第6話「モンスター退治」

 ワシ何度目かの宿の朝じゃ。チュンチュンと小鳥の鳴く声が聞こえるのじゃ。朝チュンではないぞい。

 ルナが朝のお祈りを終えて朝食に取り掛かっとるのじゃ。朝のお祈りとは神に祈ること、即ちワシにお祈りしとったのじゃ、何だかむず痒いのう。


 今朝は久しぶりに教会に向かったのじゃ。これまでのワシの働きを報告するルナは教会のトップ、マザーに頭を撫でられとったのじゃ。

「流石はルナです。神様を良い方向に導いてますね」

「ありがとうございます」


 ルナに導かれとるのは事実じゃ。ワシまで照れくさくなるのじゃ。

 ルナのおかげでやることが見えてきたのじゃ。ワシは人々のやる気を起こさせれらばいいのじゃ。

「少し違いますよ」


 ふとした瞬間ルナが語りかけてきたのじゃ。何が違うというのじゃ?

「コン様のやる事は人々を救うということです」

 そんな事はわかっとるのじゃ。じゃからああして救っておるじゃろう?

「それは人々を守るということでもあります」


 守る? 何からじゃ? この世界には危険なものがあるのかのう? 強盗や犯罪者からはワシは守れないのじゃ。

「モンスター……心に入り込む悪い妖精をそう呼びます」

 モンスター……怪物かのう? ワシは首を傾げたのじゃ。そんなやつは最初の地点にもいなかったのじゃ。


「平原や森、山の中などにはこの辺りにはいません。そのモンスターは心の中に潜むのです。そうして街を滅ぼすのです」

 どうやら目には見えんようなのじゃ? それなら納得なのじゃ。

「目に見えるようになるまで放っておくと魔王として覚醒してしまうんです」


 魔王……魔王か。まぁ厄介な存在という事なんじゃろうのう。ワシがそう考えとると、ルナは話を続けたのじゃ。

「魔王の現れるきざしとして、モンスターが町を闊歩かっぽすると言われています。恐らく今頃はモンスターで町が溢れかえっているでしょう」

 何じゃと!? それならば急がねばならんのではないか?


「説明で長引きましたが、急いでパトロールしましょう」

 ワシとルナは急いで町をパトロールしたのじゃ。しばらく歩くと変な生き物がウヨウヨいたのじゃ。


「どうかしましたか?」

「ゼリーみたいな生き物がおるのじゃ」


「!? それがモンスターです。私にはまだ見えませんが……」

「恐らくワシじゃから見えるのじゃろうのう」


「恐らくそれはスライムです。人々を怠惰にさせると言われています」

「どうすれば良いのじゃ?」


 ルナはワシに叩いて潰せるか聞いたのじゃ。ワシはゆっくり近づいて叩きまくったのじゃ。

 するとスライムは潰れて消えたのじゃ。潰れたスライムから光が現れてどこかへ消えていったのじゃ。

 きっと誰かの救いになっとるといいのう。


 そう思っとったらいつの間にかスライムに囲まれとるのじゃ!

 ワシの表情を見てルナがどうしたのかを聞いてきたのじゃ。ワシは何ともないと答えて、スライムをボコボコにしにかかったのじゃ。


 激しい戦闘じゃった。ワシはスライムに抱きつかれて熱を帯びたのじゃ。じゃが回転して払い、とにかく一匹ずつボコボコにしたのじゃ。

 溶けて消えていくスライムが全部いなくなった後、ワシは息も絶え絶えだったのじゃ。

 恐らく十匹は倒したのじゃ。


「一旦宿で休みましょう、コン様」

 時間は昼前、ワシとルナは宿で休憩したのじゃ。ワシはベッドで横になり体を休めたのじゃ。するとルナが手をかざし祈りを捧げ始めたのじゃ。

「これで少しは回復されるはずです」


 ルナは昼食を摂って、体力を回復させたのじゃ。魔力を使うと体力も使うらしいからのう。

 そうして再び町のモンスター退治に出ていったのじゃ。

 誰にも見る事の出来ない戦い。スライム潰しじゃ!

 そうしてその日のうちに合計二十匹のスライムを倒したのじゃった。


 そしてそれは忍び寄る魔の手の第一歩じゃったのじゃ。

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