第2話その5 タッシー

タッシーは宣言通り本屋によったのだが思ってたのと違かった。ほとんど別の本屋で見たことある物ばかりだったのだ。

タッシー(しょうがない、本の探索はこの

ぐらいにしておこう。)

タッシー{ペットショップの方を見ながら。}(そういえばあそこのペットショップってどんな動物が飼育されているんだろう?)

タッシー{ペットショップへ向かいだす。}(ちょっと行って覗いてみよっと。)

歩いて向かっていると、ちょうどペットショップから出て来た狩人少女とすれ違った。

タッシーの反応はというとちょっと気になり、チラ見した感じだったが別に怪しいとは思わなかった。狩人少女もタッシーの事を

見て見ぬふりをした。

すると狩人少女は駐車場の人目のつかない所で電話で連絡をしだす。

狩人少女{スマホを耳に当てながら}

「タッシーについで、あいかとまりかも特定した。んで、どうする?もうやる?

………じゃあどうするっていうの?

…ふぅ〜んつまらないの。

……うん……はいはい、なるほど要するに

行き当たりばったりね。……はいはい、

分かりましたよ。んで、そっちは何する

予定?……あぁそういえばいたね、

まだしてないやつ。

…りょ、それじゃよろしく。」

狩人少女{通話を切る}「それにしても

人使いが荒い人ですねぇ。」


        ****


タッシー(へぇこのペットショップ、犬や猫

だけじゃなくて、ハムスターやモルモットやうさぎもいるんだね。)

タッシー(そしてふれあいコーナーもあるの

かぁって、あれ?!)

タッシーはあいかとまりかがイチャついている所を目撃した。あいまりは記念に2匹のうさぎが戯れているのを動画に収めている最中である。2匹は抱き合いながら寝ていて、そのそばで2人は微笑み合いながら撮影をしている。

タッシー(百合デートだったからあんなにルンルンだったのか!)

タッシー(あまりガン見しちゃダメだ。2人の大切な時間なんだぞ。)

ハムスターを見て、気を紛らわそうかと思ったが、窓ガラスのせいで窓ガラスの向こう側に半透明に映し出されるあいまりが、後ろを振り向きたくさせてくる。タッシーは結局、窓ガラス越しであいかとまりかの様子を

チラ見しまくった。

しばらくの間見ていたらあいかが、さっそく自分のものにしたくなったのか、さりげなくまりかの手を握って来た。

流石に抗えず、後ろを振り向いてあいかとまりかのイチャイチャをガン見しだす。

タッシー(*>ω<*)(これは腐男子の身として

見るなと言われても自然と向こうを向いちゃうよ。)

タッシー(というかこんな事しに来たわけじゃないだろ。先にやることを済ませないと。)

スタッフ「初めての方でしょうか?」

タッシー「!あ、あの〜えっとですね。」

スタッフ「よかったら店内をご案内しますよ。」

タッシー「し、失礼しましたぁぁ。」

スタッフ「?」


        ****


タッシーは1番の目的であるギガを買いに行くにためにマップが掲示されている所へ向かい、ゲーム機器専門店の場所を確認した。

タッシー(ゲーム機器専門店は1階ね。というかちょっと歩いたらすぐ着く距離じゃん。

ラッキー、すぐに向かおっと。)

決めたルートを進んで行くと100均ショップ、大人ぽい服を売ってる洋服店、コーヒーショップ、床屋、などといったお店が見えて来た。

そしてやはり人だかりも多く、さっきから老若男女ろうにゃくなんにょどんな人も、道の向こうから来てはすれ違う、向こうから来てはすれ違う、が止まらない。

しばらく進んで行ったら、最初は天井が2、3メートルぐらいしかない通路だったのが突然エリアが変わったかのように天井が高い場所に出た。この周辺は吹き抜けになっており2階より上の階層は1階の様子がよく見える構造になっている。

タッシー(それにしてもここまで吹き抜けの

ショッピングモールなんて今までなかったよ。ここまで開放的だと太い木を一本ぐらい飾れそう。

普通屋外にある大樹が室内にある、かぁ…。あれ!これかなり絵になりそうな気がする。今夜、まるクラで試してみよう。)

5分ぐらい歩き、ゲーム機専門店の近くまで

来ると育児用品店がまず最初に見えて来た。そしてその隣におもちゃ屋がありその反対側を向くとお目当てのゲーム機専門店があった。どうやらここら辺は子供や小学生向けのお店で構成されているようだ。他にも写真撮影スタジオやガチャガチャコーナーなどが

