『旅の小話:どちらに進む?』
それは、旅の
私、旅人のティゼルは自分で言うのもなんだけど幼さの残る可愛らしい
「う~ん」
腕を組んで、
だけど、肝心の私はそんな相棒に構ってあげられる心の余裕は無い。何故か?それは、私は今、究極の選択を迫られているから。後悔しないように選択しなければならない。ここで誤った道を選べば、選ばなかった方を私は絶対に後悔する。慎重に。そう、慎重に。自分としっかり話し合ってー。
「すいません、口挟んでも良いですか?」
リルが私に話し掛けて来た。私は少しだけむっとしてしまう。
「なあに、リル?私は今大事な選択中なの」
「いえ、それは良いんですけど……」
「じゃあ、何?空飛べるようにしてくれるの?」
「しません。そうじゃなくて、そろそろ決めませんか?どちらの国へ行くのか」
「うん。それ。それで悩んでるの」
相棒精霊リルさんからの的確過ぎる指摘。それに私は口をへの字に曲げながら目の前の分岐している道を見つめた。
草原の中。それを上から見たらYの字に切り開いたみたいに道が2つ出来ていた。その道の先にはどちらも国がある。だけど、1つだけ問題がある。ここへ来る前に商人さんから聞いた話だと、右に行けばお肉が盛んな国があって左に行けばアイスクリームやデザートがとても美味しい国があるらしい。で、その話を聞いた私はいざこの別れ道へ来て、とても迷っている。物凄く重要な事に気付いてしまったから。
ー私、お腹、空いてる。
そう、私は空腹だったのだ。旅人にとっては
(ああ、お腹空いた)
私は空腹が我慢の限界を迎えて、ついに決断したのだった。呆れたリルを
△▼△▼
はい、どうも、リルでーす。ティゼル様の相棒精霊で、現在、御主人様が超笑顔でお肉を頬張っている光景を嬉々半分、呆れ半分で見ています。
「美味しい!ああ、生き返るよ!」
ティゼル様が結局選んだのは、お肉が有名な国でした。やはり空腹には勝てなかったんですね。屋台やら露店やら色々なお肉専門店がひしめく中、ティゼル様はレストランへ入りました。出てくる料理に
「見て見てリル!ここアイスもあるよ!」
「…………」
どうやらここのレストランは、恐らくお口直しという名目でアイスもメニューにあったようです。しかも幾ら頼んでも料金一律。
「…………」
旅は選択の連続。それ自体は構いませんし、楽しいものですが、私は一言だけ物申したいです。
あの悩んでる時間絶対に要らなかったです。
『旅の小話:どちらに進む?』END
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