★二〇一一年八月六日(土曜日)
二人は映画館の座席に腰掛けていた。佐希と渉はお互いの仕事が終わった後、この映画館で待ち合わせた。前から三列目で左寄りの席。ワインレッドの座席は化学繊維の感触が、使い古されたが故のなめらかさで心地いい。
「入口に、昔の映画の続編、みたいに書いてあったけど、渉君は元の映画って見たことある?」
渉が座る左隣から佐希の落ち着いた声がした。
「さあ。そういえばこの映画自体のタイトルもよく見てなかったけど……何とかショー?」
ここに来る前、二人で何の映画を見るか考えていた時、映画館入口のポスターを眺めながら、内容もよく知らないまま渉が早々と決めてしまった。
「ツー」
「通?」
ブザーが鳴った。室内の照明が暗くなり、正面舞台のえんじ色の幕がゆっくりと左右両端に退いていく。映写機の光はすぐにスクリーンの白を捕らえ、闇となった。
「カー?」
佐希の方を向き、渉は問い返す。
「しーっ」
人差し指を立てた左手を口元に近づけ、佐希が渉を制する。渉が正面に向き直ると、佐希は渉の耳元に顔を近づけてささやいた。
「ツーカーの仲だね」
耳元がくすぐったい気がして、渉は言葉もなく少し笑った。
スピーカーからは沈黙の音が響きわたる。今この場所は沈黙であるべきだという圧力が映画館の空気を支配する。その中には、わずかにちりが跳ねるようなプツプツという音が不規則に混じる。咳払いやお菓子の袋を開ける音が時折聞こえるが、それは、スピーカーから流れる沈黙の音によって、「なかったこと」にされる。
闇となったスクリーンからも同様に、チリの跳ねるような明滅は、流れ星を見つけることよりは遥かにたやすい頻度で繰り返される。
闇は上の方から僅かに青と緑を含んだ光を蓄え始めた。蓄えた光の中から無数の星が白く光り出した。星の光はどれもが微妙な光の強弱の変化を繰り返した。その動きによって、星達の前には雲が流れていることがわかった。
「星が美しいのは、それを遮るものがあるからだ」
背後から抑揚のない低い男の声が聞こえた。渉は振り向くが背後には誰もいない。五段ほど後ろにサラリーマンらしき男が座っていたが、彼が発した声だとしても、距離がありすぎる。
「かつて私が住んでいた島も、そうだった」
同じ男の声が、今度はスクリーンの手前から届いた。
スクリーンはやがて青い光に包まれた星空でいっぱいになった。電子ピアノの、旋律もない単音が響きわたった。ピアノというよりは、電話の受話器を上げた時に聞こえる音と言った方が近いのかも知れない。スクリーンに満たされた星はゆっくりと上の方に流れてゆく。スクリーンの下の方からは空の光をはっきりとした闇で区切った地平線が見える。
気がつくと、電子ピアノの音の後ろにはストリングスの和音が被さっていた。本物の弦楽器によるものではなく、シンセサイザーによる合成音だった。ストリングスの音に包まれた電子ピアノは緩やかな旋律を奏で始めた。
星空から地平線に降り、スクリーンはさらにその手前を映し出していく。地平線の手前はひたすら闇だ。スクリーンは下の方から上の方へ闇で包まれて行く。
目を凝らすと、地平線の手前に広がる闇の中に、さらに深い闇を見つけることが出来た。最初それはスクリーンの底で丸い形をしていたが、空の領域がさらに狭くなるにつれ、それは人の影であることがわかった。大人の男のようだ。
再び地平線の上の空がスクリーンを満たしていく。空の中にゆっくりと現れる彼の頭が星を遮る。スクリーンはますます空の領域で満たされ、星を遮る彼の体の影が形を浮かび上がらせる。
ストリングスの緩やかな旋律が辺りを包み込む。スネアドラムとシンバルの音がリズムを刻んでいる。
「私はついに、あの島を出た」
星空を遮る男は、スクリーンに背を向けたたまそうつぶやくと、向こうに向かってゆっくりと歩きだした。
男の先には地平線がまっすぐ見える。時折、前の方から車のヘッドライトが彼を照らして過ぎ去っていく。その瞬間、彼の影はより鮮明に浮かび上がる。
スクリーンの上から満月がゆっくりと降りてくる。男の姿は月の光によって僅かに明らかになる。
男は立ち止まる。月を見上げると両手を体一杯に広げ、空に掲げる。
渉は体を少し起こし、右隣に座っている佐希の方を向いた。映写機の光が顔の右半分に当たる。佐希が不思議そうな表情で渉の方を向いた。渉は意識してかすかに微笑んだが、佐希は渉に微笑み返すことはなく、そのままスクリーンの方に向き直った。
「ここはあの島とは違う。このまっすぐ続く道は、私が歩き続けようと思う限り、どこまでも続くのだ」