あり、至る所から「ママ、来て、来て!」とか

「えぇ!マジで、えヤバッ、スゴすぎ!」といった子供の無邪気な声が聞こえてきて、とても賑やかな様子だ。

タッシー(あった、ここだ。)

中に入るとそこには子供だけでなく若い大人たちもいて、みんなカセットとにらめっこしながらどれを買おうか考えている様子だった。また、画面の前でゲームプレイ動画を見てはしゃいでいる少年達(見た感じ、みんなで遊びに来たわけではなさそう。)が目に止まったが、タッシーは特に動画を見に行ったりはしなかった。

タッシー(別に見に行かなくていいや。

買いたかったり気になったりしているゲームのカセットとか今のところ無いし、それに

今日はこのショッピングモールを探索するって決めたしね。)

タッシー(えっと、ギガを購入する為の

データチャージカードは、……)

   『あなたがいるのはどこなの?』

タッシー(;゙゚'ω゚')!

ゲーム名がこんな名前だったから心臓が止まりかけそうな思いをした。その上パッケージもとても不気味だ。具体的に言うと前方全ての方向が水平線の砂浜に、知らない人が1人立っているという構図なのだが、なぜか首から上が見切れている。その一手間ひとてまにより異様なオーラを放っていた。

タッシー{近づいて確認しながら}(ん?){手に取ってみる。}(残り1個だけ?ホラゲー界隈で密かに人気なのかな?){元の場所に戻す。}

ずっと見てるとだんだん怖くなっていく感覚におちいりそうだったのでその場を去り、ギガを購入する為のデータチャージカードの所まで向かってそれをレジまで持って行った。

レジへ向かうとさっきの少年達が先に並んでいた。

タッシー(カード探すのに時間かかってしまった。でもしょうがないか、滅多に買わない物だし、それにこれくらいならすぐに順番来るだろ。)

暇だったのでレジの方を眺めて順番を待った。店員はおばちゃんだった。だが、手こずっている様子も無く、ゲームや機械関係の

知識をマスターしている感じでベテランと

いう気質を感じる人だった。そして話し声から聞いた感じ、どうやらゲームが好きらしくそれに関する世間話に夢中だった。この調子でいくと7、8分ほど時が経ちそうな様子だけれど少年達は同じ趣味を持つおばちゃんとの会話を楽しんでいる様子らしくタッシーも

特に気にしていなかった。

タッシー(よし、あと4人だ。……ん?

あれなんだろう?)

レジの上に何やらpopの様なメモの様なそんな物が置かれていた。雑紙にマーカーペンで

書かれており、それはただ伝えるためだけに作られた物の様に見える。

タッシー(最近気合い入れて作られたショッピングモール内で即席で作られたpopってなんか違和感すごい様な気が〜……というか

なんて書いてあるんだろう?)

よく凝らすがなんて書いてあるかよく見えない。レジは着実に進んで行くが、それでもまだボヤけている。そしてやっと順番が回って来たと思って文字の方に目を寄せてみると、「タッシーについて知っていたら教えて下さい。」と書かれていた。

タッシー「は!?なんで僕の名前が?」

おばちゃん「もしかしてあんたタッシー?」

タッシー「はい、そうですが。」

おばちゃん(^_^ )「あんた、お姉ちゃんの

誕生日プレゼントにゲーム機本体を買った

ってのにチップを買い忘れたんでしょ。」

タッシー(さっきからこのおばちゃんは何を

言ってるんだ?僕に姉はいないのだが?)

タッシー「チップは買ってますよ。」{ゲーム機のチップを挿入する部分を見せる。}

タッシー「ほら、入ってるでしょ。」

おばちゃん(^▽^=)「入ってないな。」

タッシー{中を見ながら}「え、本当に?」

店員のおばちゃんが言った通り、ゲーム機の中にチップは挿入されていなかった。

おばちゃん「お母さんからの頼みでキープ

してたチップを取りに行ってくるから

待っててな。」

タッシー(白猫とガキンチョとまるクラ

しようとした時は、確かにあったはずなんだけど〜……)

だが、心当たりはすぐに現れた。

タッシー(あ!そういえば車の時に“ガン”ってバックをぶつけてたかも。(ノ_<)そしてそのまま抜け落ちてどっか行ったパターンだ。

このゲーム機のチップは抜け落ちやすいってネット記事に書いてたしきっとそれだ。)

