【8万PV】スクールカースト上位グループを追放された俺は、現実世界でリベンジする。

第1話 俺は騙され追放された。

　艶（なまめ）かしい女子の声。

　金髪のその子は、俺の首筋に下を這（は）わせた。

　みずみずしくプルンとした唇が色っぽい。

　「蒼空（そら）……はぁはぁ。気持ちいい？　すっごい元気になってる。はぁはぁ。ねっ。きて……」

　「珠凛（しゅり）ちゃん……」

　俺が自分のパンツを脱ぎ捨てたその時、部屋が明るくなった。

　カシャカシャカシャ。

　スマホを構えた3人の男達が、俺の写真を撮った。

　「ギャハハ。こいつ、マジで勃ててるんだけど。ウケル。珠凛、お前もノリよすぎっしょ」

　珠凛（しゅり）と呼ばれた女の子は、起き上がると、オレの下半身を蹴り飛ばした。股間に激痛が走り、俺はうずくまった。珠凛は俺を見下ろすと、腕を組んで言った。

　「その汚ないもの、こっちに向けんなよ！！　そんなにしちゃって。ブタが人間の女の子とセックスできると本気で思ってわけ？　ほんとウケルんだけど」

　カシャカシャカシャ。

　俺は尻を丸出しのまま、写真を撮られ続けた。

　やがて、ひとしきりの罵声を浴びせる終わると、その中のリーダー格の男、颯（はやて）が俺の尻を蹴り上げた。

　「おまえ、ほんと調子乗りすぎ。お前みたいな汚豚（おぶた）が、俺らと居られるわけねーだろ。10万。写真ばら撒かれたくなかったら、手始めに来週までに10万持ってこい。……エリート官僚様のお前の家なら余裕だろ」

　「10万……颯……冗談だろ？」

　ちょっとワンマンなヤツだとは思ってたが、俺はイケメンで成績トップの颯（はやて）に憧れていた。だから、その彼が、太っていて勉強もできない俺を仲間グループに迎えてくれたことが嬉しかった。

　自分の居場所を貰えた気がしたのだ。

　だが、向こうは俺を嫌いだったらしい。

　「は？　この状況で冗談な訳ねーだろ。脳ミソ腐ってるんじゃねーのか？　デブでバカとか、もはや生きる価値ねーっつーの。お前わかってんの？　珠凛を犯そうとしただろ？」

　頭の中がグルグルして気持ち悪い。

　だが、俺は必死に媚（こ）び諂（へつら）った。

　「違うし。珠凛ちゃんが相談に乗ってくれるって。それで……」

　俺が珠凛の方をみると、珠凛は眉間に皺を寄せた。その様子を見て、颯が声を荒げた。

　「ストーカー汚豚野郎が語るねぇ。珠凛みたいなイケてる女が、お前みたいな童貞ヤローを相手にする訳ねーだろ。これ、強姦未遂だぜ？　珠凛が警察に駆け込んだらどうなるんだろーな。たった10万で前科無しで生存する権利をやるんだから、むしろ有り難く思えよ」

　俺は半ケツで泣きながら帰った。

　帰り道のことは、よく覚えていない。

　ただただ、悲しかったのだ。

　「これ……」

　その翌週、俺は颯に金を渡した。

　颯は、封筒の中を確認すると言った。

　「来週は20万な。金もってこれなかったら、どーなるか分かってるよな？」

　……10万で終わるんじゃなかったのか？

　そう思ったから、子供の頃からの貯金を下ろしたのに……。

　「そ、そんな大金、おいそれと準備できないよ」

　すると、颯は俺の膝を踏みつけた。

　「やるんだよ。お前の親父、エリート公務員様だろ？　たりねーんなら盗んでこいよ。いや。お前の飯代は、俺ら国民の血税だもんなぁ。これは、豚の餌代の取り戻しだ。おれらの正当な権利の行使なんだよ。まぁ、タダでとはいわねーよ。おもしれーもん送ってやるからよ」