スクリーンの男は、その姿を明らかにすることなく、星空の下の道をひたすら歩き続けた。彼のすることは歩き続けることだけだった。音楽は、その足並みを彼と忠実に合わせていた。渉の感覚にしてそれが明らかに五分以上は続いたとわかった時、渉はそろそろ何かが起こるはずだろうと奥歯の根元が痒いような感覚を持ち始めた。
しかし、相変わらず星は美しく輝き、スクリーンの男は歩き続けるのみだった。
男は立ち止まり、つぶやいた。暗闇の中でかすかに見える彼の瞳と目尻の皺には喜びが溢れていた。
「そうだ。まさしく。この道は私が歩き続けようと思う限り、どこまでも続くのだ。そう。今までもずっと続いてきた」
再び男は歩き続けた。ハイハットが刻むリズムとかすかにオーバードライブが効いたギターの単音のメロディは男の歩みに相変わらず忠実だった。
渉は何分か毎に一度、男が歩き始めてから何分経ったのか予想することを繰り返していたが、やがてそうすることを忘れていた。
奥歯の痒みも既になくなっていたと気づいた頃だった。ギターのメロディは形を失い、投げやりとも思えるギターソロに置き替わっていた。その一方でハイハットはリズムを保っていた。
メロディを失ったギターの音はひどいものだった。ピッキングと運指のタイミングは全く合っていないし、チョーキングした弦は指から逃げるように離れて唐突な解放弦の音を発する。
「いや、待て。果たしてそうか?」
男のつぶやきが聞こえた。それまでハイハットのリズムをとらえ続けていたベースの音があっさりと途絶えた。ギターはベースに見捨てられたと失望したのか、むしろ邪魔者が消えたと喜んだのか、その音色に込める混沌をさらに加速させた。
渉は、こんなものが一体いつ終わるんだと半ばうんざりしつつも、そのギターがまともなメロディを奏で続けていた時よりは、時が進む手応えをよりはっきりと感じ取ることができた。
ハイハットが刻むリズムはギターの音と共に次第に遠ざかる。するとそれまでの間、ストリングの単音の高音が同じキーでずっと鳴り続けていたことに初めて気づく。その高音すらも長い時間をかけて次第に小さくなり、代わりに、かすかな息づかいが渉の耳に入り始めた。
男は歩みを止め、つぶやいた。
「いや、待て。逆ではないか。私が歩き続けようと思うが故に、この道は続くのではないか?」
星空はスクリーンの真ん中から次第に闇に塗りつぶされながら、輝く領域を失う。男の影が迫る。スクリーンは全て闇に包まれた。しばらくすると、男の両目が闇の中からかすかに浮かび上がった。
「私が倒れた時、この道は終わり、世界は終わるのではないか?」
無音が続く。男は瞳をかすかに震わせながらまばたきを繰り返す。
「そうか。私が倒れた時、この世界は終わる。終わらないとすれば、俺は終わらないこの世界をどうやって知ることができる?」
字幕が出る。
「確かに、彼にとっての世界は終わるだろう。我々は彼が終わる様子をただ眺め、世界は回り続ける」
聞こえるのは息づかいの音だけだった。
スクリーンの闇は次第に明るさを取り戻した。男は正面に立ったまま、右手の人差し指をスクリーンの前に突きつけた。
「お前が倒れた時、この世界は終わる。必ず終わる。終わらないとすれば、お前は終わらないこの世界をどうやって知ることができる?」
男は問い返した。抑揚のない低い声だが、誇示することなく立ち上る力強さと、自身の言葉への確信をみなぎらせていた。
「おまえ?」
渉は半開きのまま乾いた口をかろうじて動かし、かすかな声を発した。
「そう。お前のことだ」
渉の首筋は急に速く脈打ち始めた。それとはあまりにも無関係に、先ほどから安らかな息づかいが渉の耳に届き続けていた。大きく息を吸って吐いたが、頭の中はますます熱くなり、脈打つ首筋の動きは舌の根元にまで伝わってくる。
渉は佐希を見た。息づかいの主は彼女だった。首筋を無防備に渉の方に晒しながら眠っていた。
「そんなばかな。自分が死んだってこの世界は世界のままに決まってるし」
佐希の寝顔を見つめながら渉はつぶやいた。
「お前が倒れた時、この世界は終わる。必ず終わる。終わらないとすれば、お前は終わらないこの世界をどうやって知ることができる?」
男は同じせりふを発した。眠り続ける佐希の口元がそっと緩んだ。渉にはそれが、笑ったようにも頷いたようにも見えた。彼女を守りたいと思った。そう思うようなことでもしない限り、もはや男の問いに押し潰されてしまいそうだった。
「自分が死んでも彼女が生き続ける」
