たまごファンタジー
Green tea
1章 幻のたまご
第1話 とある街角の小さな料理店
ジュゥゥゥゥゥ‼︎
香ばしいお肉を焼く臭いと食欲を刺激する心地のいい音が店内を包む。
時刻はちょい昼過ぎくらいの、午後1:24。
ここの店では毎週火、木の午後1時から午後3時までの間で限定メニューが提供されている。
今日は水曜日なのでこの時間帯も通常メニューだが、明日の限定メニューのために食材を調達してこないといけない。
「すみませーん」
お客様の呼ぶ声が聞こえた。おそらく注文だろう。
「はーい!すぐに!」
そう言って、お客様のテーブルの向かう。16番テーブルからの注文だった。
「お待たせしました。ご注文をどうぞ」
「えっと、このプレミアムスターク牛のハンバーグ定食と、、、」
「僕、このたらマヨロングポテト食べたい!」
途端に息子と思われる小さい男の子がお父さんの言葉を遮った。
「これ?美味しそうだな、じゃあこれも」
「了解です」
お父さんと思われる人物は快く息子の要望を聞き入れ、注文をした。
「それでは確認させていただきます。プレミアムスターク牛のハンバーグ定食が一点、たらマヨロングポテトが一点でよろしいですか?」
「はい、よろしくお願いします」
「承知しました」
そう返事して私は厨房に戻る。この時間帯はとても店が混み合う。とてもありがたいことだが、忙しくて大変になってくる。
なので基本的には、この時間だけ毎日アルバイトを3人程雇っているのだが、、、
今日は運悪く全員休みらしい。
ということで私、店主である『
そんなことを考えながら厨房の奥に行き、中からスターク牛の分厚い肉を取ってきた。
スタークとはドイツ語で『強靭』という意味で、この牛肉の歯応えにはぴったりの名前だ。
この世界はとても広い、さまざまな生き物や食材が存在する。
スターク牛もそのうちの一つ。牛という生き物の括りではきっと上の下ランクあたりだろう。その中でも食材のランクとして、ノーマル→コモン→アンコモン→レアの順番で高級になる。もちろん今回扱う食材は肉なので部位などにもこだわる必要がある。
今回使うのはA5ランクのコモン、部位はサーロイン。一部の客にしか知られていないほど小さい料理店のうちにとっては結構な高級品だ。
「よし、始めるか!」
そう言って、肉を焼くのに適切なサイズに捌き始める。
この店の構造は、入り口から入って右側にテーブルやカウンターが広がっている。
厨房は入り口をまっすぐ行ったところに扉があり、そこから調理室や冷凍庫や倉庫に繋がってる。
厨房は全面ガラス張りでテーブル席やカウンターから捌くところや焼くところを実際に見ることができる。
数分して
「よしできた〜」
木製の器にサイコロ状の食べやすい大きさの肉がたくさん盛られていて小さな器の中にあるガーリックソースが置かれていた。肉の下敷きに挟まれるようにレタスを置き、小さめのポテトを数本脇に添えた、プレミアムスターク牛のステーキ定食の完成!
「そうだ、ロングポテト!」
ジャガイモをペースト状にして壁にかかってる調理器具で細長いものにしていく。それを超高熱の油と共に揚げる。この店の揚げ方は短時間で外側がカリッとした食感にするように仕上げている。
仕上げに塩胡椒を振って、保存していたたらマヨソースを添える。
「よし!完成!」
出来立てほかほかの2品を16番テーブルまで持っていく。
「お待たいたしました。こちら、プレミアムスターク牛のハンバーグ定食とたらマヨロングポテトです」
「ながあぁ〜い!」
あまりの長さにとてもびっくりしたらしい。
当たり前だ、このレストランはそこまで大きくないものの実績は確かなもの。
ここガイラ地方に位置する
ここでは毎年、様々な部門で料理賞コンテストが開かれる。
私の店は今のところ、ロングポテト賞3連覇、ジャンキーバーガー賞2連覇中。ポテトに関しては長さも美味しさもこの街1のものだ。
こうやって、自分の腕前で賞を取り、人を笑顔にさせられる自分の料理とこの店、名前は『
ちなみに、なぜ名前がこんなのかと言うと。本来ここはハンバーガー専門店として初オープンしていた。そしてカウンターという店員と気軽に話ができる距離から、その自由さを求めたく、この2つから『
「すみませ〜ん、ご注文お願いしまーす」
お客様だ。
「はーい、今行きます!」
今日も今日とて忙しいなぁ!
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