ローン返済のため受付嬢になったSランク冒険者、ギルド長が渋すぎて詰みそうです
五平
第1部:受付嬢あるあると、密かな恋の芽生え
第1話:Sランク冒険者、ローン地獄に落ちる
うわあああああああ!
まじかよまじかよまじかよ!
って、叫びは飲み込んだ私、えらい!
……って、全然えらくないし!
だって見てよコレ!
目の前で青ざめてる書類の束!
これ全部、ローン返済の請求書!?
マジ!?うそでしょ!?
なんで!?なんでなの!?
私、やったじゃん!
ついに手に入れたんだよ、
念願のマイホーム!
この街で指折りの、とびっきり素敵な一軒家!
朝の光が窓から差し込んで、
リビングの床がキラキラ輝いてる。
まるで宝石箱みたいに、私の夢が詰まってる!
広々リビングに、日当たりのいい庭、
お風呂も超デカくてさ、もう夢のようだったわけ!
湯船に浸かって、好きなだけ歌って、
誰にも邪魔されない至福の時間!
これまで魔王だってワンパン、
伝説のドラゴンだって余裕で討伐。
どんな難関ダンジョンだって
鼻歌交じりでクリアしてきたこの私!
あの時なんて、灼熱の火山ダンジョンで、
マグマの竜をたった一撃で沈めたんだから!
その時の報酬で、この家を……!
史上最年少でSランクに上り詰めた
最強の冒険者、アイリス様だぞ!?
家を買うなんてちょちょいのちょい……
のはずだったのに!
だって、稼ぎは半端なかったんだ!
稼いで、稼いで、稼ぎまくって、
念願のマイホームをドーン!と……
現金一括は、まぁ無理だったけど!
ローン組んで買ったわけ!えへん!
でもさぁ……なんで?
なんでこうなった!?
家を買った途端、Sランクの依頼が
ピッタリーーーーッ!と途絶えちゃったわけ!?
まるで私が家を買うのを
天が嫌がってるみたいに!
いやいや、冗談キツイって!
私、確かに最強だよ?
この腕っぷしと魔法があれば、
どんな強敵だって怖くない!
だから、稼ぎだって半端なかったんだ!
稼いで、稼いで、稼ぎまくって、
念願のマイホームをドーン!と……
現金一括は、まぁ無理だったけど!
ローン組んで買ったわけ!えへん!
だって、夢だったんだもん!
毎日、自分の家で、
誰にも邪魔されず、好きなだけお風呂に入れる!
広い庭で、自分で育てた花を眺めて、
温かい紅茶を飲む!
そんな平和で幸せな未来のために、
頑張って冒険者してきたんだから!
でもローンってさ、毎月払うんでしょ?
え、これ、もし払えなかったら……
マイホーム、取られちゃうの!?
マジで!?マジでマジで!?
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいい!!」
今度こそリアルに声出たわ。
だって、こんなのってないよ!
魔王より怖い!ドラゴンより凶悪!
ローンの支払い日ってなんでこんなに早く来るの!?
毎日毎日、カレンダーの数字が
勝手に減っていく気がする!
「ううっ、私の、私の夢のマイホームが……!」
涙目で請求書を睨みつける。
数字がどんどん怪物に見えてくる。
10000……20000……
ひぃっ!目が回る!
うわあああ、ホントにどうしよう!?
こんなはずじゃなかったのに!
Sランクの私が、まさかこんな借金まみれ!?
私の冒険者人生、まさかのバッドエンド!?
このままじゃ、せっかくの私の、
広ーいリビング!
お風呂天国!
私専用の、秘密のトレーニングルーム!
あの最新式の魔力循環装置も、
全部、全部が消えちゃう!
考えただけで吐きそう!
もし魔物に壊されたら、保険も効かないって
言われたし、ローンだけ残るとか、
そんな地獄、絶対嫌だ!
王都に行けばもっとSランクの仕事があるんじゃないかって?
うーん、確かにそれはそうなんだけどさぁ……。
私、この街が好きだから、離れたくないんだよね。
だって、ここが、私の第二の故郷(始まりの場所)って感じなんだもん。
むかし、まだ私が駆け出しで、
マジでやばい状況になった時があったんだ。
本当に死ぬかと思った。
辺りは暗くて、魔物の声だけが響いて。
身体は動かなくて、もうダメだって、
心底諦めかけた、その時にね。
周りには誰もいなくて、
助けなんて求められないって、
半ば諦めてた、その時にね。
まさか、まさかの!
一人の冒険者さんが助けてくれたんだ。
その人、めちゃくちゃ強くてさ、
圧倒的な力で、私を救ってくれた。
まるで光が差したみたいだった!
稲妻のような剣筋、轟く魔法。
全てを焼き尽くすような強さなのに、
その瞳の奥には、どこか優しさが滲んでいて……。
多くは語らず、ただ静かに去っていったんだけど。
その時、この街にすっごい温かさと
希望を感じたんだよね。
私、絶対この街に恩返しするって、誓ったんだ。
だから、ずっとここで活躍したい!
それが私の目標だったんだもん!
そんな、私の特別な場所だから、
簡単には離れたくないんだよ……。
あの時の恩人さんが、今どこで何をしてるのか、
それもずっと気になってるんだ。
疲労困憊のおじさんギルド長とか、
まさか、そんなわけないよね?
だって、あの人はもっと、こう……
キラキラしてたもん!
……って、そんな感傷に浸ってる場合じゃないんだった!
ローン!ローン!ローン!
このままだとマイホームが、
私のお風呂天国が、誰かの手に!
そんなの、絶対に!
絶対に、絶対にいやだあああああ!
そうだ!こうなったら最終手段だ!
なりふりなんて構ってられない!
私は、今まで一度も考えたこともなかった、
ある「仕事」に就くことを決意した。
それも、まさかの場所で!
ギルドの中で!
しかも、毎日定時に通う、
そんな地味な仕事だなんて!
だって、私はSランクだぞ!?
いつでも最前線で、華々しく戦ってきたんだ!
それがまさか、ギルドの奥で書類を捌く!?
こんなの、Sランクのプライドが許さないって、
昔の私なら言ってたかもしれない。
でも、今の私にはそんなこと言ってる場合じゃない!
「よしっ!こうなったら、私、
冒険者ギルドの受付嬢になりますっ!!」
最強のSランク冒険者が、まさかの受付嬢!?
自分で言っておいて、そのギャップに
ちょっと笑えてきちゃった!
でも、仕方ない!
この家のローンのためなら、
私は魔王だって倒すし、受付だってするんだから!
私、やればできる子だし!
Sランクって伊達じゃないんだから!
受付業務だって、最強の力で
テキパキこなしてみせるんだから!
……多分!
きっと、いや絶対、私が受付になれば、
ギルドだって大繁盛して、
Sランクの依頼だって、また増えるはず!
そしたら、ローンだって、あっという間に完済!
そして、私の幸せなマイホームライフが!
広い庭で、可愛い子犬と遊んで、
夕焼けを見ながら、
温かい紅茶を飲むんだ!
そんな未来のために、
私は頑張るんだ!
明日から、私の新しい、そして波乱に満ちた
「受付嬢」としての日常が始まる。
ふふふ、まさか私の人生にこんな展開が
待っていたとはね!
頑張るぞ、私!
この街を守るためにも、
私のマイホームを守るためにも!
そして、いつか、あの時の恩人さんに
胸を張って再会できるように!
行くぞ!受付嬢アイリス、爆誕だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます