第6話 ゴブリン退治の依頼 2 ゴブリンのイチモツと睾丸の炒め物

 ゴブリンが生息しているらしい場所に到着した。


 そこは山があり、ところどころに小さな洞窟があるような場所であった。


「ゴブリンは洞窟や廃屋などを住処にするモンスターじゃ。繁殖力が凄くて、ゴブリン同士でも増えるが、人の女を攫って苗床にすると1日で10匹単位で増えていくのじゃ。まぁそこまで強いモンスターではないし、力も子供程度じゃから大人であれば負けることはまず無いのじゃ」


「何を食べて生活しているんだ? ゴブリンって」


「樹の実だったり農作物だったり家畜だったり……雑食で毒があるもの以外は何でも食べるのじゃ。スライムを食べている個体もいるらしいぞ」


 スライムって食べられる物なのか……。


「スライムは普通に食べられるが、味が無くて水っぽく、乾燥してから小麦粉と混ぜて麺として食べる場合が多いぞ。それでも美味しいとは言い難いのじゃが……」


 どんな味なのか食べてみたいな。


 スライムを麺料理に使うのか……異世界って感じだな。


「じゃぁゴブリンを退治していくが、動画は撮っているか?」


「あ、ちょっとまってくれ。視聴者に向けて挨拶をしてくれると助かる」


「むむ、そうなのか? どんな挨拶をすればいい?」


 ゼフィは首を傾げながら俺に質問してくる。


 俺は動画における挨拶のやり方をレクチャーしてゼフィにやってもらう。


「ふむ、なるほどのぉあざとく、可愛くやればいいのじゃな?」


「ああ、頼む」


「わかったのじゃ!」


 胸に手を当てて自信満々にゼフィは挨拶をするぞと意気込む。


 俺は撮影を始めるのだった。







『おはこんばんにちは! 皆の魔王ゼフィガルド14世なのじゃ! 今日は撮影者の下僕と一緒にゴブリンの討伐を行っていくのじゃ! 吾輩の華麗な討伐をご覧あれ!』


「……こんな感じで良いのか?」


「オッケーオッケー、いい感じ」


 動画には挨拶しながら格好良くポーズを決めるゼフィの姿が映し出されていた。


 ポーズを決める際に胸がブルンブルンと揺れて男の視聴者の視線はそっちに行くだろう。


「じゃぁゴブリンを誘導するのじゃ」


「どうやって?」


「うーん生きた動物を放り込んで誘導するのが一番なんじゃが……せっかくだからマサノブやってみるのじゃ?」


「え?」






 えー、カメラを持って皆さんこんにちは。


 カメラマンに徹しようと思っていたら囮を任されたマサノブです。


 ゼフィからは何やら防御系の魔法を色々かけてくれたので、万が一にも死ぬことは無いと言われているが、モンスターの群れをおびき寄せるなんてのはしたくないのが本音。


 ただ撮れ高になるからと嫌々ながらも現在洞窟に近づいています。


 カメラには光源補正があるようで、洞窟の中は真っ暗だが、カメラ越しに見ればある程度中の様子は分かる。


 静かに洞窟の中を進んでいくと、広い部屋の様な場所があり、ゴブゴブとゴブリンの鳴き声が聞こえてくる。


 ひーふーみーよー……全部で6体か? 


 おびき寄せるのは簡単。


 洞窟の中で大きな音を立てればゴブリン達は寄ってくるらしいので、大声で叫んでみる。


「ゴブリンのバーカ!」


 するとゴブリン達は侵入者が居ると認識したのか、俺の方に走り始めた。


 俺はカメラを抱えながら洞窟内を走り、外に一目散に逃げる。


 外に出た俺にゼフィが


「横に逃げるのじゃ!」


 と言うので洞窟の出入り口から横に走り、カメラをゼフィの方に向けると、ゼフィの手から光のキューブが現れ、それが三角錐の形で分裂していき、洞窟から出てきたゴブリンに発射されていく。


 高速で突き進んだ魔法の弾はゴブリン達を貫き、6体のゴブリンはあっという間に蜂の巣にされて動かなくなる。


「どうじゃ吾輩の魔法は?」


「光の弾が進んでいって、それが空中で線になって見えるから凄く綺麗だった」


 魔法ってこんなに綺麗な物なんだな。


 てっきり炎の塊をぶつけるとか、凍らせるとかをイメージしていたが。


「勿論対象を凍らせたり炎で攻撃するのもできるのじゃが、魔力の消耗を最小限に抑えて、攻撃するならこれが手っ取り早いのじゃよ」


 ゼフィ曰くこの魔法はストレートキューブと言う魔法で、まず弾丸の大元となるキューブを作り、それを分割することで弾丸を生み出す。


 そして分割した弾丸に推進力を付与して射出する。


 まぁやってることは魔力を物質化して発射しているだけなので工程はシンプルかつ、弾丸の大きさ、形状、発射速度を工夫すれば対象を蜂の巣にできるシンプルかつ奥深い攻撃魔法なのだとか。


