Day25 じりじり (岡田)
じりじりと音がしそうなほどに熱い陽射しが路面を焼いている。
う~ん、ここで卵のパックを落としたら目玉焼きできるかな。できないな。きっと体感は灼熱なのだろう地面にぺたりと寝そべる猫を横目に、ぺたぺたとサンダルを鳴らして歩く。
こんな暑い日は道路を挟んで向かいのコンビニの冷やし中華がいい。大ぶりで肉厚の海老がひとつ、どんと載っているのがいい。他の麺類よりも若干高めの値段設定で懐は痛いが、それよりも午後もこの暑さを乗り切るための活力がほしい。
自動ドアの開け閉めと共に軽快な、ともすると間抜けに聞こえなくもないメロディーと冷気に迎え入れられる。
お目当ての棚は、入って奥。いつもはレジ前にできている行列が、今日はない。ラッキー、とそのまま真っ直ぐ進むと、冷蔵の麺の棚はすっきりと片づいていた。それはもう、清々しいほどにすっきりと。
「え、え~⁉」
「ああ、いつもより遅いじゃない。ごめんねぇ、もう冷たい麵はみんな売り切れちゃったのよ」
暑いものねぇ、と話す推定オーナーさんの話を右から左に聞き流して、量に定評のあるカップ麵をレジに滑らせる。腹が減っては戦はできぬ。
じりじりと暑い中、予定よりずっと軽いレジ袋を提げて岡田は信号機の押しボタンを押した。
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