「お前が倒れた時、この世界は終わる。必ず終わる。終わらないとすれば、お前は終わらないこの世界をどうやって知ることができる?」
答えは見つからなかった。
脈打つ首元を、渉は自らの理性がかろうじて押し留めていると思っていた。その理性が途切れた時、抑え込まれていた血流は一斉に渉の体を駆け抜け、渉の体はその熱さと流れの激しさに耐えられなくなると思った。
かろうじて理性を保っている。渉はそう信じた。だが、その理性の根拠となるものは一体何だろうか。
地響きのような轟音が迫る。音が増すにつれ、スクリーンの真正面に立つ男の姿はより強い光に照らされ、その姿を明らかにする。男の像は轟音と共に増す振動でぶれる。引き締まった頬にしっかりと支えられていた彼の口元は次第に緩み、半開きの口元を震わせながら目が泳いでいる。
「終わる。私が倒れれば終わる。私にはお前をいくら感じることができても、お前自身になり代われなかった。結局私はこの世で一人。自分以外の誰も証明できなかった。そうだ。同じことじゃないか。あの島にいようが、この場所にいようが、結局同じことだったのだ!」
こいつは狂ってる。
そんなこと、考えなければいい。
ここにいてはいけない。
「お前が倒れた時、この世界は終わる。必ず終わる。終わらないとすれば、お前は終わらないこの世界をどうやって知ることができる?」
にも関わらず、渉の中で同じ問いが執拗に発せられる。
「ねえ」
渉は右を向き、そっと佐希を呼んだ。自分で発した声すらも聞こえなかった。
「佐希ちゃん、寝てる?」
佐希の肩を揺すった。弾かれたように佐希は目を見開いた。言葉を発したのが口の動きでわかったが、何を言っているのかは渉には聞き取れなかった。
「早くここを出よう!」
渉は佐希の手をとった。
「なんで? どうしたの?」
そう問いかける佐希の声がかろうじて渉の耳に届いた。
「早く。はやくはやく」
佐希の手を引っ張り、走り出した。スクリーンの横にある防音扉に肩から突っ込もうとした時だった。
スクリーンは白い光で埋め尽くされ、激しい爆発音が響いた。渉は足を止め、画面に見入った。白い光の中から男の手がかすかにこちらに延びてくる。男は、こちらに伸ばす手の奥で叫んでいる。
「どこまで行っても同じだ。世界はお前が行く先をな! 全部少しだけ先回りして精巧にできてんだ! お前に証明できるわけがない! お前がこの世界でたった一人じゃないってことをな!」
「え? 何? なんなの」
佐希は困惑した目で渉とスクリーンの男を交互に見る。
渉は体を震わせていた。佐希の手を握ったまま防音扉の向こうに体当たりした。
コンクリートの床に足を滑らせ、渉は前のめりに転んだ。佐希の手が離れた。
「お前に証明できるわけがない! お前がこの世界でたった一人じゃないってことをな!」
その声の出所が防音扉の向こうからなのか、自身の心の中からなのか、渉には区別がつかなかった。
よたよたと起き上がると、口元から涎が床に垂れた。渉は構わずチケット売場をめがけて廊下を走り出した。
「ねえ! 待ってよ!」
背後からは、今にも泣き出しそうな佐希の怒声がした。振り向いた渉は足がもつれ、再び転んだ。
もうすぐ取り壊しになるこの映画館の廊下は、つややかな深緑色をしていた。尻から伝わるコンクリートの冷たさが渉には心地よかった。廊下に小さなひびが走っているのが指先の感覚でわかった。ひびは生えてからかなりの年月を経て、指先でなぞる境目の感触がなめらかだった。
渉は両手を後ろの床についた姿勢で座り込み、肩で息をしながら、立ったままの佐希と向き合っていた。
「僕が死んでも、佐希ちゃんはこの世界で生き続けるし……この世界は……」
「世界? えっ? どうしたの?」
「僕が死ぬ前と同じように、存在し続けるよね?」
顔を上げて渉は佐希に問いかけた。
「うん。そりゃあそうだよ。……てゆうか、当たり前じゃん」
佐希はあきれながらため息混じりに答えた。
「……そう……だよね?」
渉はすがるように佐希を見つめた。まるで、彼女の目を見つめ続けることで、佐希が渉に成り代わることができるかのように。困惑した佐希の表情は少しずつ落ち着きを取り戻した。
「うん……そうだよ。大丈夫だよ」
佐希はふーっと息を吐き、右手で髪を整えながら言った。
「そんなにすぐ死なないでしょ。普通」
佐希の態度は渉にはあまりにも素っ気なく感じられたので、たった今抱いていた疑問が恐れるに足りないような気がした。理解したのではない。そういう気がした。