「弾丸を爆発させるのもあるのじゃぞ。ボムキューブという魔法じゃがな」


 派生型もあるのかよ……。


 でも見た目は光の線がモンスターを貫く様に見えるので動画としても綺麗である。


 倒したゴブリンに近づいて、ゼフィに聞きながら魔石を採取すると、この世界のゴブリンの魔石の位置は腹部にあり、腹を捌いて手を突っ込むと親指サイズの魔石を取ることができた。


「ゼフィ、状態が綺麗な1体貰っても良いか?」


「ん? 別に良いが何をするんじゃ?」


「ちょっと異世界の他の勇者達からゴブリンを送ってくれって言われていてな」


「ほぉ……異世界の勇者と交信ができるんじゃったな」


 俺は掲示板で知り合ったモンスター研究者と言うコテハンの人物に個別メッセージを送り、ゴブリンを送ってみる。


 すると送るゴブリンが光の粒になって徐々に消失していった。


「ほぉ……異世界に送るってこうなるのじゃな」


「あ、報酬が送られてくるって」


 するとゴブリンの亡骸が先程まであった場所に光が集まり、鉄製の中華鍋が送られてきた。


「あ、ご丁寧にお玉まで付いているし……ありがてぇ」


「なんじゃ? 鍋か?」


「俺の世界だと中華鍋って呼ばれていた色々な料理に使える鍋でな。油を使った料理だとこの鍋が大活躍するんだ」


「ほぉ……なるほどのぉ……」


「なぁゼフィ、魔法で炎の玉を生み出してこの鍋を炙っても良いか?」


「ん? 別に良いが何をするんじゃ?」


「この鍋の手入れをな。あ、今じゃ無くていいぞ。この鍋使う時は手入れが必要だからな」


「ふーむ、美味い飯を作ってくれるのであれば何でも良いのじゃ」


 魔石を取り終えた俺はゴブリン達の亡骸に目を向ける。


「なぁゴブリンって食べれないのか?」


「ゴブリンを食べる? 肉は硬くて筋が多く、皮はえぐみや苦みが強いのじゃ……食べるとしたら生殖器かのぉ」


 亡骸のゴブリン達の生殖器は人間と比べても大きめで20センチ近くある。


 地球では基本動物は金玉、心臓、脳は食べられる部位とされていて、そこには毒が溜まることも無いし、ウイルスや病気持ちの場合その3箇所の何処かがおかしかったら生きていけなくなるので、安全に食べられる場所とされていた。


 ゴブリンの金玉も人の金玉より大きいし、火を通せば食べられるんじゃないかと思えてしまう。


「試しに食ってみるか」


 俺はゴブリン達のイチモツと睾丸をナイフで切り取ると、ゼフィに頼んで火の玉を魔法で空中に固定してもらう。


 それで中華鍋を炙り、コーティングを剥がすと、ゴブリンの肉から取った脂肪を鍋に入れてよくなじませる。


 中華鍋鍋に油を塗り終わったら皮を剥いてピンク色になったイチモツと精巣部分が剥き出しになった白い睾丸を川の水で洗ってから鍋で炒めていく。


 この様子も勿論動画に撮っておき、炒め終わったら大きな葉っぱに並べて完成。


 ゴブリンの男根と睾丸の炒め物である。


 お味の方は……


「ふーん、ちょっとアンモニア臭いけど食べれなくは無いな。今度やる時は臭みを取って味付けしっかりすれば美味く成りそう」


「ゴブリンの睾丸って初めて食べたのじゃ。コリコリしていて食感が面白いのぉ……味は少々苦みがあるが食えなくはないのぉ」


 評価としては10点満点中2点。


 正直美味しくは無い。


 ボソボソの黒パンよりは多少マシ程度である。


「とりあえず冒険者ギルドの方に討伐を報告しに行くか?」


「何を言っておるのじゃ? ゴブリン退治がこの数で終わる事は無いぞ。もう20体は倒さんと」


「マジか……」


 結局俺が囮をやってゼフィがゴブリンを倒す。


 これを夕方まで続けるのであった。


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