《未放送ドキュメンタリー番組「記録者 FILE.07:供物の家」制作ログ》
※映像は放送前に制作中止となり、社内ストレージからも消去されたとされる。
※以下は制作スタッフの一人が個人用メモアプリに残していた記録。
ロケ日:2024年10月9日
撮影スタッフ
ディレクター:長谷川光太郎
カメラ:沖田裕也
音声:志村亮介(後述)
アシスタント:村瀬由香里
収録前メモ(長谷川ディレクターのiPadメモより)
SNSで話題の「供物の家」騒動の真偽を確かめるため、件の“消えた廃村”へ向かう。
廃村名:地図上では「見川(みかわ)」
→現地調査:2021年の土砂災害で消滅とされているが、古地図には民家が1件だけ記録あり。
音声担当・志村が体調不良を訴える。「昨夜から耳鳴りと誰かの“つぶやき”が止まらない」と。
※ただし録音機材は異常なし。
撮影は夜間になるが、民家跡と思われる場所まで林道で接近可。
気になるのは、出発前のロケバンに貼ってあった紙切れ。
メモにはこう書かれていた:
「次は、あなたの記録が写される」
映像記録:カメラA(沖田操作)より抜粋
時刻:22:03
場所:旧・見川村 林道分岐点
(暗い山道を歩くスタッフたち。遠くから水音が聞こえる)
村瀬「誰もいないはずなのに、明かり…あれ、何?」
(カメラズーム:森の奥に、家屋らしき影と、窓から漏れる微かな灯)
長谷川「現存するはずない。地図ではこの座標、土砂で埋まってるって…」
志村「イヤホン、入れといてください……音が勝手に流れてる。スピーカー接続してないのに、音が、回ってる」
(カメラが窓の中を捉える。そこには“空の部屋”――だが、画面右隅に、椅子に座る“人物の影”がわずかに映る)
沖田「…今、映った? 人?」
(ここでカメラが一瞬ブラックアウト→すぐ復帰)
村瀬「待って…さっきの影、今、いない。…でも、画面の中だけ“視線”が残ってる」
音声ログ:志村のレコーダーより抜粋(自動同期)
[22:06]
女の声(至近距離):「写してくれて、ありがとう。これで続けられる」
男の声(不明):
→「カメラが、見るたびにちがう映像を記録してる」
→「同じ場所なのに、写ってる“時間”が違う」
※志村の声、以降入らず。
以降の記録
映像班は23:15を最後に連絡を絶つ
ロケバンはGPS上では山中で停車したまま
翌日午前、車両は発見されたが、車内のSDカード全てが“未使用状態”に初期化されていた
一方、同じ日SNS上で「現地映像」と思われる断片が多数投稿される
ただし、映像の視点が全て“カメラの外”から撮られていた
→明らかに、誰かが“撮っている”
その後、ネットに出現した不可解な動画(投稿主不明)
タイトル:《次に記録されるのはあなた》
長さ:01分02秒
構成:
開始0:01秒:「見た人の名前」がタイトル字幕に表示(閲覧端末のユーザー名を自動取得)
0:20~:投稿者不明の人物が画面に向かって手を振る
0:37~:動画の“画面外”から、自分自身の生活音が挿入される(投稿者が投稿していないはずの声や物音)
0:59~:映像の背景に“自室”と酷似した部屋が現れる
1:02:ブラックアウト&ノイズ音
最終ログ
番組制作スタッフ4名は行方不明
SNSでは「供物の家」「記録者」「Viewer」などのハッシュタグが復活しはじめる
同時に、匿名掲示板にて「見てしまったら、記録者になる」という投稿が急増
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