タッシー(`ω´ ){小声で}「なんであの爆弾の時に〜」

おばちゃん(・ω・ )「あんた、」

タッシー( °▽°)(あ!ヤベ。)

おばちゃん「爆弾魔のゲーム知ってるのかい。結構昔からあるシリーズでしょ。」

タッシー( ^_^)「あぁ、そうそう、爆弾魔の

ゲーム。まぁ、これやからやるのは、

まるクラなんですけど。」

おばちゃん「そりゃ楽しみだね。それで、

ご注文の商品はこれでええかな?」

タッシー「はい、okです。」

おばちゃん(=^▽^)σ「今度からは、書い忘れが無いようにな、おっちょこちょいさん。」

タッシー( ̄◇ ̄;)(別に忘れたわけじゃないしそもそも大前提がおかしいんだけどなぁ。)

そしてそのまま黙々とお金を支払い、チップとデータチャージカードの購入を済ませた。おばちゃん「寄り道せずに早めに帰った方がええで。母さんやちゃんがあんたの

帰りを待っとる。ちゃんに限っちゃ

あんたとゲームするのを待っとるかもな。」

タッシー(キズナ?!)

人違いかと最初思ったが、仮にキズナが自分の生き別れの兄弟だったとしてもそんな奇跡を通り越しすぎている事実なんて信じられるわけないし、そもそも会話が違和感まみれだった事から、タッシーは創作オプの、あの

キズナがなにかしようとしていると考えた。タッシー「……」{買った物を取り、バックに入れる。}「あいざいました。」

おばちゃん「こちらこそ、ありがとうございました。」

タッシーは頭の整理の為に、通路に置かれていて中央分離帯の役割をしているベンチに

深く座り込んだ。

目線が機械的に上45度向いていてポカーンと口を半開きにしながら無表情な様子だ。

タッシー(・∀・)(さっきの店員のおばちゃん

確実にキズナって言ったよね?あいつ何考えているんだ?)

   『あなたがいるのはどこなの?』

タッシー(;゙゚'ω゚')

タッシー(もう、何で怖いものに限ってこう何度も自分の視界に入って来るんだろう?)

(LINEの通知)ブゥー

タッシー(o_o)(ビクッ!)

白猫

「@タッシー 今ショッピングモールを探索中。楽しんでるかい?僕はめっちゃ楽しんでるよ。」             10:17

タッシー👑

「それはよかったですな。」10:17

永遠のガキンチョ

「本当に行ったんだ。家から遠そうなのに

行動力あるね。」        10:17

白猫

「今の時代、電車を使えば楽勝。」10:17

永遠のガキンチョ

「確かにそれは楽勝案件かぁ。あ、あれだ。

どっちかっていうと外に出るのが“苦負け”案件だな。」            10:18

白猫

「苦負け案件www」10:18

永遠のガキンチョ

「オレも家でゴロゴロよりショッピング

モールに遊びに行ったほうがよかったかもなぁ。」              10:18

タッシー👑

「僕もショッピングモール。こっちは1人で

まったり遊んでるよ。」      10:19

白猫

「1人なの?1人なのはちょっとアレだし、2人で一緒に回る?」          10:19永遠のガキンチョ

「え、それいいじゃん。ゲーム内でやり取りするより楽しそう。」       10:19

タッシー👑

「興味ないと言えば嘘になるけど、会うのは

ちょっとね〜お母さんにネット上での知り合いとリアルで会うのはダメって言われてるからな〜……」 10:20

白猫

「そっかぁ、残念(◞‸◟)実を言うとこっちも1人だったから丁度いいと思ったんだけどね。」

                 10:20

タッシー👑

「うん、なんとなくそんな気がしてた。」

                10:21

永遠のガキンチョ

「その親厳しいねぇ。まぁそんなこと言っても仕方ないか。今はまるクラで我慢しておこう。」              10:22

タッシー👑

「そだね。」10:22

永遠のガキンチョ

「あ、そろそろ推しの動画配信が始まる。

じゃあ2人とも、今夜のまるクラする時にまた会おう。」             10:23

タッシー👑

「りょ、また後で。」10:23

白猫

「タッシーに渡したいものがあったんだけどなぁ。」             10:23

タッシー👑

「それが平和的な百合漫画なら会ってもいいけど。」             10:23

白猫

「少なくともそういうのじゃないよ。」10:24白猫

「というかタッシーが百合をご志望するって珍しいね。どっちかっていうとBLやおねショタの方が好みじゃなかったっけ?」 10:24

タッシー👑

「なぜか今日は百合の気分なんだよ。

なぜかね。」 10:24

白猫

「まぁ腐男子なら気分が百合の日ぐらいあるかぁ。それで話戻るけど、これどうやってタッシーに渡す?」 10:25

タッシー👑

「それなんだけど今いい方法を思い付いた、僕と会わずに渡す方法。」     10:25

白猫

「さすが手が美男子の天才!」10:26

タッシー👑

「このショッピングモールにロッカーあるじゃん。その中に白猫がそのプレゼントを入れてその場を離れます。その後に僕がロッカーに行けば。」             10:26