呼吸を繰り返すにつれ、緊張と興奮よりも気恥ずかしさの方が勝ってきた。渉は立ち上がると、なるべくこの場にふさわしいと思える言葉を無理矢理口にした。
「ごめん。寝てたみたいだけど、やっぱ続き、見る?」
「もういいよ。何かあんまりおもしろくなかったし……」
「そうだね。いこっか……」
「……」
廊下の突き当たりにある自動販売機が白い光を発しながらブーンと低く唸っていた。防音壁の向こうからは爆発音や人の悲鳴がかすかに漏れてきたが、二人にとっては、もはや壁の向こうの出来事に過ぎなかった。
売店のアルバイト以外に誰もいないロビーを通り過ぎ、天井の低い螺旋状の階段を降りて行った。狭い階段なので、渉は佐希の後ろを歩いた。古い木製の手すりに手を掛ければ、トゲが刺さりそうだった。
佐希が振り向いたら何て言葉をかければいいだろうか。渉はずっと考えながら階段を降りていたが、佐希は振り向かなかった。
二人は映画館を後にした。既に日が暮れていたが空は未だに紫色を帯び、肌に粘りつくような暑さが残っていた。
「ねえ、見てこれ」
佐希が渉を呼び止めた。ガラスケースに入った昔の映写機が路上に飾られていた。渉が振り返り近づくと、佐希はガラスケースの反対側に回り込んだ。
「マシンヘッド……1960年。昔はこの機械で映画を映してたんだって」
渉は機械のレンズをのぞき込み、同じ姿勢でレンズの先を見つめていた。何年もの時を経て、この部分にはどんなに多くの土地や人々を映し続けてきたんだろう。しかし、この映写機はもう何も映し出すことができない。
ガラスケースの向こうからは、佐希がいろいろな角度や姿勢でのぞき込んでいる。
「元気ないね」
佐希の声がした。
「え? そう?」
渉が力なく応えると、佐希は渉の方に回り込んだ。
「だってずーっと同じとこ見てて全然表情かわんないんだもん」
「そっかなー」
他に返す言葉が見つからず、渉は曖昧に笑いながら歩き出した。
渉があらかじめ下調べをして目星をつけておいた居酒屋は、古びた雑居ビルの三階にあった。二人を乗せた小さなエレベータは到着階で止まる瞬間、がくんと上下に揺れた。その割に店の内装は新しく、壁のクリーム色が必要以上に鮮やかだった。
「さっきはごめん……」
二人はカウンター席に並んで座り、佐希が焼き鳥を串から箸でバラしている間に渉は声を掛けた。
「ううん。もう大丈夫だよ」
もう、という言葉に渉は少なからず動揺した。あの時、確かに佐希を困らせてしまったと自らを恥じた。
「大人気なかったかも知れない。よくわかんないけど、あそこから出た後、何でいきなり飛び出したのか、自分でもよくわかんない」
弁解がましいと思ったが事実だった。佐希の言葉で急速に現実に引き戻される感覚を渉ははっきり覚えていた。
店員が梅酒のロックとウイスキーの水割りを手渡した。既に二人は何杯か飲んでいて、ほろ酔いを少し越える程度に酔いが回っていた。
「なんでだろうね……あの映画、続きどうなったんだろうね?」
渉は、防音壁の向こうから漏れていた爆音や悲鳴を思い返した。もはや他人事だった。
「うーん、続きねえ……」
「あっ、何かそっち飲んでみたい」
佐希がそう言うのでお互いの飲み物を取り替え、もう一度乾杯した。
「続きって……だって寝てたじゃん」
「途中まで起きてたんだからー。あーっ、でもー。星がきれいだったねー」
左手で持ったグラスを傾け、ウイスキーの水割りを右手の小指でかき混ぜながら、佐希はつぶやいた。
「きれいだったね。でも、ずっときれいなままだと飽きてくるよ……僕も一緒に寝ちゃえばよかった」
渉は梅酒のロックに口をつけた。
「ああ、いいなこれ。もう一杯頼もうかな」
そうつぶやくと一気に煽った。
「きれいな星空を眺めながらいつのまにか眠ってるなんて……よくよく考えたら素敵だなー。あっ、すいませーん」
渉は梅酒のロックをもう一杯注文した。
「わたし……どんな風に眠ってたの?」
「どんな風に?」
梅酒のロックがもう一杯届く。渉は一口つけながら、その時のことを想像した。酔いのせいで恥ずかしさをごまかせる気がした。
「守ってやりたいなって思った」
「またまたー」
佐希は大笑いして渉の肩を叩いた。
確かにそう思った。だけどそれは後付けの気持ちだった。
「すごい気持ちよさそうだったよ。それがどれぐらいだったかっていうと……」
わからない。
「ずっと遠くにいる人のように……。あの時、僕は怖くてたまらなかった。映画の中の男が言うように、自分が終われば世界も終わるんじゃないかって、そんな気がした」
「終わるわけないじゃーん」
