ペンローズの怪段 其の一

 【ビチビチビチッ】

 魔法よりも科学が発展した現代社会。

 この世のオカルトの大半は科学の力によって解明されていった。

 【ビチビチビチビチッ】

 またそれと同時に亜人や魔人と言った、世界的に永らく差別的な扱いを受けていた人種も、科学によって対等に扱われるようになっていった。

【ビチンビチンビチンッ!】

 つまり、何を言いたいのかというと。


 ──弓道部ないなった。(⁠ ⁠;⁠∀⁠;⁠)

【ビヂビヂビヂビヂビヂ!!!】


「いや、もとよりこの高校に弓道部はないし、どういう前後関係? あと暴れるな、スカート捲れるわ」


 放課後の教室の一角にて、スカートであることも気にせずに跳ね回る狂人がいた。

 名を勇レオ。一応、本当に一応この物語の主人公である。

 そんなレオを路上で寝落ちているマンボウを見るかのような目で観察しているのはレオが(無理やり)入学式で仲良くなった[魔人]の黒髪赤眼の美少女ナルちゃんであった。

 つまり私、ナレーションの私がナルちゃんである。


「そうは言っても! 言ってもォ゙!! まさか、まさか……あのセンパイがオカルト研究部の部長だったなんて!」



 この会話の原因は、彼女たちが通っている私立桜希おうき亜魔異あまい高等学校の部活動紹介での出来事だ。

 簡潔に言えば、レオの追い求めていた三年生のセンパイ──部活動紹介での挨拶によると未谷ミタニ笑龍エリさん──の所属している部活が弓道部じゃなくてオカルト研究部、しかもそこの部長だったという話だ。

 オカルト研究部にも種類はあるが、正直言うとここのオカルト研究部にはあまり近寄りたくないのがナルの正直な感想だった。

 殺るときは殺る目をしていた。身内が入部してるから知ってるけど。


「アガクッソ! 今まで弓道を邁進していた意味……しかァし、それを決めるのはオレだ。オカルト研究部でも弓が役立つことを証明してやる! 行くぞ、ナル」

「そうか。私は遠慮させていただくがな」

「行くぞナル」


 ……我慢比べというわけか。


「そうか。私は遠慮させていただくがな」

「行くぞナル」

「そうか。私は遠慮させていただくがな」

「行くぞナル」

「そうか。私は遠慮させていただくがな」

「行くぞナルラトテップ」

「…………私は遠ry──【グィィィ】待て、私は今NPCなのだぞ。押すな押すな、せめて割れ物を扱うように優しくお手々ニギニギして連行してくれ。──ニャ〜〜」

【ズザザザクザザザザ──】


 そうしてレオ(たち)はワクワク気分でオカルト研究部に行くことに決めた。

 あんちくしょーこんちくしょー。



▷▷▷



【コンコンコン……グァガシャン!!】

「邪魔しまァす!」

「上等だ、来いや!」


 なるほどね、良い部活だわ、入部しよ♡

 そんな川柳でも読むかのような満面の笑みをしているレオをよそに私は声の主へ顔を向けた。

 部室の扉の前に立っていたのは、ボブカットの紺色の髪に茶色い目をした小さい少女だった。靴の色が緑であることから二年生であることがわかる(ちなみに私たちは赤色である)。……それにしても、部長の身長もそうだけど、入部に身長制限とかないよね?


「入部したくてここに来ました! 勇レオです! よろしくお願いまァす! 後ろにいるナルm「私は無関係でぇす!」ナルァ裏切るのか!?」


 助けてー祓われるー! ここに入部したらこの子に祓われるー! ニャー!


 そんな私の応酬を見ていた、先ほどレオの冗談に気持ちのいい返答していたセンパイは「なんでも良いから中入れ」とだけ言ってオレを引っ張り込んだ……あ、助かっ──


「……チッ、お前も来い、クソナル」

「ニャ〜〜」

【ズザザザザ】



 私たちが中に入ればそこには、〝姿は見えない〟が二人の人の気配と、そこには部屋の半分以上を埋める謎の物品が丁寧に並べられていた……が、少なくともそれらの纏っているオーラがまともではなかったベッタラミョンミョン

 あ、私が作った作品も置いてあるわ、感慨深いわー。


「よーこそオカルト研究部地獄への一本道へ、アタシャ[カニ 那空ダカラ]……名前だぞ? それは置いといて、まず言っておくが、この部活はまともじゃない。それは知っておいてほしい」

「YESカオスとNOマル!」

「安心してほしい、レオコレはこっち側だ」

「──? ……? うん、うん。そうか。説明を続けよう」


 少しのフリーズの後、理解できないことを理解した蟹センパイはオカルト研究部の活動内容を話していった。

 かわいそうな蟹センパイ……。ひとえに威勢以外の何もかもが弱いせいだが……。


 話された内容を要約すれば、以下のような内容であった。 


 一:怪しい噂・情報をしゅうしゅうする。

 二:その真相を探り、解決できそうであれば解決する。

 三:場合によっては元凶の討伐、または保護を行う。


 三番に関してだけ言えば、失敗すれば〝蟹センパイ〟の様な結果になることもあるがな。と、私は彼女の心臓へ目を向けていた。あまりにも静かで、規則正しいその振動に、私は苦々しい瞳を向けた。



▷▷▷



 夕日が差し込む部室の中、説明を聞いていたレオは考えていた。一・二はともかく三だけはよく分からないが、要は自分の弓の技術の見せ所だと思えばいい、ということだろうと。

 やったらァ!


「──ふぅ。説明は以上だ。……日も傾いてきたし、今日はここまでにしよう」

「説明ありがとうごぜェました!」

「……ありがとうございました」


 しかし、連れてきてなんだが、ここに着てからのナルの反応がふしぎと薄いことをレオは密かに気にしていた──。


 うぅん、なぜか顔も険しいし……トイレかッ!!


 かもしれなかったがバカであった。結局何も思いつかないまま、勇レオはクールに去ることを選択した。逃げたとも言う。


「では、また来ます! バイバイです!」

「──少し待ってくれ」


 しかし回り込まれてしまった。


「これは入部希望者第一号への記念品だ、受け取ってくれ。ではまた」

「……はい! また」

【ガララララ、バタン!】


 逃げるような千鳥足で、部室を後にしたレオは、手渡された物に目を見やる、それは何かの木の枝のようなもので……フンッ!

 ──なるほど、いい枝だ。特にしなりがいい、弓の素材にでもシヨ♡


【……──ㇲスゥ゙ゥ゙ゥウ亞】


 ふむ、何か聞こえたが気のせいだろう。 

 そのままオレは木の枝を振りながら帰りの廊下を闊歩していた。

 ずっと。



 ズット──────…………。





▷▷▷

 続きを読んでくださってありがとうございます!

 訂正箇所、良かった場所、ドゥンドゥン教えてください! この先もよろしくお願いいたします! イエイ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る