灰塵のカルタリア

傍観者

第一話 紡ガレ始メル物語

燃え盛る街、耳をつんざくような悲鳴、殺されていく同胞、逃げ惑う市民、血に汚れた両手。

私はどこで間違えた_? どうすれば良かった_?

どうしていたら全てを失わずにすんだ_?

憎い、仲間を家族を、最愛の弟を奪った国が、世界が! 


これは、全てを奪われた一人の少女の復讐の物語


セリド帝国から少し外れた田舎町で、私_レイ・フィールズは幼いころから

容姿端麗な女の子として、ちょっとした有名人だった。


「おやレイちゃんおでかけかい?」


「レイじゃねぇか!今度みんなでまた遊ぼうぜ!」


決して裕福な家庭ではなかったが、優しい母がいて、ちょっと頼りない父がいて、

大事な弟のセトがいた。

近所のリネおばさんやグラおじさんは野菜をくれたり、壊れたドアを直してくれたり

みんな優しかった。

セトは内気な性格で、あまり人とも喋らなかったが、レイが遊びにいったりするときはいつも背中についてきて一緒に過ごしていた。

その日はいつも燦燦と照り付ける太陽が雲に隠され、じめじめした空気が町に蔓延っていた。

いつものように広場で遊んでいた時、それは起こった。


「タッチ~、鬼交代な!」


「も~また~?」


「レイが遅いのが悪いんだろ~?タッチしてみろよ~!」


「ぐえ! ってぇーなぁ...なにすんd」


友達の顔が青白くなっているのがわかった。ぶつかったのは銃を装備した帝国の軍人だった。親が急いで駆け付け謝っていた。軍人は気にすることなく前に進み、

後ろについてきていた男の人の胸ぐらをつかんで広場の真ん中に投げた。


「これからこの者の処刑を始めるッ!」


一瞬で広場は騒然とした。泣き出す者、喚く者、怯える者。


「おじさんは悪い人じゃない!」


いわずにはいられなかった。私もあの男の人を見たことがあった。会うたびに挨拶をしてくれて、飴やお菓子をもらったこともあった。続きを言おうとしたとき、

私は母に口を抑えられ、喋ることができなかった。

なんで!?と思いながら母を見ると、母は私より悔しそうな顔で涙をこらえていた。

母もおじさんと顔見知りだったのだろう。


「この者には”紋章”が見つかった!」


”紋章”という言葉を聞いた瞬間、哀れんでいた人達は恐怖に顔色を変え、怯えだした。

「”紋章”だって?」「殺せ!」「恐ろしい...」「隠してたの!?」

いろんな声が上がったがおじさんを心配するような言葉は一つもなかった。

周りが騒然とする中、突然バンッ!と音が響いた。薬莢がカラカラと音を立てて転がり止まった時、おじさんは頭から地面に倒れ血だまりを作っていた。反対側からは脳味噌が潰れて飛び出していた。血の匂いと火薬の匂いが、湿った空気と混ざりあって、言葉にできないような気持ち悪さが渦巻いていた。


「知ってはいると思うが、”紋章”を持つ者を見つけた場合すぐに国に通報せよ!

匿った者はカルタリア《”紋章”持ち》と一緒に処刑だ!例外はない!」


全身を駆け巡るひどい悪寒と喉元からくる強烈な吐き気で立っているのさえぎりぎりだった。母はそんな私を優しく抱きしめたあと、気を失った弟を抱き上げて家に連れて帰ってくれた。


翌日、昨日の光景が頭にちらつきながら母に尋ねた。


「ねぇ..."紋章"ってなに...?」


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まだセリド帝国が一つの小さな国として存在し、多くの小国と戦争を続けていた時、

セリド国に一人目の"紋章"持ちが発現した。

”紋章”は後天的な物であり、火や氷、雷などの”紋章”がある。

”紋章”持ちの力は人智を超えており、突き進んでくる敵軍を火を操って灰にし、たった一日で隣国を攻め落とした。その後、”紋章”持ちは二人目、三人目と増えていきセリド国は次々と領土を拡大し、最終的にセリド帝国として小国をまとめ戦争は終結した。多数の国を合併したことによりセリド帝国は急速に文明を発展させた。

銃の普及や、車、電話、ビルなどの構造物を次々と建造した。

数々の武功を残した”紋章”持ちは神から力を授かったものとして、神格化され、

セリド帝国を象徴するものになった。しかし、一人で国を転覆させかねない力を持つ

”紋章”持ちに政府は恐れ、住宅街を燃やし尽くしそれを全て”紋章”持ちになすりつけ

国民に恐怖を植え付けた。次第に”紋章”持ちはカルタリアと呼ばれるようになり、

迫害の対象、悪しき神の子として扱われるようになった。

______________________________________


12年後、私は18歳、セトは14歳になった。

あの曇りの日の出来事も、もうほとんど忘れかけていた日。いつものように起きてすぐ階段を降りて半分しか開いてない目をこすりながら母に「おはよう」といった時だった。母が膝から崩れ落ちて、涙がこぼれだした。ぱくぱくと口を動かしているが

声は出てなかった。


「え!?お母さん!?どうかしたの?」


と言い、お母さんの肩に触れようと目をこすっていなかったほうの手を伸ばした時だった。その手の甲にはくっきりと”紋章”が浮かび上がっていた。

じめじめした曇りの日だった。


初めて小説を書いてみました!粗とかこうしたら面白くなるとかあると思いますが

楽しんでいただけると幸いです!

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