白猫

「あぁ、なるほど。それだったら確かに鉢合わさないね。」 10:26

白猫

「2階の出入り口のロッカーに入れとく。」

                10:26

タッシー(白猫はそっちの方面から入って来たのか。)

タッシー👑

「ok、入れ終えたら連絡よろ。」10:27

白猫

「了解」10:27

ロッカーは建物の反対側、つまり一番遠くの位置にあったのでタッシーはもう移動する事にした。もちろん鉢合わせないようにする為に、建物の中央辺りに位置する1階以上の階層が吹き抜けの場所で、白猫の連絡を待つ事にした。

〜♪♩♫

ここには、なんらかのイベント時に使われている舞台がある。今現在コンサートの準備中らしく、ゴシックな雰囲気の女性がトークをしている。後ろで流れている音楽は大人チックな感じなのだが今のタッシーは明るい曲を聴きたい気分だった。

タッシー(._.)

   『あなたがいるのはどこなの?』

タッシー(;´д`)(~_~;)(うぅ〜さっきからあの画像が頭から離れないんだが?!)  

タッシー(いいかタッシー、お前は今どこへ遊びに行こうか考えたいんだろ。ならそれについて考えてればあんなのすぐに忘れる。

まず一旦深呼吸をして、)

(深呼吸の音)ふ〜はぁ〜

タッシー(んで、それから上でも向いてこの場所特有の奥行きのある天井でも眺めていれば、(;゙゚'ω゚')……なんか、みんなこっち向いてない?)

2階、3階いやもっとたくさんの階層から見下ろしている人たちの視線が脳に焼き付いたせいでタッシーのなにかのスイッチが切り替わった気がした。目が合っている人達の中に

あのホラゲーの首が見切れている女性あるいはその人に似ている女性はいないのに今、

目に映る背景が例の水平線の砂浜の様に

映ってしまう。

タッシー(*_*)

(LINEの通知)ブゥー

タッシー(o_o)(ビクッ!)

通知のおかげでようやくタッシーの目が正気に戻る。

白猫

「@タッシー 準備ok、ロッカーの所まで

来ていいよ。」         10:35

タッシーは返信にグットマークだけ付けて

ロッカーの所へ向かった。

タッシー{小声で}「落ち着け、こういうのはだいたい気のせいに決まってる。」

だが視野的に2階の人達がギリ見えてしまい、それが逆に気になって余計に頭から離れなくなる。

タッシー(;゙゚'ω゚')

タッシーは目をつぶって首を振り、

「気にするだけ損だ」と自分に言い聞かせながら走ったが、ロッカーに辿たどり着くまで終始不快感が続いた。


        ****


タッシー👑

「ついたけど番号聞くの忘れてたから教えて。」             10:42

白猫

「Dロッカー」10:42

白猫

「あと鍵は、観葉植物の植木鉢の裏に隠しておいたから回収しといて」     10:42

タッシー👑

「りょ」10:42

白猫が言ってた通り植木鉢の裏に鍵があったので、それを拾ってロッカーを開けた。そしたら中にカメラが入っていた。それも両手で構えないといけないぐらいの大きさのカメラだ。流石に三脚を使う必要があるぐらい大きくはないが、誰が見ても本格的なカメラだと思える様な見た目をしている。

タッシー(カメラ?)

過去に撮られた写真を確認してみたら小さな子供だけが映っていて、公園で蝶々を追いかけ回している写真が保存されていた。

タッシー(え〜と、これどういう意図なんだ?写真を送るならスマホから転送でいいよね?)

