卒業と新たな一歩

「アルティアですか?」


 無事に学院を卒業して家に戻った後のこと。

 婚約破棄の周知などを含めた今後のことについて話している時に、お父様はその名前を口に出した。


「そうだ。名前くらいは学院でも聞いたことはあるだろう」

「たしか、10年ほど前に発見された新大陸で、様々な遺跡が見つかっているとか」

「そのとおりだ。現在では開拓も進み大きな港町が作られて、そこを拠点にさらに開拓を進めている」


 学院でも話題にでることは何度かあった。古代文明と思わしき遺跡から、今の時代でも通じるような魔法や様々な技術の断片らしきものが見つかっていると聞く。

 それ故に、様々な国が出資というなの発掘競争も行われているとかいないとか。


「そのアルティアに私が?」

「うむ。実は開拓開始当初から我家からも出資をしていてな。過去に集会所兼幹部たちの宿舎として使われていた小さい屋敷を所有しているんだが。ここ数年は開拓の前線が変わったこともあって、使用するような人間も現れなくてな」

「なるほど……」

「家にいながら家の手伝いをしてくれても問題はないのだが、婚約破棄の騒動があったばかりだ。この街では外出とかも気を使うだろう」

「それで、使ってない屋敷の管理がてらアルティアへ行けと」

「いや、強制する気はないのだが、今の時代においては学院で学べない知識や新たなものが見つかる場所だ。いい刺激にもなるだろうし、何より婚約関連のことを知っているものも、ほとんどいないだろう。興味があればどうかと思ってな」


 お父様のいう、この街だと周りの目が気になるのは事実だ。

 一応、自分の中で吹っ切れたと思っていても、話題にだされることや意識することが多ければ思い出してしまう。

 それもお父様の本心だろう。ただ、絶対にそれだけじゃない――。


「わかりました。屋敷の管理もかねて行かせてもらいます」

「そうか。あ、いや、屋敷については別に気にしなくてもいいんだぞ……まあ、助かるが」

「建物は使わないとすぐに劣化していきますからね。どこかの別荘のように」

「ぐぬぅ……」


 図星を疲れたといった表情だ。

 お父様は昔、家同士の関係とはいえ別荘を買い取ったは良いが、本家から遠すぎてほぼ使わないままに廃墟とかした経験がある。


「でも、さすがにただそこで生活していくというのは。ライアート家(うち)はアルティアでなにかしていないの?」

「現在は出資と必要に応じて商人との仲介くらいだな。数年前までは商人が商売を行くにも、未知な部分があったから大きな商会などは人を送るのに躊躇していた」

「まあ、どこに危険が潜んでいるかわからないですからね。でも今はほとんどそれもしていないと」

「必要がなくなった。だが、マリアがなにかしたいというのならば、常識の範囲内であれば挑戦してくれて良い」

「わかりました。ひとまずは生活をしてみて、街の様子をみてから考えてみます」

「わかった。では、近い内にアルティアへ向かう船の予定を確認して伝える」

「それまでに準備を済ませておきます」


 状況が落ち着くまで引きこもることも考えてたけど、これはこれで予想外だった。

 ただ、色々と新しい環境に身を置くことでみえてくることもあるだろうし、渡りに船だ。


 私は気持ちを新たに準備をはじめた――ついでにイメチェンとかもしようかな。

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