佐希は両肘をテーブルにつき、火照った頬を両方の手のひらで押さえながら応える。
「こんなに大変なことになってるのに、なんで君はこんなに気持ちよさそうに寝てるんだろうって、それぐらい気持ちよさそうだった。っていえば伝わる?」
「だって、眠くなっちゃうよー。ずっと歩いているだけなんだもん、あの男の人」
佐希はテーブルの上の渉の右手を、彼女の左手で三度、柔らかく叩いた。
「寝てたらわかんないかもしんないけど、男は歩きながら少しづつ壊れてったんだよ。最初の方とか、星はきれいだし、大人になった男の歩き方はホント、颯爽としてた。だけどね、ずっとそればっかだと僕も正直、途中で飽きてきたよ。だから何か変わったことが起きないかって思ってた」
「そーだったんだ。たまに、いきなり壊れちゃう人もいるけど、あの人はいきなり壊れちゃったわけじゃないのね」
カラカラと氷が転がる音がした。佐希は水割りを飲み干していた。
「男は何事もないみたいに平気な顔して歩き続けるけど、心の中ではモヤモヤし始めるんだよ。それが、音楽でわかるんだよ。音が段々変になっていく。今までずっと単調だからね、少し壊れるとどんどん壊れろーって気になってくるの」
佐希は渉の方を見ずに、ゆっくりとうなずき続けているようだった。渉はウイスキーのロックを、と言いかけて、結局、水割りを注文した。渉はカウンターの向こうでバーテンダーが水割りを用意するまでの過程を、カウンターの奥のグラス棚を凝視したまま、聞こえてくる音だけで捕らえ続けた。
棚からグラスを取り出し、ステンレスの流しの上に置く。氷をアイスピックで割る、というよりは砕き、グラスに断片を流し込む。氷のかけらは少し流しの上にもこぼれる。ウイスキーの瓶のふたを開け、かなり急な角度で注ぐが傾きをあわてて戻して流れを緩める。ミネラルウォーターではなく水道水で薄め、マドラーを束から一本取り出してグラスの中をかき回す。氷がマドラーに当たる。その間に、バーテンダーは別の客の注文を聞いたり世間話をしたりで作業は細かく中断される。
二人は一分近くの沈黙を保った。
渉がグラスの水割りを一気にあおろうとした時だった。
「そして私が起きた時」
佐希の声に渉は少し驚いたが、何事もなかったかのように小さく水割りをすすってから応えた。
「男はぶっ壊れていた」
「もう怖くないの?」
佐希は渉のこめかみの辺りをじっと見つめていた。
「何だか、あの男の叫びが今では妙に他人事に思えるよ。なんでだろ」
渉は振り向かずに応えた。
「そう。よかった」
よかった? 確かに、よかったのかもしれない。にも関わらず渉は、あの男の問いを自らのものとしようとしていたことを認めないわけにはいかなかった。その気持ちの片鱗を佐希に踏みにじられたような感覚を一瞬抱いた。
「僕達は……いや、僕は……。僕達は」
「どっちなの?」
佐希は渉の肩に手を差し出した。渉は振り向く。
「僕達は……、いや、君は」
「わたし?」
「あの男の叫びが他人事だって思える?」
「ごめん多分寝てたから何て言ってたかわかんなーい」
この酔いがすぐに醒めてしまわないだろうか。佐希にあっさり答えられた瞬間、渉にはそんな不安がよぎった。
「やばい。思い出した」
「なになに?」
佐希は持っていたグラスをすぐに置いて渉を見る。
「佐希ちゃんはさ、小学校の時、避難訓練ってやったことある?」
「ああー。あるよー。校内放送で、地震です、地震です、揺れていまーす、って言うんだよね。それで、みんな机の下に隠れるんだよね」
「やっぱあるよね」
渉はほっとしながら聞き返す。
「あるある。私の学校なんか何の予告もなく、いきなり昼休みに訓練させられたこともあったしー」
「うん。でね、小学校二年生の時、授業中に本当の地震があったんだよ。なのにさ、みんな机の下にもぐらないんだよ。僕だけが机の下に潜って、みんなに笑われたの」
「そんなに強く揺れなかったからじゃない?」
「その時覚えてる? 小学二年生」
「覚えてないなー。だけど、渉君が机の下に潜ったからって私は笑ったりしないよー」
渉の前で水割りの氷が溶け、カランと落ちる音がした。彼女はわかってくれるかもしれない、と渉は思った。
「地震があったら必ず避難しましょうって先生にはずっと言われてたんだよ? なのに揺れが止まってからも、そのまま授業は続いたのが僕には信じられなくて。つまり、訓練はしろって言われたら必ずするけど、本当の地震が来たらみんなは避難しないんだって思ったの。それで恐ろしくなって……手を挙げて先生に言っちゃったの」
「わかったー。何て言ったか」
