Day29 思い付き (中嶌、岡田、梶原)

 小さい頃から、計画を立てて、それに向かって行動することが多かった。父からはちょっと物足りないような目をされる一方で、母からはもう少し効率の良い計画の立て方を教わったりもしていた。

 それがいまや、

「俺、思い付きでこんなに色々やるようになったの、きよがサークル入ってきてからだわ……」

「奇遇だな、俺も同じく」

 今日も今日とて、きよ、こと、梶原の思い付きで二つほど山を越えた町――街ではない、町だ――まで車を走らせた三人は、梶原がどこかで仕入れた美味しい店情報で上位だったらしい店のカレーに舌鼓をうっていた。

「美味しいから大丈夫っすよ」

「今回は、な」

「あー、あったな、そういや」

「えー」

 失敗談で盛り上がりながらも、みるみるうちに皿は空になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る