その女の事情
「ごめん、俺は明美と一緒になりたいんだ」
満は美雪の顔を見ることもなくなるべく早く家を出て行くように告げた
夫婦には高校生になる長男大地と中学生の長女まり子がいて、二人とも難しい時期ということで
長男は満が長女は美雪が育てることになった
美雪は夫が浮気をしていることは薄々気づいていたが今までもそうだったようにいつか自然消滅するだろうと考えて黙っていた
数ヶ月前から、夫が経営する会社の社員であることも、その相手が若いこととあまりにも身近であることに焦燥感を抱えていた
「ほら、これ・・・・・」
気まずそうに封筒に入った現金らしいものを机に置いた
「とりあえずまとまった金が入っている」
「これから必要になってくるものはその都度、言ってくれ」
美雪はただ呆然とこれからのことを考えていた
「行政の冷たい対応」
小料理屋を営んでいた母は最近になって、脳卒中で身体が不自由になっていた
母は後遺症のため、身体の痛みや痺れもあり長い時間立っていることも出来ないため仕込みすらまともには出来ない
接客となれば話し上手な母は頑張ってしまうに違いない
この身体では転倒するリスクも高い
美雪は年金他のことで少しでもお金がもらえないか役所に相談に出かけた
が、役人の態度はけんもほろろ
全く埒があかなかった
外国人には生活保護、支援も相当支出しているとニュースで報道していたのに
老人や障害者、学生の奨学金問題、消えた年金問題とか
どこへ行ったのか?
まるでお金を納められなくなった日本人は早く死んでくれ
と言われている気がした
日本人は強いものや外には良い顔をする人種だとつく思う
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