佐希が笑いながら、渉の言葉を止める。渉は胸が熱くなった。彼女に出会えたことを心から感謝した。
「トイレーって言ったんでしょ?」
それは渉の求めていた答えではなかった。
「今ならきっとそう言うと思う。でも、違うんだ」
渉は大きくためいきをついた。一瞬で大きく膨らんだ期待はあまりにもあっけなく、満たされないことがわかった。そのためか、自身でも自分の顔が歪むのがはっきりわかった。同時に、そんな姿を佐希に見せることを申し訳なく思った。
「なーんだ。何て言ったの?」
佐希はそんな渉の表情など全く気にすることもなく、興味深げに渉に問い返す。
「さっき揺れたのは訓練だから避難しなくていいんですか? って。いや……違うな。さっきのは訓練だから避難したいって僕は言った」
「訓練で学校揺らすの? 無理だよー」
「今ならそう思うよ。だけど、子供だったし、僕には生まれて初めての地震だったから恐ろしくて。先生はただ笑って、大丈夫だからって言ってそのまま授業続けてたけど」
「でもさー、本当に危なければ先生が避難しましょうって言うから大丈夫だよー」
「だけど、今でもさ、あの教室の中で僕だけが地震にビクビクして、先生もクラスのみんなも平気な顔していたのが信じられないんだよ。もしかしたらこれは嘘の世界なんじゃないかって……僕は死なないと本当のことがわからないんじゃないかと思っていた。それで映画の男はね……」
そこまで言うと渉はグラスを一気に煽った。氷だけになったグラスを置き、大きく息をついた。
「こう言ったんだ」
あの男の言葉を口にした。
「お前が倒れた時、この世界は終わる。必ず終わる。終わらないとすれば、お前は終わらないこの世界をどうやって知ることができる?」
「……さあ?」
渉は佐希を正面から見つめながら迫った。
「男はそう言ったんだよ。それが他人事に思える?」
「そんなのわかるわけないじゃーん」
佐希は吹き出すように笑い出した。渉にとって彼女の表情は、彼が彼女に出会ってから最も魅力的に映った。しかし、彼女の感情を渉は共有することはできず、彼にとって彼女の感情は全くの他人事だった。彼女の姿をつとめて脳裏に焼き付けつつも、渉の酔いは急激に醒めつつあるように感じられた。
「お前に証明できるわけがない! お前がこの世界でたった一人じゃないってことをな! なんて言ったんだよ」
「目が血走ってるよー。本当にそんな風に言ったんだー。ものまねうまいね」
佐希は笑い転げている。
「ものまねじゃないよものまねじゃ!」
店内のざわめきがわずかに静まり、バーテンダーと他の客数名の視線が渉に向かった。渉はその様子で、たった今自分が大声を出してしまったことに気づいた。瞬時に平静を装い、
「そろそろいこっか」
と一言発した。佐希は戸惑い気味に目をパチパチさせながらうなずいた。
渉の胸の鼓動は再び急激に高まった。
二人が店を出た時、店内はざわめきを取り戻していた。
渉は戸惑うことなく佐希の手をつなぎ、何も言わず歩き出した。行き先は決めていなかった。とにかく歩き出さなければ気が済まなかった。
しばらくして公園を見つけた。白いブロックがスタジアムの観客席のように敷き詰められた広場の真ん中には、人工の池と噴水が色とりどりの光でライトアップされていた。その奥には煉瓦で積み重ねられた壁が噴水の霧で霞んで見えた。壁の上には緑地の歩道が見え、奥の中央には神殿のような建物が建っていた。建物の上からは滝のように水が流れ続けていた。
二人は、噴水を囲む白いブロックが敷き詰められた広場の中段に腰掛けた。夜も更け、大分涼しくなってきたと思っていたが、腰を落ち着かせるや否や、渉の体からは汗が吹き出し、動悸がさらに激しくなった。さっきまでつないでいた佐希の手の感触が蘇った。
「僕がこの世でたった一人じゃないって、どうやって証明できる?」
二人は座ったまま向かい合っていた。渉はすがるように佐希の答えを待った。
「だって、私が今ここにいるよ……」
渉は佐希の答えに満足できなかった。
「考え方を変えよう。佐希ちゃん。君がこの世でたった一人じゃないって、どうやって証明できる? 僕が君と同じようにここにいて生きていていろんなことを感じたりするってどうやってわかる? 確かに、僕がここにいるってそういう風に見えてはいるかもしれないよ。僕は何かの作りものかもしれないよ?」
佐希の両肩は渉が掴んだ両手で小さく揺れた。渉には佐希が小さく肩で息をしているのがわかった。
「別に私は、一人じゃないって思ってるから……」