(LINEの通知)ブゥー

白猫

「どう?そろそろ中身取り出せた?」

              10:45

タッシー👑

「うん、中身はカメラだったけどこんな高いのを僕にあげるだけじゃないよね?」10:45

白猫

「もちろん。僕はね、タッシーと秘密を共有したいの。」           10:45

タッシー👑

「あぁ、だからカメラ渡したと。」10:46

白猫

「そういう事。タッシーとカメラを交互に

渡し合って、お互いにしか見せれない写真を見せ合うっていう遊びがしたかったんだ。」

                 10:46

白猫

「そうしたかったんだけど、会えないってなるとこれちょっとやりずらいかなって思って」

10:46

タッシー👑

「いやめっちゃいいアイディアだと思うよ。交換日記ならず交換カメラって事でしょ。」

                 10:46

白猫

「そう、それだよ、それそれ。」10:47

タッシー👑

「やろう、やろう。交換する方法は考えればいくらでも思いつくよ。」     10:47

タッシー👑

「なんか撮ってくる。」10:47

白猫

「分かった、楽しみにしてる。」10:47

タッシー「よし、中庭で撮ってくるか。」

このショッピングモールは本当にデザインにこだわっており、2階の外れに自然豊かな中庭が設けられている。

そしてここはちょっとした遊び場の様な場所であり、地面から噴き出し近づけばずぶ濡れになる噴水や作り物の車道の上を走るカートとそれらの為の道路標識などがあった。

タッシー(この向きにしよう。噴水の青と植物の緑なら映えそうだし、こっちの方は人が

少ないから関係ない人も映らなさそうだ。)

タッシー(えっと、どうやって画面に

映すんだ?まぁいいか、照準合ってれば

撮れるでしょ。)

そう思い、何も映っていない真っ黒な画面を凝視して、カメラの向こう側の風景を想像で補って1枚撮ってみた。

(シャッター音)カシャ

タッシー{写真を確認する}(ん〜構図は思ってた通りなんだけど、やっぱりブレちゃうか。多分もっとライフルみたいに顔をカメラに

近づけて、そして脇もしっかり閉めて撮らなきゃダメなんだろうね。)

タッシー(いや待てよ、もしかしてここから覗くのか?{覗いてみる}やっぱりそうだ。これスコープなのか!)

スコープ視野の半分ぐらいが噴水の水飛沫みずしぶきに占領されていたのでタッシーは、作り物の

車道の方に向きを変えた。

もちろんシャッターを押すつもりは無い。

ぼやけるのをなんとかする為に開放的な風景が欲しかったからである。

色々と適当に触ってピント合わせの仕方を

探り、3分半ほどかけてようやくやり方を知ることが出来た。

タッシー(なるほど、このノズルね。これで

調整するのか。)

タッシー{ピント調整しながら}(よし、

やっとクッキリしたって…Σ(-᷅_-᷄๑)ん?)

よく集中しないと気付けないのだがカーブ

ミラーに怪しい女性が現在進行形で写って

いる。それだけならまだしも、彼女はまるで写真の様に微動だにしていないのである。

タッシー(あれ?この人どこかで見たことが〜というかまたもやこっち見てない?!)

そしてわざわざカーブミラーを介してカメラ目線というなかなか奇妙な行動をしており、それに加えて不気味な笑みを浮かべている。タッシー(o _o; ){反射的に目を逸らす}

タッシー(°_°){まだいるかもう一度確認する}彼女はもういなかった。幻覚を疑った方が

いいぐらい跡形も無く姿を消した。

タッシー(もうこの場から離れよう。なんか

危ない。)

タッシーはカメラの紐をリュックのカラビナにくくり付けて、さりげなくだけど小走りで

出口へ向かった。


        ****


そろそろ階段に到着しそうという所まで

歩いて来たのだが、さっきから後ろに視線を感じる気がする。

タッシー{歩きながら}(まさか追ってきて

ないよね?)

後ろを確かめてみたら案の定さっきの人が

タッシーと同じくらいの速度で歩いて来ていた。曲がり角を同じ方向に3回曲がってストーカーかどうか確かめてみたがやっぱり彼女はタッシーの後を追っている。

タッシー(これ一度、僕を見失ってもらわないと逃げれないやつだ。)

そう思ってタッシーはゲーセンへ避難した。ここなら入り組んでいて、しかもそこら中にゲーム音が響いている。音ゲーの音楽やUFOキャッチャーから聞こえてくる悔しいがる声

シューティングゲームの聞いてて気持ちいい機関銃音、等々。追跡をくには適している環境だ。

タッシー{小走りで}(とりあえず右へ左へと進めばきっと見失うはず。)

