第9話 畜産農家

「一応使える土地のあてはあるんですけど」


「え、そうなんですか?」


今私は、塩味えみとこの間手懐けた牛を飼える土地を探している。

塩味えみが多少土地にあてがあるというのでそこに行ってみる。


「こっちの方ですね〜」


「えぇ、こんなところに」


焼華哨街えんかしょがいはこの世界の各地方の位置する街の中では大きい方だ。そのため、方向感覚をしっかりしておかないと目的地がどこなのかわからなくなってしまう。

burger counter《バーガーカウンター》は上を北として上空から街を見たとき南東側にある、中央よりの右下にある。今私たちはそこからまっすぐ北に上がっている。


「街の外には出ないはずだから、そろそろだと思うんですけど」


「なるほど、、」


burger counter《バーガーカウンター》に隣接してる中くらいの通りからずっとまっすぐ歩いている。左右はレンガや鉄格子の柵、綺麗なステンドグラスなどで建てられた洋風な建物。色鮮やかで生き生きとしている植物で埋め尽くされている。


「ここかな」


ある程度歩いた後、左に曲がりさらに街の中心部である大広場についた。


「え、ここで飼うんですか?」


「まさか。違いますよ。私はお父さんだけとんでもない人でしたが、他の人との関係はとても良くて、いろんな人と繋がってるんですよ。そこで知り合いの畜産農家の方が毎週末営んでいる大広場の屋台に会いにきたんですよ」


「なるほど、じゃあその農家の方ならもしかして土地を貸してくれるかもということですか?」


「はい、まぁざっと言ってしまえばそういうことですね」


「ちなみになんて屋台なんですか?」


「えっとなんでしたっけ、、、、」


と、塩味えみは思い出そうと腕を組んだ。

その時だった。


「おぉ!久しぶりだなぁ!」


後ろから声がした。


「え、、、」


振り向くと、全く知らない背の高い男の人が立っていた。

目線を見ると話しかけてるのは私じゃなく、塩味えみの話しかけているように見えた。


「あ!ご無沙汰しています〜」


「いいよいいよ!そんなかしこまんなくて!」


そう言った後、男性は私に目を向けた。


「ん?君は見たことないねぇ、塩味えみの知り合いかい?」


「あぁ、初めまして。burger counter《バーガーカウンター》を営んでいる旨味 卵むねみ らんと申します。あなたは、、」


「君もそんなかしこまんなくて良いよ!俺の名前は辛江 御井斗かれえ みいと。この近くで畜産農家をしてる!よろしくな!」


「はい、よろしくお願いします!」


「ところでなんで君たちはこんなところにいるんだ?」


「私たちは、この前捕まえた牛の飼育スペースを探しているんです。それで塩味えみから良いところがあると聞いてあなたを探していたんです」


「なぁるほどな、つまり俺の農場の一部を貸せれば良いってことか」


「はい」


「ま、それは良いぜ。でも一つ困ったことがあってな」


「どうかしたんですか?」


「あぁ、ま、とりあえずついてきてくれ」


「わかりました〜」


そう言った御井斗みいとの後を追う、らん塩味えみだった。

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