第3話
「あぁ、でも。一度消滅したようなものだし、そう思ってても仕方ないか」
消滅したまま語り継がれているのであれば、その後のことは何も明らかになっていないだろう。
そういえばあの店員、太陽神の名を口に出さなかった。太陽神とは神々の中で一等尊い神だ。名を知らない者はいないだろうに。
消滅した神のことだ。祟られたりでもしたら怖いと口に出さなかったのなら、口は軽いが頭は悪くない。別に口に出されたとて祟りなどしないけれど。
「さて。帰ろう」
見上げた夜空に向かって小さく呟く。肩に羽織っていた着物を皺にならないように丁寧に畳むと、路地から出て人の波に紛れながら山の方へと姿を消した。
およそ千年前、消滅したとされる太陽神の名は——
それはかつての私の名だった。
第一章 黎明が呼んでいる
天界から墜ちた。太陽神の証である太陽核を奪われてなんの力も持たない私はどうなるのか。まぁいい、もう疲れた——
これが神として残っている最後の記憶。
***
“天陽様”
誰かに名を呼ばれている。
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