07-3・喧嘩を売られたがどういうわけか……

初めての「リアル」のバトルクエストに突入したのはいいが……。


「よくも俺をコケにしたな!」

「してない、してない」

「しただろうが!!」

「私はしてない」

「僕はかかわりない」

「俺も君とは初めて会う」


エミールにあしらわれ、ローウェルにあしらわれ、ダミアンは「意味がわからない」と個人の言い分を述べる。

だが……結局、俺に視線が集まる。

まるで俺のせいにされているみたいだ。


「勝手にケンカを売ってきたのはお前で、オレからすれば一方的だと思うが?」


エミールとローウェルは「うん、うん」と頷き、ダミアンは理解できずに首を傾げるだけ。

それを小馬鹿にされたと勘違いしたジョセフは、憤然と叫んだ。


「黙れ黙れ黙れ!!やれ!魔人ども!!」


魔人たちが攻撃を仕掛けてきた。

反応したのは、俺とダミアンだった。


「ルクス・サギタ!!(光の矢)」

「アクア・ランケア!(水の槍)」


俺は光の矢を放ち、ダミアンは鋭い水の槍を繰り出す。

魔人の一体を倒すことに成功したが、もう一体は攻撃を避け、ダミアンへと迫った。


「ソリス・グラディウス!(太陽剣)」


俺がそう唱えると、ダミアンの腰の剣が太陽のように輝く。


「これは……」

「ダミアン様!」


魔人がダミアンに襲いかかる。

だが、それは一瞬のことだった。

攻撃をかわし、ダミアンは脇腹に一閃。

魔人はあっけなく消え去った。

さすが魔法騎士の家系。

迷いが一ミリもない。

残るはジョセフだけ。

見ると、ローウェルとエミールが相手をしていた。

そこへダミアンが駆け寄る。


「ローウェル!エミール!下がれ!」


声を聞き、二人は飛び退く。

ダミアンは剣を振りかざし、ジョセフへ迫った。


「ダミアン様、だめです!!」


エミールの声で、ダミアンは我に返ったのか、いったん踏みとどまる。

その隙を逃さず、俺はジョセフの腹に思いきり拳を叩き込んだ。

光のマナを宿した一撃に、ジョセフは倒れ込む。

そして俺たちは元の場所へと戻っていた。


「大丈夫か!?」

「何事ですか?!」


駆けつけたのはマーリン校長、副校長の「ケイン・メデェス」、そして数名の教師たち。

俺たちはマーリン校長に伴われ、校長室へ。

倒れたジョセフは保健室へ運ばれていった。


「つまり、自分たちにも理由はわからないと?」

「はい、マーリン様」


「ふむ……」と校長は長い顎ひげを指で撫でながら考え込む。


「疲れているだろう。とりあえず明日のために休むといい」


俺たちは「はい」と頷き、それぞれの寮の部屋に戻った。


「ルシェル様、大丈夫ですか!?」

「心配かけたな、ラグナル……」


俺に駆け寄ってきたのは、ホワイトタイガーではないが同じ虎の獣人で、執事兼護衛を務める「ラグナル」だった。


「本当に……。今からお茶を淹れますので、少々お待ちください」

「ありがとう」


ラグナルは部屋を出てお茶の準備へ向かう。

俺はベッドに腰掛け、先ほどの出来事を整理しようと物思いに沈んだ

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