第36話:さて、そうして帝国では
「…………大きいね」
バーングレイス帝国。その帝都で銀行を始めるということで、赴いていた。市場も活気があって、国民は幸せそうだ。オールゴール王国の王都よりも活気がある。一応イゲムントには聞いていたが、大国であるらしい。エデンガーデン連邦にとってはお隣さんなので機嫌を損ねる真似だけはしないようにしないと。
「…………ママ……パン売ってる」
一応貨幣は持ってきた。まだキャッシュカードは運営されていないので、金銭授受で契約する。
「…………美味しい」
パンを食べて嬉しそうにするルミナス。愛娘の笑顔を見れるだけで俺には尊い。牧畜も発展しているのか。クリームパンが売られていた。さすがにパーフェクトプラントと言っても牛乳は用意できないので、エデンガーデン連邦ではクリームやチーズと言った物品は中々見ない。なのでクリームパンは結構貴重だったりする。
「で、ここが帝国の銀行」
中々豪奢な建物で。威厳があるというかなんというか。常に軍人が護衛をしており、銀行強盗にも対応しており、そこら辺のリスクヘッジは俺も進言していた。で、そのまま銀行と。
「…………ママも運営するの?」
「いや。今回に限り俺はノータッチ。というかとは言っても、
一部帝国の国庫にも入る。その辺の塩梅は既に議論していた。あくまでヴォイドマネーが増えればいいなぁ程度だ。もちろん仕切るのはイゲムントで、そこはバーングレイス帝国の帝室も理解はしている。そうして、商人による活気が盛んなことを見て取って、ここで銀行を始めれば、相応のメリットが得られることを確信する。
「っていうか、呪術誓約が普通にできるギルメートが異常だよな」
呪術契約は普通、呪術師同士のやり取りだ。けれどもそれを普通に一般人にも普及させる。中々できることではない。というかそこまで呪術を普遍化していいものかという話がある。今更だが、呪術は基本的に認知できる者にしか適応されない裏技みたいな技術であるからだ。
「…………ふわぁ」
そうして俺たちは銀行の支店に向かって。そこに造られた大きさにちょっと引く。国を挙げて銀行を運営するにしても、もうちょっと何とかならんのか。みたいな。すでに軍隊が護衛しており、開行には万全だった。
「よくお越しくださいましたですぅ。アーゾル頭取」
で、フォーマルな格好をしたイグナイトが迎えてくれる。一応銀行を運営するにあたり、服装はフォーマルなものをと指定した。行員が華やかな服装をしていると、威圧してしまうというか信頼が損なわれる。こっちの世界にもスーツ文化は有ったので、その通りにしてもらったのだ。
「それで行員は全員呪術誓約を受けた者たちですぅ。アーゾル様の言が正しいのなら、裏切った場合はそこそこの処罰が下される……でいいのでしょうか?」
「悪魔の証明だな」
実際にやって見ないとわからない。
「一応運営においての勘所は掴みましたですぅが。理解すればするほどに頭取が危険ですぅよ」
銀行が管理する財産は既にオールゴール王国の国民財産の五割を超えている。同じことがバーングレイス帝国でも起きたら、たしかに銀行と帝室の力関係はいずれ逆転するだろう。
「嫌ならやめていいぞ」
「わかっていて仰ってますですぅよね?」
否定はしない。
「じゃ、ちゃっちゃとやるか」
そうして帝国でも銀行は始まった。俺は
「ウマウマ」
そうして帝都の銀行のカフェテラスで、コーヒーを飲みながら行内を見渡す。
「…………ウマウマ」
その隣ではルミナスがコーヒー牛乳を飲んでいた。帝都には牛乳があるので、コーヒー牛乳が可能だ。俺も牛乳を混ぜている。ブラックで飲んでもいいのだが、牛乳があるということが俺にとっては物珍しい。
「預けるだけでお金が増えるんですか? 預ければ預けるほど?」
帝国でも利子については理解が難しいというか。言っていることはわかるが「マジかよ?」程度の認識であるらしく。詐欺を疑うものも多いが、それでもキャッシュカードは普及していく。このままいけば、アーカーバンクの影響力はオールゴール王国とバーングレイス帝国に轟いてしまうのだが、それを案じたイグナイトによって国家運営をしているというか。それでもギルメートの影響力はダンチだが。
「中々盛況だぁよ」
そのギルメートも現れて。というか
「システム上の不具合は起きてないか?」
「大丈夫だぁよ。あ、ボクはハーブティーで」
そうしてルミナスと三人。茶を飲む。イゲムントは銀行の運営における最大人物なので、現れた以上は仕事をしなければならない。君臨すれども統治せず。みたいな?
「ぶっちゃけ。これって大陸中に広がるだぁよね?」
「まぁ最終的に全部の財産を接収できればいいかな程度は思っているが」
「お金持ちだぁよ」
「全部ヴォイドマネーだがな」
「あとはシュテイン教国を押さえればチェックだぁよ」
「シュテイン教国?」
「
「ワールドロジー……ね」
「まぁ時間の問題だとは思うだぁよ」
それはそうだ。既にオールゴール王国とバーングレイス帝国ではキャッシュカードが成立している。既に金貸し業も行っているし、事態の推移は順調に過ぎる。コーヒー牛乳を飲む。
「うむ。美味い」
そうしてバーングレイス帝国での銀行経営はあっさり済んで。そうしてサークラーダファミリーとの抗争に話は移っていく。
「ふわぁ」
そのサークラーダファミリーが最初に因縁をつけたのは銀行の運営から二か月後のことだった。キャッシュカードが既に帝都では普遍化して、カツアゲの類の犯罪も減ってきて、国が金貸し業をすれば、当然面白く思わない勢力も存在し。
「ふざけんじゃねーぞ!」
周囲の人間が怯える中で、声の大きな人物が、行員に食って掛かる。
「こっちに挨拶も無く金貸し業だと!? 通ると思ってんのかそれが!」
「お客様。大きな声は他のお客様の御迷惑に……」
「だったら俺らサークラーダファミリーに迷惑かけるのはいいってのか! あぁ!?」
行員の胸ぐらを掴んで脅す三下。その首根っこを掴んで。
「それではな」
バーングレイス帝国の軍人が豚箱まで連れていく。バーングレイス帝国の軍隊はとびぬけてステータスが高いらしく、マフィア程度ではこゆるぎもしない。
「てめえら! 国だからって舐めてんじゃねーぞ!」
「話は尋問室で聞く。その間に死ななければいいな」
軍隊の大きな力はマフィアにとっても脅威らしく。俺たちはテラスでカフェをしながら、その威容さに感服仕っていた。
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