【更新停止】太陽の瞳が燃えるとき。――神に選ばれた俺は、まず君を笑わせたい。

佐倉美羽

探求者レオン

神の声を身に宿した者

序章

 ――英雄とは、なんだろう。

 誰よりも勇ましく戦場を駆け抜け、多くの人の憧れとなる者。

 あるいは、誰にも知られず、それでも誰かのために生きた者。

 そんな人たちを、英雄と呼ぶらしい。


 ◇


 その目は、まるで太陽みたいに光っていた。

 金色の瞳――“太陽の瞳”。

 それは、英雄の証だった。

 

 遥か昔、この世界の中心、≪太陽の国≫ソラリス帝国をつくった伝説の覇王、

 アラヴ=ザ=インフェリオンも、この瞳を持っていた。

 

 彼は荒れた大地をまとめ、勇敢な英雄たちと共に戦い抜いた。

 その道しるべとなったのが、神の声を伝える予言者、エル・セフィア。

 

 覇王は帝国を八つの州に分けて、それぞれに英雄たちを送り込んだ。

 そして予言者は、人々に信仰と学びの力を授け、帝国を明るく照らした。

 

 彼らの前に立ちはだかったのは――“影の国”。

 今も続く、最悪の敵。残虐な侵略者。

 覇王の願いは、その影を打ち払い、大陸に平和をもたらすことだった。

 

 でも――その願いは、今もまだ、叶っていない。

 

 数百年たった今も、太陽と影はにらみ合い、

 戦いは終わることなく、命が散っていく。


 それが、この世界の「当たり前」になっていた。

 ……でも、“その秩序”は、もうすぐ終わる。

 

 ◇

 

 帝国歴六一二年、八月一日。

 夏の光がきらめく黄金の麦畑が、風に揺れていた。

 誰もまだ気づいていなかった。

 この静かな世界に、“異変”が近づいていることに――。

 

 そしてその日。

 帝都リステラにある名家、アストラード家の屋敷で、

 一人の赤ちゃんが産声をあげた。

 

 父は、名門貴族の当主で、帝国軍の将でもあるルキウス=ル=アストラード。

 母は、優しくあたたかな瞳を持つ女性、アリア・セリオン。

 

 その子の名前は――レオン=ル=アストラード。

 

 太陽の瞳を持ち、神に選ばれた戦士。

 ……そしてなぜか、運命の予言書を間違って食べちゃって、一度死にかけた。

 ちょっとおかしな赤ん坊。


 でも――

 その小さな体には、確かに“世界を変える力”が宿っていた。

 

 やがて、レオンは立ち上がる。

 自分の信じるもののために剣を取り、歴史に牙をむくその日まで――あと、わずか。

 

 さあ、これはそんな少年の、そして“英雄たち”の物語。

 光と影が交わる世界で、少年は何を選び、何を守るのか。

 

 ――英雄の話を、始めよう。

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