海賊の後継者〜遺産を受け継いだ村人、伝説のお宝を探す英雄譚〜

夕霧蒼

序章 世界海賊の遺産編

第1話 プロローグ

 数年振りに夢を見た。

 寝付けない僕に大好きなお母さんが、“世界海賊の伝記“を読み聞かせてくれている夢だ。


『世界海賊って本当にいたの?』


 僕が首を傾げながら聞くと、お母さんは優しく微笑みながら、『本当だよ』と優しく返してくれた。


 伝記の中で気になったことを聞いた。


『世界海賊はどんなお宝を求めたの?』


 伝記の中では“お宝“としか書かれておらず、その“お宝“が何なのか分からない。だからこそ、世界海賊が探し求めている“お宝“が気になる。


『でも伝記にも書かれていないから、お母さんに聞いても分からない……よね』


 そう言うと、お母さんはクスクスした。

 どうして笑ったのか分からない僕は首を傾げていると、お母さんは口を開いた。


『実はお母さんはお宝の正体を知っているのよ』

『…………っえ?! どうしてお母さんが!?』

『それはね、この辺境の村に世界海賊の船長さんがやって来たことがあって、色々な話を聞かせてくれた話を村長から聞いたことがあるのよ』

『そ…村長って、凄い人なんだね』

『そうよ。だから村長の言うことはちゃんと聞かないとダメだからね? この約束を守れない子には、お宝の正体は教えないからね!』


 そう言われて、元気よく素直な返事をした。


 返事をした僕に、お母さんは優しく頭を撫でてから、微笑み、そして唇を動かした。


『世界海賊が求めたお宝はね、十二星座をモチーフにしたお宝なのよ』

『十二……星座?』


 聞きなれない言葉に、首を傾げながら聞き返す。


『そうよ。夜空に広がる星々の中に十二星座と呼ばれる星があるの。その十二星座をモチーフにしたお宝には様々な力が備わっているのよ』

『様々な力……!!』


 その言葉に僕は目を輝かせた。

 だけど、その輝きはすぐに失われた。


『そうよ。 その力については分からないけど、世界海賊はそのお宝を求めたのよ』

『力は分からないんだね……』


 落ち込んでいた僕に、お母さんは頭を優しく撫でてきた。


『それならーーーーがもう少し大きくなったらお宝を探す旅に出て、自分の目でどんな力が秘めているのか確認するのもいいかもね!』

『でも…それだとお母さんが一人になっちゃうよ』

『確かに最愛の息子と離ればなれになるのは寂しいけど、男の子なんだから広い世界を見て来てほしい気持ちもあるのよ。辺境の村で一生を過ごすこともないんだからね?』


 お母さんの言葉に、僕は唇を噛み締める。

 旅に出たい気持ちはある。この本ーーー世界海賊のように世界を旅したい気持ちが。だけど、お母さんを一人にすることになるし、何より旅の資金なども必要になる。こんな辺境の村人が数年でどうこうできる訳がない。


『色々と不安なことはあると思うけど、お母さんとしては、やっぱり世界を見て来てほしいな。自慢の息子の英雄譚とか憧れるしね!』


 お母さんは優しく微笑む。


『…………今すぐには答えが出ないけど、必ずお母さんが喜ぶ決断をするよ!それまで待ってて!』

『ふふふっ。 分かったわ。 自慢の息子がどのような決断をするのか楽しみにしているわね』


 そう言いながら、再びお母さんは僕の頭を優しく撫でた。そしてふと思い出したように、続けて唇を動かした。


『あっ、もし世界海賊のお宝を探す旅に出たら、気を付けてほしいことがあるの』

『気を付けてほしいこと?』

『そう。実は十二星座をモチーフにしたお宝を狙っているのは世界海賊だけではなくーーーーー』


 そこで僕は覚醒をし、夢は途中で終わった。

 

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