ネタバレ霊媒師葛原美麗
べすこ
第1話:「あんたのカルマ、今日で終わらせるわ(物理的に)」
場所は町田駅。
「若者」と「中年」と「謎の民」が雑多に交錯する、多次元カオス都市。
北口から徒歩3分――
雑居ビル4階にある喫茶アルジュナ。
窓際席。昼でも薄暗い。流れてるのはクラシックじゃない。ゴシックメタル。
そこに毎日出現する存在がいる。
無職にも会社員にも見えるのに、明らかに異質な男。
「…………(バジルチキンサンドを齧る)」
彼の名は――
葛原 美麗(くずはら びれい)。
年齢不詳。性格不明。霊媒師。
顔立ちは“儚げ耽美系”なのに、口を開けば毒と爆弾しか出ない。
依頼人は絶えないが、ほぼ全員が精神ダメージを負って帰っていく。
「先生!お願いです。霊視で、彼との縁を教えてください!」
ピンクのマスク女子が興奮気味に前のめりで叫ぶ。
「……彼、あなたの飼ってる犬のインスタに“いいね”押してるだけで、あなたには一切興味ないですね。
てか彼、今夜別の子と焼き鳥デートです。銀座の。ワリカン。」
「うっ……! え!?銀座!?!?」
「しかも相手、あなたの高校の後輩。髪型が“あざとい”で有名な女です」
その場に静寂。ピンク女子、灰になる。
私?
私はその横にいる、元・スピリチュアル界隈の闇落ちOL・橘カスミ(仮名)。
今は彼のアシスタント。
でも昔は、“ジェーン”として知られたスピ系メンヘラインフルエンサーだった。
先生、いや、びれい氏は今日もタロットすら出さずに予言を続ける。
「名前も生年月日もいらない。
あんたの“魂のWi-Fi”が、漏れてるだけだ。
情報ダダ洩れ。ていうか自分で出してる。
パスワード甘すぎ。'1122aiChisa'はもうやめとけ」
びれい氏の才能は、本当に“見える”こと。
しかもそれがリアルで物理。
次元の裂け目までガン見してしまう、リアル【異界観測者】。
「先生、私、最近夢に赤い目の龍が……」
「そいつウィルダラン。第四次元の監視者。
あーでもそいつさ、最近“龍活”疲れで魂の休暇取ってるから。夢はただのプロモーション映像だな」
「龍、そんなに忙しいんですか…?」
「そりゃそうだよ。人類のカルマ回収係だもん。
おまえの未練、昨日も30キロ運んでたよ。“恋に生きたい”って願いをな。
龍がトラック野郎に転生しても文句言えないよ?」
※ここは占いカフェではありません。
☕シーン転換:霊障編
突然、空気がビリッと震える。
客が帰ったあと、びれい氏が「……来たな」と呟いた。
空間が“変質”する。視界が重たくなり、気圧が下がる。
私の耳に、どこかの墓場で聞いたような風鈴の音が鳴った。
「橘、今こっち見んな。
後ろに立ってるお前の“元カレの念”、まだくすぶってる。
しかもアイツ、エロ動画観ながらお前の名前呼んでたから。念が強いんだよ。サイコかよ」
「先生うるさい!!!!(でも当たってる)」
-
そのまま彼は、香炉に火をつけ、謎の言語を唱えた。
「ナマル=サン=ヴェイン、ダラカ・ミア=ティル」
(※Google翻訳では出てこないやつ)
3分後、彼はスッと立ち上がり、煙を一振りして一言:
「よし。
その未練、来世のスシローで精算される。
次!」
💀エピローグ:びれい、今日も通常営業
橘カスミは、カフェの厨房に引っ込んで吐きそうになっていた。
霊視は魂を削る作業。でもびれい氏は、平然とチキンサンドを再開。
「なあカスミ。
霊ってのは、ただの“濃い念”だ。
そこにドラマがあるとか、人間側の妄想なわけ。
俺はそれを“暴露”してるだけだ。芸じゃない、事故だよ、事故。
全部、見えてんだよ。視界に入っちまうんだよ……」
「つまり?」
「人生は、ネタバレとの戦いだ。
でも俺はもう“結末”を知ってる。
お前、最後パフェに泣くぞ。マジで」
「……意味が分からん」
「分かんなくていい。それが一番平和だ」
🌟次回予告(※未定)
飛鳥タケオ(元・月刊ムーの特集担当)登場
第五次元の“幽界ユーチューバー”とびれい、地獄のコラボ配信
カスミ、過去のジュ◯コ名義がスピ界隈で再浮上しメンタル崩壊
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