息を大きく継ぎながら佐希は答えた。彼女の息は少し乱れていた。
「一人じゃない……そんなの疑いようがないじゃん……証明したいとか別に全然思わない」
「じゃなくて。証明しなくちゃなんないんだ。今。どうする?」
肩を揺すりながら渉が佐希に問いかける。
「え?」
「僕は一人じゃないよね?」
「うん」
「証明してよ!」
「だって私ここにいるじゃん」
「証拠はどこにあるの?」
「もう、証拠なんかないよ」
「もうって、さっきあったの?」
佐希は前髪を手でかき分けながら渉の両手を肩で振り払った。
「私はここにいるって何回も言ってんじゃん!」
「僕にはそう見えるだけかもしんないじゃん」
「じゃあ、どうしたらわかってくれるわけ?」
佐希には渉の問いが煩わしかった。この問答を早く終わりにしたかった。佐希が渉と語り合いたかったのは、お互いがこの場を分かち合っていること自体だった。渉の問いに答え続けることではそれは無理だった。
渉の目は泳いでいた。佐希の答えに対して狼狽の色がありありと見えた。彼は立ち上がると、財布と携帯電話とバイクの鍵を入れた小さな肩掛け鞄を置き、噴水の中心に向けてゆっくり歩き始めた。
「ちょっと。待ってよ!」
佐希は叫んだが、渉は振り向かなかった。走って追いつき、渉の前に回り込んだ。
「そんなに頭で考えてばっかりだからわかんなくなっちゃうんだよ! 感じたことを信じればいいんじゃないの? 今日私と一緒にいたのはそんなにつまんなかったの? 頭で考えることしかできない位つまんなかったの? 説明なんかできるわけないじゃん。私、今日はさんざん渉君に振り回されたのに、何で今もこんなことしてんのかさっぱりわかんないよ。ねえ、本当に大丈夫?」
「ごめん……」
「謝ってほしいんじゃないよ」
「もしかしたらこの世の中にいるのは僕一人だけかもしれないけどそうじゃないって、自分だけの力で納得しようと思ったら、そんな証拠どこにも見つからないんだよ。みんながそんなことないって言ったって、そう言われたからそうだって思う以外、信じる方法がそれしかないんだよ。僕は僕が感じることでそれを確かめたいんだよ。一人じゃないって感じたいんだよ」
「感じてないの?」
「……僕は君じゃない」
「私はずっと感じてたんだよ。一人じゃないって」
「ずっと?」
「そう。いつからだと思う? 裁判所で渉君と初めて会った時からだよ! 私、あそこ二回目だったの。お店休まなきゃならなかったし、田中さんにもすごく怒られたの。もう絶対次は行きたくなかった。あんなところに二度も御用になる自分がすごく嫌で早くあそこを出たいって思ってたから朝早くから並んで待ってたの。それなのに、そんなところでいきなり、渉君に声かけられるなんて思わなかった」
「そんなのたまたまだよ……」
「でもその時、一人じゃないってわかったの」
「赤切符もらった人なんか他にもいくらでもいたじゃん! たくさん並んで待ってたじゃん!」
「あんな場所だっていうのに関係なく話しかけてきたのは渉君だけだよ」
あの日、白黒のボーダーシャツ姿で渉の元を去る佐希の姿が、渉の脳裏に浮かんだ。あの時、確かに渉は彼女に囚人の姿を重ね合わせていた。
「だから裁判所なんかたまたまだって! どこにいても何してても佐希ちゃんは佐希ちゃんだろ!」
佐希が瞬時にはっと目を見開いたのを渉は捕らえた。
「ありがとう」
ゆっくりと噛みしめるような佐希の一言だった。まるでドラマや映画、漫画のような迫真さを渉は受け止めた。そして、それが今まさに自分のためにある出来事であることを何とかして理解しようとした。
「えっ?」
二人が無言の間、噴水と流水の音に混じって、キーンという高音が渉の耳に混じる。
「そう言ってくれるから。だから、私は一人じゃないって、わかるよ。疑いようがないよ」
「わかる?」
渉は佐希を押し退けて進み、噴水の流水で波打つ池に足を踏み入れた。早足で進み、池の真ん中で振り返ると声を振り絞った。
「みんながいるのはわかるよ。会う人に話しかければ誰もがみんな違う返事をするだろうし、名前もわからない、覚えきれない位いろんな人が気が遠くなる位、長い歴史があって生きてきてて、僕には想像もつかないようなことを産み出したり喋ったり使ったり、世の中はいろんなものがあってすごいものもひどいものも全てを見尽くそうとしてもきりがないよ。だからそういうの全部僕だけの世界として作り上げるなんてできないよ。でも、いくら世界を知ったって結局は、僕は僕以外の誰にもなれないし、誰かが感じることが僕の感じることになんかならないよ。みんなと同じ世界で生きてるって、知ってはいる。知識として知っている。知ってるだけだよ。だって誰だってみんなそう言うから。だけど、僕には佐希ちゃんそのものを佐希ちゃんとして感じることはできないよ。わかんないよ。僕には僕のことしかわからない。もしかしてさ、世界はもう終わっていて、実は僕だけが特殊な装置の中で生かされているとか、そんなんじゃないよね?」
