第14話:泡裁きのアルブロア ~笑う者、泡に沈む~


黒泡帯への突入から43分。

ツッコム君は、他の艦を置いて単騎で泡スライドしていた。

泡ナビの案内音が、ずっと「感情検知不能です」と言い続けている。


風は止まり、泡は冷たい。

ゲージは点滅――“笑いに耐えている”のではなく、“笑いが発生しない”状態。

それは、ギャグ世界の否定だった。


---


そして、彼は見た。


泡の深層――そこに立つ影。


高密度泡で構成された巨大な人格。

その身に宿すは沈黙、目に宿すは判決。


**アルブロア――泡裁きの者。**


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### ⚖️ 開口


**アルブロア(低音、泡に響く)**

「笑う者は、泡に沈む。

ツッコミは泡を割り、秩序を壊す。

お前の“なんでやねん”は、泡の死刑宣告だ」


**ツッコム君(静かに)**

「…なんやこの空気。

ツッコミって…裁かれるようなもんか?

俺が割ってきた泡、だいたい勝手に割れてたやつやぞ?」


泡がひとつ――ゆっくりと、彼の足元に湧き上がる。

その泡は叫んでいた。


> 「笑いました」


---


### ⛓️ 泡拘束


泡が一瞬で凍りつき、泡鎖が現れる。

笑った泡は、泡で閉じ込められる。

泡の中に「ごめんなさい」と記された。


**アルブロア**

「泡は笑うべきではない。

感情を動かせば、世界が乱れる。

お前は泡の自由を奪ってきた罪を、ここで償え」


---


### 💥 反論:ツッコミ哲学


**ツッコム君(静かに笑いながら)**

「泡に感情あるってこと認めとるやんけ。

それなら、ツッコミで笑うことも許されるやろ。

俺の“なんでやねん”が泡に届くなら、

その泡は――生きてるやん。

生きてる泡に、笑う権利を閉じ込めてどうする」


泡が震えた。泡裁きの空間で、わずかに波紋が広がる。


**アルブロア**

「…裁き対象:お前。罪状:言語による笑撃誘導」


泡裁きが始まった。


---


### ⚔️ 戦闘:泡論戦


アルブロアが泡を展開。

巨大な泡書「笑撃記録簿」から、過去の“ツッコム君の発言”が再生されていく。


> 「転んで拍手されたって誰が嬉しいねん!」

> 「看板で人格崩れんの意味わからんやろ!」

> 「ヒゲに風のセンサーつけたん誰やねん!」

> 「カニ様のハサミ、左右ばっかでたまには上下開いてみろや!」


泡が割れるたびに、アルブロアが言う。


**アルブロア**

「この泡…笑った。お前の罪だ」


ツッコム君は――笑いながら、進む。


**ツッコム君**

「罪って…俺、ただ“変やな”って言っただけや。

それに、俺の言葉で笑った泡がいたら…それが“生きてる証拠”やろ?」


泡鎖が彼に迫る。

その瞬間、泡がツッコム君自身のセリフで反撃を始めた。


> 泡セリフ再生:

> 「なんでやねん」

> 「なんでやねん」

> 「なんでやねん」


泡振動:最大値

泡感情波:復活中


---


### 🌊 決着:泡裁き崩壊


泡鎖が振動に耐えきれず、砕ける。


ツッコム君の足元の泡が、“笑って”自ら割れた。

その割れ方は美しかった。まるで命の証明のように。


**アルブロア(沈黙)**

「…泡を、笑わせた…裁きは……意味を持たないのか……」


彼の泡体がゆっくり崩れ、静かに融けていく。

泡が涙のように落ちる。

それは裁きではない。感情だった。


---


**ツッコム君(静かに)**

「笑えるやつは…裁かれんでええねん。

それだけや。

泡は、それだけでええねん」


---


🦀 次回予告!

**第15話:ヨコマザン ~方向すら失った泡の中で**

左右さえも否定する四天王、ヨコマザンと邂逅!

ツッコム君の“方向感覚”が溶け始める!?

笑いに“進む”とは何かを問う、泡哲学ギャグ第2戦――

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