第3話 裏切り

慣れない地で寝るということが、木夏は苦手だった。

僕、木夏は、沖縄に住んでいた。この荒廃した日本で、凶暴化して目覚め始めた土地神を鎮めるために、旅に出ようとしていた矢先に土地神に襲われて、海に放り投げられてしまった。ようやく流れついた鹿児島で知り合った、末の村に泊めてもらっている。

そうして今一夜が明け、朝が来た。

末の家の外に出て、背伸びをして手首を曲げ伸ばししていると、周りの村人たちが、睨んでくる。

(何か悪いことしたかな…)


「おはよう」

背後からいきなり話しかけてきた末がこっちを見ている。

(手には日本刀…?)

「うわっ。痛っ。」

脇腹に刺された感触がする。

「好きやったばっ、ごめんね。こいがあたいらん仕事やで。」

末がそういうと、さっきまで睨んでいた村人たちが、僕に向かって石を投げ始めた。

(殺される。殺されちゃう。そういえばシロ爺からもらった刀は?どこ行った?刀は触れることはわかった。刺さってるのを抜くか。)

1・2・3えいっ。

(ぬおおおおおおおお。痛い。痛い)

「あんたら、僕を殺そうとしてるけど何がしたいんや?」

村人が言う。

「わいを殺す。そうすりゃ貧しかこん村は政府からん補助金で救わるっ!」

僕は返す。

「なんだか知らんが、平和的な解決方法探ろう?」

刀を振る。脇腹が痛すぎて、まともに振れない。

(痛すぎる、抜かないほうが良かったかもしれない。あいつ何がしたいんだ?)

「補助金がなんだか知らんが、部外者に迷惑かけるのはやめといた方がいいよ?」

(こんなところでくたばってたまるか!死んでたまるか!)

鞘にしまった刀を振って、相手の頭にぶつける。死にはしないが気絶する。相手を一人一人気絶させていくしかない。石が飛んでくる、かわす。気絶させて、石をかわす。そうこうしているうちに最後の1人になった。

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