄積させる。わずかによろけつつもバランスを取って着地し、フィリアは右肩の大型レーザードローンを展開して、自身に追従させることで自動的にこちらへレーザーによる牽制を行う。右方向への回避を行いながらアサルトライフルをバースト射撃に切り替えて三点射でドローンを直接狙うが、器用に動いてそれを躱す。
「流石はマイグラント……
一度倒した相手の戦術は、当然のように見透かしているのですね。
ならば私も、あなたの虚を衝けるよう、知恵を絞ります……!」
フィリアは変わらず異形の銃器のチャージを行いながら後退し、入れ替えた左腕のマシンガンで弾丸を撒き散らす。三連装ミサイルを斉射しながら強気に前進し、アサルトライフルのリロードを行いながら各部のブースターを再び展開し、全速力で突進する。
「なるほど……その手は食いませんよ、マイグラント」
異形の銃器からプラズマ光線を吐き出し、こちらが右に逸れて回避すると同時に爆導索を縦に振り上げて爆発に巻き込み、空中で静止したところでレーザードローンを直接激突させ、強化パイルバンカーで受け止めたところに急接近したフィリアが速度と重量を乗せたドロップキックを極めて蹴り飛ばす。こちらも吹き飛びつつも立て直し、レーザードローンが離脱する前にノンチャージの強化パイルバンカーを叩きつけてから、三点射でブースター部を破壊して撃墜する。
「一発芸に過ぎませんか……あなたの闘志をへし折るには、まだまだ足りないようですね……!」
フィリアは着地とともに即座に異形の銃器のチャージを開始し、同じようにマシンガンを連射して牽制しようとし、再びこちらも全速力で突っ込んで銃弾を弾きながら詰める。フィリアは弾倉が空になったマシンガンを投げ捨て、爆導索を鞭のようにこちらへ振り下ろす。右側への回避から強化パイルバンカーをチャージすると、フィリアはその場で飛び上がって爆導索をもう一度振り下ろす。回避しきれないそれを甘んじて受けながら、胴体部を連結して生命エネルギーを解放し、衝撃波にフィリアを巻き込んで姿勢制御を乱し、チャージしていた強化パイルバンカーをそのままフルチャージしてフィリアに直撃させ、撃針を発射して胴体を貫通、連鎖爆発で吹き飛ばす。
「くっ……これは……」
大破こそしないものの、各部がショートして機能停止し、僅かに姿勢を崩す。
「マイグラント、どうか……」
フィリアの声が聞こえなくなる。
『TA“インフィニタス”の撃破を確認。
お疲れ様でした』
抑揚の少ないシルヴィアの声が響いて、視界が白ける。
『“MoA”――
ルナリスフィリア、制御権限の一部を私へ移譲。
私……フィリアへ。
同時に、“MoA”被験者のデータ最高管理者も、私へ。
機体データ、TA“インフィニタス”、“NLFEE/XIII”の機体図面及び制御システムを回収。
……
シルヴィア……あなたがこんなことをしているのなら。
私にも考えがあります。
マイグラントは……決して渡さない』
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