Column11 「俄然」の本来の意味

 今回は、「俄然がぜん」の間違えやすい使い方について取り上げようと思います。


     ☆


 突然ですが、皆さんに質問です。次のうち、「俄然」の意味が本来のものであるのはどちらでしょうか。


①スイカとメロンを比べたら、俄然スイカのほうが好きだ。

②お使いを頼まれた。全くやる気がしない。……え? アイスを買ってくれるって? それなら話は別だ。俄然やる気が出てきた!


 どちらもありそうな、そうでもないような……。どうでしょうかね。

 

 もしかすると迷っている方もいらっしゃるかもしれないので、正解を言う前に例文の「俄然」の使い方を見てみましょうか。


 まず①は、スイカとメロンのどちらかが好きかという話をしているので、「俄然」は「とても」とか「断然」という意味で使われていそうですね。

 よって「スイカとメロンを比べたら、断然スイカのほうが好きだ」という意味になりそうです。


 次に②を見てみましょう。

(②は少し長い例文になってしまったのですが、短くすると別の意味に捉えられてしまいそうだったのでご了承ください)

 ②のほうは、最初はやる気がなかったようですが、アイスをおごってもらえることになって急にやる気が出たようです。そのためここでの「俄然」は「急に」とか「突然」という意味で使われていそうですので、 「急にやる気が出てきた!」と解釈できます。


 ちなみに、「俄然」の「俄」は「にわか」と読みます。「にわか」と付く身近な言葉を思い出すとヒントになると思うのですが、いかがでしょう。


 ……では、そろそろ答え合わせをいたしましょうか。


 正解は、②です。


俄然がぜん」には「急に」という意味があります。

 ですから①の例文で、「俄然」を使ってしまうと、「スイカとメロンを比べたら、急にスイカのほうが好きだ」となってしまって変な文章になってしまうんですね。

 一方の②は、上記に説明した通り「急にやる気が出てきた!」ですから、問題ない使い方です。


 しかし、意外と「俄然」を「断然」という意味で使っていらっしゃる方が多いようです。文化庁が発表した令和2年度の「国語に関する世論調査」で、「俄然」の意味を問うたところ、本来の意味で使っている人が23.6パーセントで、本来の意味ではない「断然」という意味で使っている人は67.0パーセントになっているそうです。


 先日、とあるネットの文章を見ていたところ、「俄然やる気が出てきた」という一文が出てきました。

 一見②の意味として捉えられそうですが、前後の流れが分かりにくいと①の意味(この場合は「とてもやる気がでてきた」とか、「より一層やる気がでてきた」という可能性もありそうです)として使われていることもありそうで、「どっちの意味なんだろう……」と悩んでしまいました……(笑) 


 ちなみに「俄」が「にわか」と読むと書きましたが、「急に降って、すぐに止んでしまう雨」に「にわか雨」がありますね。あれも「俄雨にわかあめ」と書きます。

 もし「俄然」の意味に悩んだ際は、「俄雨にわかあめ」を思い出すと、間違えにくくなるかもしれません。参考までに。

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