　颯がスマホを操作すると、俺のスマホが光った。

　ガタンッ

　俺はスマホを開いて愕然（がくぜん）とした。

　送られてきたのは幼馴染の陽葵（ひまり）の写真だった。はだけた制服のまま下半身だけを剥き出しにして、カメラに向かってだらしなく足を開いている。

　俺がスマホを落としたのを見て、颯は笑った。

　「10万で、お前の憧れの幼馴染のハメ撮りゲットだぜ？　格安だろ？　ま、悔しかったらそれでマスでもかいとけよ。ギャハハ」

　俺は、恐怖と屈辱に身体が萎縮してしまって何も言い返せなかった。

　陽葵（ひまり）は、おれの幼馴染だ。

　小学校から一緒で、家も近くて。

　可愛くて優しい彼女に、密かに恋心を抱いていた。

　だから、陽葵は颯と付き合い始めたと聞いた時、辛かったけれど、好きな2人がくっついたことは、心の中では嬉しかった。

　しかし、陽葵はすぐに捨てられ、それから学校に来なくなった。今では引きこもりで、会うことすらできない。

　その晩、俺は悔しくて悲しくて眠れなかった。

いたたまれなくて、颯から送られてきた写真を見た。

　写真の中の半裸の陽葵は、目をトロンとさせ、高揚した表情で口元を緩ませていた。

　この時の陽葵は、どんな気持ちだったのだろう。そう思いながらも、俺は、悔しくて虚しくて。何度も自慰行為に耽った。束の間の心の安寧のために、性欲に逃げるしかなかったのだ。

　たしかに、俺はクズだ。

　汚豚と罵られても当然の存在だ。

　その翌週。

　俺は金を用意できなかった。すると、颯とその取り巻き達は、俺を激しく責めた。……それは案の定の展開で、なんかもうどうでも良かった。

　颯が俺に詰め寄る。

　「あ？　20万もってこいっていったよな？　これは、豚の餌代で無駄遣いした血税を、俺らに返せって意味なんだよ。わかる？」

　「……税金払ってるのは親で君じゃないだろ？　返せも何もないじゃないか」

　ドガッ

　俺が言い返したのが気に入らなかったらしい。

　颯は俺の腹を蹴り上げた。

　その場にうずくまる俺に、颯は唾を吐きかけた。

　「豚が人間の言葉を喋るんじゃねーよ！！　ブヒだろ？　ブヒっていってみろよっ！！」

　颯に何度も蹴られた。

　クスクスと野次馬の笑い声が聞こえてくる。

　俺はただ、1秒でも早くその場から逃げ出したかった。

　「…ブヒ」

　俺がそういうと、爆笑が起きた。

　「ギャハハ。コイツマジでうけるわ。ま、許してやりてーところなんだがな。金持って来れなかったのは事実だし。約束破ったら罰を受けるのは仕方ないことだよな？」

　颯はスマホを操作した。

　すると、クラスの連中のスマホが一斉に光った。

　クラスの連中の笑い声が、嫌悪の声に変わっていく。そこら中から、「キモ」、「犯罪者」などという声が聞こえてくる。

　（あぁ、珠凛との写真をバラ撒かれたのか）

　もうどうでも良かった。

　俺が教室から逃げ出そうとすると、颯に呼び止められた。

　「あぁ。お前の写真、陽葵に送り忘れてたわ」

　「やめ……。それだけはやめてくれよ」

　あんな姿。

　陽葵にだけは見られたくなかった。

　「ギャハハ。だから、豚が話すなっつーの。なに、NTRプレイっての？　お互いに写真見せ合って楽しんだらいいじゃねーかよ。豚同士お似合いだろ？　…… 特別サービスで陽葵のエロ写真をブタに見せた事も教えてやるからよ……陽葵に送信完了っと」

　俺は息が苦しくて、何か言い返すことすらできずに、その場から逃げ出した。

　その翌日から、俺は学校に行けなくなった。

　頑張って行こうとするのだが、制服を着ると膝が震えて、吐き気が止まらなくなる。

　そして、それからしばらくした頃。

　陽葵は自ら命を絶とうとした。

　陽葵は一命はとりとめた。だが、意識は戻らなかった。陽葵がどういう気持ちだったのか、今となっては知る術すらない。

　だが、これだけは分かる。

　櫻狼ファイブ……アイツらが、颯が。陽葵を追い詰めたのだ。

　……殺してやる。

　颯も、他の3人も。珠凛も。

　俺を笑ったクラスの奴らも同罪だ。

　アイツらも全員殺してやる。

※新連載です。

どうぞよろしくお願いします(*´꒳`*)