第12話

 ギルドに戻ったマイは、討伐証明部位のホーンラビットの角を受付に差し出した。

受付嬢が数を確認し、にこやかに笑う。


「確認しました。依頼達成ですね。お疲れさまでした、マイさん」


「……はい」


 依頼報酬を受け取ると、軽装のまま椅子に腰掛けた。

広間では他の冒険者たちが酒を飲み、談笑し、あるいは次の依頼を品定めしている。

そのざわめきの中で、マイは目を閉じて息を整えた。


(……そろそろ寝ないと)


「明日もがんばろ」


小さく呟いた声は、誰にも聞こえなかった。


 ちょうどその時、同じギルドの冒険者たちが帰ってきて、戦いの武勇伝を語り合っている。

マイは視線をそちらに向けたが、すぐに逸らした。

彼らと同じように、自分も強さを証明しなければならない。

ただの新米ではなく、本物の冒険者として。


 拳を膝の上で固く握りしめる。


ーーー


 翌日、マイはフォレストウルフの討伐依頼を受けていた。

群れを作る中型魔獣で、索敵を怠れば背後から襲われかねない相手だ。

普通はパーティーで戦う依頼だがマイにはソロで戦える気がした。




あとがき

おもしろかったら☆と♡をおしてほしいです。

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