佐希は頭を抱えながら大きく息を吐いた。
「ごめん。なんでそんなこと考えるのかやっぱりわかんないよ」
渉は噴水の飛沫で頭もずぶぬれのまま立ち止まっていた。
「どうしたらわかるの! ……いや、どうしたら感じれるの!」
「何を?」
「この世界で生きているのは僕だけじゃないって! 僕だけじゃないんだよね!」
「私がここにいるって何度も言ってんじゃん!」
佐希は泣きながら叫んでいた。
「でも僕は君にはなれないよ!」
渉の上半身が、池の底からのスポットライトに当たって黄色く光る。水に濡れて、シャツが身体にぴったり貼り付いている。
「そんなの私だってそうだよ!」
そう叫んだ佐希が裸足になるのを渉は見つめていた。佐希は迷うことなく池に足を踏み入れると、ふくらはぎまで水に浸かり、濡れたスカートの裾をまとわりつかせながら、ジャブジャブと渉に歩み寄った。コンクリートの池は佐希の足下だけが全く違う形に波打った。水面にまばらに当たっていた照明の光は波で立った泡に当たり、鮮やかさを増した。
渉は佐希に背を向けるとさらに噴水の奥に進み、中央の奥にある人工の滝からの水を頭からかぶった。その場所にはスポットライトの光が及ばなかった。降り注ぐ水しぶきと足下の水泡以外は闇だった。
奥歯がガチガチと震えていた。渉の身体で水をかぶっていない部分はなかった。降り注ぐ水は渉の身体を濡らし、熱を奪うと足下から流れていった。
視点は降り注ぐ水のせいでぼやけたり乱れたりした。顔を拭おうともしなかった。目の前に見えるのは落ち続ける水と泡立つ流れの白だけだったが次第に少なくなった。
渉の目の前に佐希が立っていた。
「一人が恐ろしい……君になりたい……」
渉は力の及ぶ限り佐希を抱き締めた。佐希は渉の背中に両手を回して応じた。渉がそうするほどに、佐希も応じた。水が二人を冷たく打てば打つほど、二人はお互いの肌の温もりを求めた。渉の細かく震える唇に佐希は自らのそれを重ね合わせた。水の打つ音がお互いを求め合う息づかいをかき消した。
そっと顔を離し、佐希は顔を横に振った。
「私だって……渉君にはなれないよ。だけど、こうやって今、同じ事を感じて同じ事を求めているよ……わかる? 一人じゃないってこと」
渉は声を出さずにうなずいた。佐希は目をゆっくり閉じながらほっと大きく長い息をついた。同時に、渉の背中を抱く佐希の両腕の力がするりと抜けた。
「大丈夫?」
渉は佐希を抱え起こし、ゆっくり立ち上がると池の縁に向かって歩いた。数メートル進んだところだった。二人分の体の重みで、足下がコンクリートのぬめりで滑った。踏ん張ろうとしたがあっけなく崩れ落ち、二人は池の中に座り込んだ。池の底からのスポットライトが二人を桃色に照らしていた。
噴水の水を打つ音が急に大きくなったような気がした。まるで夢から覚めた時のようだった。同時に、佐希を求める情熱も、湿った紙に燃え移ることのできなかった火のように小さくなった。
起き上がった佐希が渉に覆い被さろうとした。
「風邪ひくから早く出よう」
渉は自分でも驚くほど素っ気ない口調でそう言うと、佐希を抱えながら池の中を進んだ。池の外にあがり、渉の鞄が置いてあった場所で佐希を横たえると、彼女の隣に寝転がった。
空を見上げると、月は鮮やかな黄色に加えて赤みを帯びて光っていた。身体はこれ以上水によって熱を奪われない。服はすべて濡れていたが、体温で少しづつ暖まる感触が渉にはあった。頭の中が次第にすっきりしてくるのがわかり、さっきの男の視線に改めて苛立ちを覚えた。同時に、ついさっきまで自分が恐れ続けていたことは一体何だったのだろうと、半ばあきれた。
月のそばを一筋の雲が少しづつ通り過ぎて行った。通り過ぎる雲は次第に増え、やがて月は見えなくなった。池の噴水は止まり、照明は消えた。広場の周りを数メートル置きに蛍光灯が白く照らしていた。
佐希の寝顔を見た。濡れた髪をそっとかき分けると、もう十分暖かい頬の感触があった。再び唇を近づけると、佐希は寝返りを打つように顔を反らした。
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