第4話 第一楽章(4)

「楽器が弾けるヤツは男女問わずモテる!」

それが管弦楽部、部長の第一声だった。

この学校には部活勧誘などの行事がない。

毎年、必ず賄賂わいろをして部員を増やそうとするやからがいるらしい。

それを少しでも削減するためになくして、こんな部活見学で部活紹介があるわけで…

でも、部長の第一声が「モテる!」ってインパクト強いな…

他にも見学に来ていた生徒が30人くらい《おおぜい》いてその生徒たちも、首を傾げたり、くすくす笑ったりしている。陽菜も同様に…

「あ~。えっと、副部長の細野ほそのです。ちなみにこの人が部長ね。

ほら、部長もちゃんと挨拶する!」

「う…、あー部長の渡辺わたなべです。」

「まぁ、及第点だな。まぁとりあえず今回では軽く楽器を弾いてみましょう!」

楽器…楽器を弾く!?え…私、楽器弾けないし楽譜も読めないよ?

「陽菜って、何か楽器弾ける?」

「えっとー、ピアノやってたから、楽譜は読めるけど、弾けないと思う!」

「美乃梨ちゃんは…?」

「ピアノやってたから、少しは?」

みんなピアノやってるじゃん。

「とりあえず、私たち部員が一人ずつ楽器割り振るから、それぞれ分かれてください!」

「ん~?あなた、一回ヴァイオリンやってみる?」

陽菜はヴァイオリンで…

「君はチェロ。やってみない?」

美乃梨がチェロで?

「じゃぁー残った二人はフルートかな~」

私はフルート!?ちなみにあともう一人は…

「あ、フルートの子?よろしく!私、日葵ひまり!」

「あ…澪です…」

「フルートやったことある?」

「いや…それが全く…というか楽器全般やったことナイデス…。」

「お~マジか~それでもフルートかwww」

「フルートって難しいの?」

「あー、フルートってね、口元から大変でね…」

こうして、体験を終えた私たちは…

「あ!澪!美乃梨!どうだった!?」

「チェロが意外と大きかった。」

「フルートも同じ。音が出るようになったの後半のころ。陽菜はどうだったの?」

「座ってるのから、まず無理!ついでに押さえるところとかあるんだよ!?」

「大変だったんだね…」

「で!結局みんな何の部活にするの!?私はバドミントン部!」

「私は、管弦楽かな。もとから考えてたし?」

美乃梨ちゃん管弦楽か…

私はどうしよう…

バドミントンも楽しい。けど、楽器の音が出るようになった瞬間もよかった。

でも、やっぱり…

「私、決めた!」

「お!澪は何部に入るのか!?」

「私は…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る