第16章 迫る嵐

肌寒い秋風が町を吹き抜け、木々の葉はカサカサと音を立てて散り始めていた。

町の人々は祭りの準備に追われながらも、どこか落ち着かない空気を感じていた。

遠く山の向こう、魔物たちの気配が日に日に強まり、静かに嵐が近づいていたのだ。


琴音は神楽殿の縁側に座り、燃えるような夕焼け空を見上げていた。

その目は深い思索に沈み、心の奥に潜む不安を隠せなかった。


「私たちは本当に、あの魔物たちに立ち向かえるのだろうか……」


そっと呟いたその言葉は、冷たい風にかき消されそうだった。


千景はその隣に静かに腰を下ろし、琴音の手を包み込む。

「心配はいらない。君がいれば、どんな困難も乗り越えられる」


彼の言葉は温かく、琴音の心に静かな勇気を灯した。


しかし、その夜、神楽殿に異変が訪れた。

封印の力を監視していた祈りの灯が突然消え、神秘的な空気がざわつき始めたのだ。


千景はすぐに神楽殿の奥へと駆け込み、封印の結界を調べた。

そこには不穏な亀裂が入り、闇の気配が侵食し始めていた。


「封印が、確実に弱まっている……」


琴音も急いで駆けつけ、二人は言葉なく互いを見つめ合った。

この知らせは、町全体に大きな危機をもたらすものだった。


翌日、町の広場には全住民が集まった。

千景は神楽殿の神楽舞を披露しながら、町の人々に力を与えようと努めた。

琴音は巫女として祈りを捧げ、皆の心を一つに結びつける。


その時、美琴も加わり、三人は力を合わせて町の守りを強化していった。


だが、魔物の勢力は日に日に増し、夜になると黒い影が町の周囲を包み込むように迫った。


「もう、待ったなしだ」


千景の言葉には、覚悟と決意がにじんでいた。


琴音はその決意に応え、静かにうなずいた。

「私たちは、この町を守り抜きます」


夜空には星が瞬き、遠くで雷鳴が轟き始めた。

嵐の前触れが、確かに近づいていたのだった。

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