家でいちばん君が卑猥!

「……今日、ずっと手、つないでたよね」


布団の中、ひなちゃんの手をにぎったまま、私は声を落とした。

部屋の灯りは消えていて、私たちはおそろいの下着にパジャマ。

きのうよりも近い距離で、ひなちゃんの体温が伝わってくる。


「……うん。風が、つないできたから」


「でも、ひなちゃんも……ぎゅってしてくれた」


「……してない」


「してたもん」


「……たしかに。してた、かも」


ひなちゃんは、いつも否定から入る。でも、嘘はつかない。

そんなところが、ずるいくらいすき。


「ひなちゃん」

「なに」


「ちゅー、してもいい?」


「……もう、してる」


「じゃあ……もっとしてもいい?」


ひなちゃんの喉が、小さく揺れた。


「“もっと”って……どこまで?」


「ん〜……たとえば、キスだけじゃなくて……」


そっと手をのばす。

パジャマのすそから、ひなちゃんの腰のあたりを、指先でなぞる。


「……そこ、さっき汗かいてたとこ」

「うん、だから、ぬぐってあげてるの♡」


「そういう理屈、ある?」


「ひなちゃんが好きすぎて、何回でもさわりたくなっちゃうんだもん」


「……ほんと、バカ」


でも、ひなちゃんは拒まなかった。

ぴくん、と肩がふるえただけで、私の手を押しのけたりはしない。


「わたし……ひなちゃんの、全部が好きなんだよ」


「……ぜんぶ?」


「うん。声も、背中も、手のひらも……下着も」


「……っ、風」


「だから……もっと、してもいい?」


「……や、やめろって、言っても……やめない、でしょ」


「うん♡」


ぴたり。

私の手が、下着の布にふれる。

ほんの一瞬、目が合った。

そして、ゆっくりと、ひなちゃんが目を閉じた。


そのまま唇を重ねて、肩に、首に、キスを散らす。


「風、好き……」


「わたしも、ひなちゃん、だいすき……」


静かな部屋に、ふたりの息づかいだけが重なった。

どこまでしても、どれだけ触れても――

きっと、もっともっと“好き”になっていく。

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