しばらく進んでいくと壁が見えて来た。

タッシー(よし、ここが1番奥だな。){ストーカーを探す}

タッシー(ok、いないね。){方向転換して再び走り出す}あとは入って来た場所と逆の方から出て全力でダッシュすれば、)

だがそんなの初めからお見通しだと言わん

ばかりに、ストーカーが円形のUFOキャッチャーから顔を出していた。

タッシー(゚д゚lll)(ダメだ一旦戻らなきゃ。) 来た道を戻って一旦ゲーセンの機械の物陰に隠れた。落ち着いて周りをみたら目の前の

ゲームが個室型のアーケードゲームだという事に気が付いた。

タッシー(これはある意味かくれんぼみたいものなんだから、動きまくてちゃずっと追われ続けるだけだ。)

タッシー(この中に隠れてやり過ごそう。)

カーテンを開けて入った後、壁にピッタリ体をくっつけて椅子に座り、手で口を押さえて息を潜めた。もちろん見るところは画面では無く両サイドの出入り口の足元だ。

(足音)こつ、こつ、こつ、こつ

ストーカーの足音がタッシーの耳にだけ

伝わってくる。過去に聞いたこともないほどカクテル効果がすさまじい。

(ゾンビの唸り声)ヴェ〜ヴガァー!

タッシー(>人<;)

タッシー(今更だけどこれホラーゲームじゃん。なんで他のところにしなかったんだよ!) ゲーム紹介映像から聞こえてくるありとあらゆる恐怖的な音声がタッシーの心を

ドクンドクン言わせてくる。

タッシー(T ^ T)(マジでなんでここにしちゃったんだろう。いや落ち着け。所詮作り物だ。今は本物から隠れているんだぞ。こんなので

ビビってどうする。)

(足音)こつ、こつ、こつ、こつ

タッシー(お願い、そのまま向こう行って!) し〜ん………………………

タッシー{確認の為にカーテンへ近づく。}(カーテンの音)バサッ!

ストーカーがカーテンからスマホと手だけを入れてきた。

タッシー(;゚Д゚){尻餅をつく。}

(スマホの音声)『見つけた、ここにいたのね』その声はアニメぽい女の子の声で、

透き通っているけどまるで心壊れてしまった人が喋ってそうな抑揚よくようだった。

タッシー{転げ落ちるようにゲーム機から

出てくる。}

タッシー「うわぁァァァ!」

これを見た周りの人達は、タッシがホラゲーがよっぽど怖くて転げ落ちた人の様に

見えたためストーカーがいるなんて微塵みじん

思わなかった。


        ****


タッシー(-。-;「はぁっはぁっ」

タッシー(このまま家に帰っても多分

ストーカーは続く。ならここで警察に突き 出さないと。)

ストーカーは誰なのか分からないが確実に

存在するのは分かっているので警察に通報して捕まえてもらうことにした。

(着信音)トゥルルルルル、トゥルルル

警察「はい、こちら110番です。事件ですか

事故ですか?」

タッシー{移動しながら}「怪しい人に追われています。最近オープンしたあのショッピングモールまで来て下さい。」

警察「え〜と、もしかして××区に出来た

ショッピングモールの事で合ってます?」

タッシー「はい!」

警察「分かりました。すぐに向かいます。我々が来るまで安全な所にかくr」

(電話が切れる音)トゥートゥートゥー

警察(  ̄^ ̄)

タッシーが向かったのはエレベーターだ。

タッシー「今度はこっちが見下ろす番だ。」

アナウンス「4階です。ドアが開きます。」

ドアが開くとその先には誰もいない空間だった。お店はやっておらず中も暗かった。

そして天井に1番近い階なのもあり他の階より圧迫感が感じられる。かろうじて下から

聞こえて来る歌声や観客の盛り上がり声に

よって異世界に飛ばされた訳ではないと認識できるがそれと同時にギャップも生まれてしまい、異様な雰囲気が醸し出されていた。

タッシー{柵越しに下の様子を見下ろしながら}「絶対に気のせいじゃないはず。さっき

から僕をストーカーしている奴はどこだ?」

必死に探し始めて10秒ほど経ったその時、

狩人少女「😈ごめんちゃい♡」

ひとりでに自分のお尻が持ち上がった感覚がした。

タッシー(´⊙ω⊙`)「え?」

いや違う、ストーカーに持ち上げられて

突き落とされたのだ。だが気づいた時には

出遅れだった。前のめりになったタッシーは

そのまま静かに落下し出した。

タッシー(・▽・)(終わった。)

       【第二話完】

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